回復とその後
ルークが安堵からぼうっとしていると、何かおでこに押される感触がした。はっとして顔をあげると、体を動かせるぐらい回復したらしいエリナの顔が目の前にあり、思わず、驚く。
「ルーク、泣いていたの?」
エリナは優しく微笑みながら彼の頬に手を伸ばし、そっと涙を拭った。彼女の優しい声に、ルークは照れくさそうに笑った。
「さぁ、まだ回復していない人が残っているわ。みんなを助けましょう。」エリナに手を引かれ、二人はまだ感染している村人たちの治療に取りかかった。ルークの新たに覚醒した力とエリナの献身的な看護で、村人たちは次々と回復していった。
★★
数日後、ルークとエリナは王太子アルベルトと会談の場を持った。アルベルトは真剣な表情で二人を見つめ、口を開いた。
「改めて、この国を魔物化から守ってくださり、ありがとうございました。おかげさまで首謀者を捉え、民たちの傷が癒え、聖女の魔力から作った解毒薬のストックもあるため、当分は魔物憑きを克服したと言えそうです。」
一礼をして、アルベルトは続ける。
「今回の一件で、あなたが聖女であることは疑う余地もなくなりました。ご存知の通り、聖女の地位は、この国において非常に重要であり、王太子以上に影響力を持つとされています。エリナ、あなたには今後もこの国で活躍していただきたい。何かのぞみはありますか?」
エリナは沈黙の後、ルークの方を見つめた。ルークが静かに頷くと、エリナはアルベルトに向き直った。
「2つあります。1つは、今回の首謀者リリアーナへの処罰を一時見合わせて欲しいのです。」
「いくら聖女の頼みとはいえ、それは...」
「そもそも彼女の犯行動機は情状酌量の余地があり、なおかつ、彼女は自力で解毒薬を作成し、別の用途に転用するほど薬学に長けています。魔物憑きや他の医療の発展にかならず寄与するはずです。」
「...たしかに一理あるが、彼女が果たして協力するだろうか。」
「私たちに説得の機会をください。」
「そこまでいうなら、まずは話してくれ。ただし、私にできるのは機会を提供することだけだ。」
「感謝します。」
「もうひとつののぞみは?」
「2つめは...」




