ギルドと情報屋
村から王都に帰った2人は、リリアーナの情報を得るべく行動を開始した。
「リリアーナの行動を調べるには、この場所が一番手っ取り早い。」
ルークが言いながらギルドの扉を押し開けると、中は昼間から賑わいに満ちていた。粗削りな冒険者たちが集う空間は、エリナにとって異質だった。彼女は周囲の視線を感じながら、少し身を縮める。
「本当にここで情報が手に入るの?」
エリナが不安そうに尋ねると、ルークは振り返り、淡々と答えた。
「ここには金と情報を糧に生きる連中が集まる。誰が何をしているか、一番詳しい場所だ。」
エリナが彼の後をついていくと、周囲からちらちらと視線が集まる。ギルドの奥へ進むにつれ、何人かの冒険者がルークに軽く会釈をした。
「お前さん、久しぶりだな。」
「珍しいじゃねえか、ルーク。」
何気ない挨拶だが、その言葉には妙な尊敬が込められているようだった。
「……あなた、ここでかなり知られているのね?」
エリナが少し驚いて尋ねると、ルークは肩をすくめて答えた。
「まあ、ちょっとな。」
ギルドの奥の一角に案内されると、そこには情報屋とおぼしき男が座っていた。男は痩せぎすの体に目深に帽子をかぶり、机の上には乱雑に書類が積まれている。
「依頼だ。」
ルークが短く言うと、男は顔を上げ、にやりと笑った。
「珍しいな、ルークが直接出向いてくるなんて。それに、今日はお嬢さん付きか?」
男の言葉に、エリナが少し眉をひそめる。
幼馴染でずっとそばにいたはずのルークに、自分の知らない一面があることが少し胸をざわつかせた。
「余計な詮索はするな。」
ルークが冷たく言い放つと、男は肩をすくめた。
「わかったよ。で、何を調べりゃいい?」
「リリアーナ・フォン・グリュック。その行動だ。特に王都の外に出る理由を突き止めてほしい。」
ルークは簡潔に依頼内容を説明する。
男は少し眉を上げたが、すぐに笑いを浮かべた。
「ふむ……王太子の婚約者か。お前らしい、厄介な案件だな。」
「できるか?」
ルークの問いに、男は薄く笑みを浮かべたまま答えた。
「金さえもらえれば、なんだってやるさ。」
ルークが小さな袋を机に置くと、男は中身を確認して頷いた。
「数日で結果を出そう。ただし、今回の依頼については慎重に扱わせてもらう。相手が相手だからな。」




