第20話 おっさん利益確定する
ふぅー、寒いなー。
2月の終わりだからな。まだまだ冷える。
今日はりらぽんの最終予約を取ってある。
日曜日は閉店が早いからな。
だから8時過ぎにお店を出発する予定だ。
今日はみんなで焼肉パーティーだ!
しかも俺の奢り。
いつも世話になってるお礼だな。
特にユウには年末に俺が入院した時に大変にお世話になった。無理も聞いてもらった。
山田店長にも退院してから随分と気を使ってもらっている。
まぁ感謝の気持ちだ。
お店はユウに選んでもらったよ。
お店の名前は知っているが、おしゃれなお店は選ぶ自信がない。
場違いだったら辛いし、ユウに選んでもらって正解だな。
「焼肉極楽苑」
名前はちょっとな。おしゃれかな?
重いドアを開けてお店に入る。
おー入ってるな。満席だ。予約してもらってよかったよ。
「いらっしゃいませー」
「予約している山田です」
「山田様ですね、3名様で承っています。こちらにどうぞ」
座席に通される。
真ん中にコンロのテーブル。両サイドはベンチシートだ。
ファミレスみたいだけど嫌いじゃないな。
俺が手前に座り、山田店長とユウが奥の席だ。
「喜多さん、席が違いますよ」
「そうだよシショー。逆だよ!」
「まぁまぁ、今日は俺のお礼会だから」
それよりも、まずは飲み物だな。
お店のお姉さんにお願いした飲み物が配られた。
まずは乾杯しよう。
「去年1年のお礼も込めて、遅くなったけどー本年もよろしくー!」
「こちらこそよろしくお願いしまっス」
「よろしくねー」
「「「乾杯ーーー!」」」
ぷふぁ〜。空きっ腹に効くぜ。
烏龍茶だけどな。
山田さんは生ビール、ユウも飲まないから烏龍茶だ。
「お肉は好きに選んでよ」
「本当に選んじゃいますよ!?」
「選び放題だー♪」
今日は奢りだと伝えてあるからな。
「シショー、それだけ?」
特選カルビと特上ハラミ、それにご飯。
これだけ。
医者にも言われてるしな。
ほどほどにしないとね。
昔は思ってたよ。
焼肉1人前って、誰の1人前なのかって。
俺でした……orz
「かわいそーだねー。じゃあその分は私に任せて!」
ああ、しっかり食べて大きくな……らなくてもいいぞ?
「遠慮なくいただくっス」
テーブルの上が焼肉パーティーだ。
ぼっち焼肉じゃあこうはならないから、賑やかでいいな。
ジュゥウゥゥ……いい音だ。音だけでご飯いけるな。匂いもいいぞ。
***
さてと、今日の焼肉パーティーの趣旨を説明しないとな。
カクカクシカジカ
「ええぇー!もう利益確定したんスか?」
「えっ、そんなに早く!」
「まあ予定どおりだけどな、少ないし」
「だいじに投資」の説明だ。
「米国債短期ETF?そんなに儲かるんスか!?」
「そもそも国債だからな。金利の変動は少ないし、為替利益もあったからな」
「なるほど、リスクを抑えつつ利益は確実に取る作戦っスね」
「去年から円安に振れてるからな、そこも利益にはなってる」
お小遣いの範囲で楽しんでいる分だ。利益はそれほどでもないが、みんなにお礼としてのお裾分けだな。
「配当が年に2回っていいスね。元金も心配しないのはいいと思いますよ」
「いいなー。投資初心者にも魅力的だよー。シショー教えて!」
そんなに秘密でもないので、
「説明しよう!」ポイントはこうだ。
・新NISAの非課税枠で 30G を購入。俺の投資ゲームの通貨単位だ。
・概ね年率4%で購入
・したがって1年後の利益は
30G × 4% × (1 - 米国内税10%)
= 1.08G
1Gいくらかって?
1G = ???……ふふふ、それは秘密だ。
で、それが焼肉パーティーの原資だな。
「そのパフォーマンスって投資信託に匹敵するの?すごいよ。シショー!」
「リスクはなんとも言えないな。為替ヘッジなしだしな」
ユウの食い付きがすごい。
「為替ヘッジ入れても魅力だよー」
おっ、ちょっと勉強したな。
「俺の場合は投資をゲームとしたからな。生活を賭けてるわけじゃない。そこはみんなと違うから真に受けないでな」
「何スか?ゲームって?」
山田さんには言ってなかったな。
じゃあ簡単に説明だ。
カクカクシカジカ
「何てことやってんスか?伝説の勇者のRPGで投資するって!?」
いいんだよ、俺にとってはゲームなんだから。
「シショー、まだ戦術あったじゃん。他はどうなのさ?」
そこが知りたいのか?
「知りたい!知りたい!ねぇ、教えて!」
なんだこの食い付きは?!
じゃあ「たたかい投資」についてだな。
これは教訓にもなるしな。
「喜多さん、そんなの買ってたんですか!?新NISAの枠で米国個別株を指名買い?!初心者ですよね?」
「そうなんだよ。でも「たたかい投資」を戦術に組み込むとさ、そうなっちゃったんだよね」
「たたかい投資」で狙った、サイバーセキュリティ企業、合併した結果、時価は投資金額の約210%UP。
「サイバーセキュリティ企業がサイバー攻撃受けて暴落した時は、マジで心臓に悪かったな」
「なのに何で買ったんスか!?勇者ムーブすぎるでしょ!」
「いや、持ってただけ。俺、特に何もしてない」
「……え?」
「ただ持ってたら、気づいたら210%UPしてた……」
「シショー、たたかい投資とか言ってたけど、これ……」
「……戦ってないな」
「えっ、マジでなにもしてないの?」
「そう、持ってただけ」
「放置プレイで210%UP!?どこのRPGの放置育成ゲームなんスか?」
「いや、戦ったのは俺じゃない。投資した企業のほうだから」
「なるほど、モンスター育成RPGのやつだ!」
「俺はスカウトしただけで、気づいたら大会優勝してた感じ」
「それシショーのワンダーランドじゃん!」
「ビギナーズラックってレベルじゃねぇ!」
「俺あの時は投資してなくてよかったって思ったっス。新NISAじゃ買いづらい銘柄なのでスルーしていてよかったって思ったっス」
呆れ顔のユウと山田店長。でもな、結果オーライならOKだろ?
「たたかい投資」は戦うサイバーセキュリティ企業を選んだからな。
勇者の冒険はお使いゲームじゃないからな。寄り道も必要だ。
そりゃリスクはあるよ。でもねリスクがある方が楽しいよ。ゲームだし。
そこは余裕かも知れないな。
よい子は真似しちゃダメだぞ。
ちなみに収益はこんな感じだ。
・25G × 210% =52.5G
・52.5G - 25G =27.5G(純利益)
・そこから米国税10%を引くと24.75G
・さらに日本で分離課税分を引くと、手元に残るのは約20Gだ。
なので俺はこの20Gを新たな投資戦術に使うつもりだ。
まあ楽しむよ。
おっさんだからな。
次回 おっさんアウェイ戦に挑む!
アウェイ戦? まさか……ついに大御所ファンドの君臨するダンジョンに殴り込みか!?
それとも新たな投資戦術……?
おっさんの冒険は続く!
※この作品は【訳あり品】です。
正規品(?)はAmazon Kindleにて公開予定──かもしれません。




