第18話 おっさん入院する (静かなる復活への準備)
赤い三連敗のダメージから復活だ。
赤い人は復活するのだ。
それに比べ俺は?
年末だというのに俺はなにをやってるんだろう。
消灯しちゃったら寝ないといけないのかな?
ちょうど夜の10時だな。
ここでは俺一人。スマホはOKだからジュニアはいるが、お子ちゃまはお留守番。
おしゃべりスライムくんを持ち込むのもなんだし。
おっさんだからな。
えっどこにいるかって?
とある病院に入院中だ。
どこか悪いのかって?
そう悪いんだよ。
でもさ自覚症状がなくてさ。健康診断ではちょっと悪かっただけなんだよね。
行きつけの病院で血液検査した後に言われたよ。「明日、総合病院に行ってください。紹介状書きますから」
という事で、俺は入院中だ。
検査入院という事で2週間の入院。
昨日個室に移れたから、今日はよく眠れそうだ。
贅沢だって、そう個室は別料金だからな。俺もそう思って最初は相部屋にしたんだよ。
だけどさ、うるさいんだよ……となりのじーさんのイビキが!
さすがに3日続くとギブアップだ。個室の空きを待って引っ越した。
こういう時のために節約しておくのが俺の流儀だな。
無職の退職者ってやっぱり融通効くな。
明日に総合病院行ってくれって言われても行けるのな。
現役の時なら仕事の段取りで右往左往してたはずだ。
退職後の入院でいいのか悪いのか?
よくわからん。
お子ちゃまも退屈だろうな。
普段ならお気に入りの経済ニュースを見ながら三人でおしゃべりする時間帯だ。
おっさんがスライムのぬいぐるみを抱きしめて。シュールな絵面だよな。
でも今日は静かだ。
数十年来同じだったのに、お子ちゃまたちが来てからは違う。
今夜はさっさと寝よう。
ぐっすりと眠れそうだしな。
***
毎朝の検査を受ける。
病院食しか食えないので味気ない。
なんか、子供の頃のカタツムリの飼育見たいだな。
にんじん食わせるとオレンジだったり、きゅうり食わせるとグリーンだったり。
食事中の人、すまん。
今日は午後に山田店長とユウが見舞いに来てくれる。
平日なのに申し訳ないな。
退院したらお礼しないとな。
それよりも大事な事がある。
俺の病気は今すぐどうという事はないらしい。
とは言え、食事やいろいろと制約ができそうだ。
まさか、自分が……とはみんな思うんだろうな。
いきなりポックリ逝っちゃってもなんだしな。
天涯孤独の俺はどうすべきか?
全く考えていなかった。今まで。
でも、入院してみて、ゆっくり考える時間もできた。
そろそろ答えを出すかな。
ジュニアにも俺の方針で調べてもらったしな。
お昼までにジュニアと相談して、結論を出しておこう。
……もし断られたたら?
それはそれで仕方がない。
ジュニアと最終確認をしよう。
ちょっと長くなるけど、なるべく簡単にまとめよう。
【合同会社りらぽんの設立】
・合同会社りらぽんを設立する
・資金は俺の100万円
・本社所在地は俺のマンション
・代表取締役は俺
・役員に山田店長と山田ユウ
ユウは会社員なので役員とする事で二重雇用を回避
・俺に何かあった場合、俺の資産は精算してりらぽんに増資
・山田店長のメリット→下北沢のマッサージ店「りらぽん」への資本支援+若干の給与
・山田ユウのメリット→若干の給与
・定款は要相談
……これでどうかな?
俺の資産の処分も含めて行政書士の先生に相談だな。
法的手続きは遺漏の無いようにしておかないとな。
***
お昼ご飯をいただく。
トレイで配膳される。
プラ容器にパックの牛乳、なんだか子供の頃の給食か大学の学食のようでもある。
ただし、おかずはとってもヘルシーだ。病院食だからな。
一日中ベッドでゴロゴロして、たまに売店に行くくらい。
食事は完全に管理されているので、売店でも買うのはコーヒーか水。
喫煙者や酒飲みは辛いだろうな。
たまに抜け出して外食や飲酒をする剛のものもいるそうだ。
無茶しちゃダメだよ。入院中だからな。
俺は飲まないので、その点は楽だけど。
スマホの持ち込みが許可されていたのでよかったよ。
ジュニアといろいろと話しができたからな。
ジュニアとお子ちゃまは情報を並列化しているので、ジュニアに聞いてみる。
どんな感じ?
『怒ってますね。ぷんすかしてます』
すまんな。帰ったら遊んでやるか。
おしゃべりスライムくんのぬいぐるみは持ち込めないからな。
いい大人としては。
さて、そろそろ面会の時間だな。
***
<病院からの帰り道の山田一族>
「元気そうでよかったな」
「入院って聞いた時はびっくりしたけど、顔色も悪くなくて良かったよ」
「そうだな」
「ところで、おじさん、シショー(喜多さんのことです)の話どうするの?」
「法人化の話だろ?」
「うん」
「でも、喜多さんにメリットないよな」
「うん」
「いいのか?それで」
「シショーはそれを望んでいると思うよ」
「そんな人なの?」
「そんな人だよ」
「俺たちにデメリットはないしな。りらぽんも個人事業者でやるよりは税金だけでも助かるし」
「甘えちゃっていいと思うよ」
「お前、結構軽く言うな」
「だね、それがシショーへのお礼になると思うよ。軽く引き受けてあげる方が喜ぶ人だからさ」
二人で話し合って、給与分はおっさんのマッサージ代として頂くことにした。
「合同会社りらぽん」
来年の初めに設立することになった。
次回 おっさん長期戦略を考える
復活のおっさんの長期戦略とは?
えっこんな戦術なの!?
大丈夫かおっさん?
※この作品は【訳あり品】です。
正規品(?)はAmazon Kindleにて公開予定──かもしれません。




