天使の掟
16歳の勇者コテツは伝説の剣を手に入れる為に天界を訪れていた。
そこで出会った天使族のナーシャに一目惚れしてしまう。
勇者はナーシャに会いに行った。
コテツ『こんにちは、ナーシャさん』
ナーシャ『あら、コテツさん。どうしたの?』
コテツ『今日も綺麗だね』
ナーシャ『もう、からかわないでください!』
コテツ『本気だよ。本気で君が好きなんだ……結婚してくれないか?(ポッ)』
ナーシャ『まあ!嬉しいわ。でもごめんなさい。私には心に決めた人がいますの』
コテツ『え!?そんなぁ〜。
じゃあさ、その人と決闘するから
それで考えてくれないかな?』
ナーシャ『ふふっ。いいですよ。もしあなたが勝ったなら結婚しましょう』
コテツ『やったー!!』
コテツはナーシャの最愛の相手イースと決闘する事になった。
コテツ『さてと、準備はOKか?』
イース『ああいいぜ!』
コテツ『行くぞぉおおお!!【天空斬り】!!!』
ズバンッッ!!!!
イース『ぐはぁああああ!!!!』
ズシャ!!!
体を切り裂かれ、イースは倒れる。
審判が状態を確認しにいく。
審判『し…死んでる・・・・』
コテツ『よっしゃぁああ!!』
ざわざわ・・・
コテツが喜ぶ一方で
天使族は慌ただしくなる。
天使族『ひっ、人殺しだあああああ!!!』
天使族達はどよめいた。
コテツ『ん?何言ってんだ?これは勝負だぜ?』
しかし、その時
ナーシャ『きゃぁあああああ!!!』
駆け付けたナーシャがイースの死体を見て叫ぶ。
コテツ『ナーシャさん、俺勝ったよ!』
そういってナーシャに近づこうとする。
するとナーシャは怯えた表情になる。
ナーシャ『こっちへ来ないでぇええ!!』
コテツ『な、なんで?どうしたんだよ』
ナーシャ『貴方なんて大嫌いです!早くどこかに行ってくださいぃいいい!!』
コテツ『ナーシャさん!俺はあなたを本気で愛して……』
コテツの言葉を遮るように
ナーシャ『うるさい!うるさい!この人殺し!!!』
その言葉にコテツの中で何かが吹っ切れた。
コテツ『スリープ!』
ナーシャを眠らせる。
そしてコテツはナーシャを抱き抱え転移魔法を唱えた。
コテツ『ワープ!』
そのまま天界を去ってしまった。
天界ではそれが大問題になっていた。
天使達『あの勇者最低だ!』
天使族『あんな奴勇者じゃない!』
天使族『あいつ悪魔だろ!』
天使族『誘拐犯だ!!』
天使族『人殺しぃいい!!』
天使族『うわぁあああん!』
こうして勇者コテツは悪者として認識し、指名手配されたのであった。
一方コテツは山奥の小屋にナーシャを連れ込み、身を潜めていた。
コテツ『よし、これで邪魔者はいなくなった。これからよろしく、ナーシャ♡』
ナーシャ『いやぁああ!!離して下さいぃいい!!』
コテツ『大丈夫だってば〜』
コテツはナーシャにキスをする。
チュッ
ナーシャ『むぅうん……やめてくだしゃい……』
コテツ『何でわかってくれないんだ・・・俺はこんなにもキミを愛しているのに』
ナーシャ『私はあなたのことなんか好きではありません!』
コテツ『またまたぁ〜照れちゃって』
コテツは無理やり・・・
【自主規制】
コテツ『あぁ・・・最高だったよナーシャ!』
ナーシャ『…………もう殺して。
イースのところに行かせて……』
他の男の名前を聞いて怒り狂ったコテツはナイフを取り出し、ナーシャを刺そうとした。
コテツ『その名を口にするなぁ!!!』
ナーシャ『いやあああああ!!』
しかし、刺す直前で動きを止める。
コテツ『……やっぱりできない』
ナーシャ『……え?』
コテツ『キミを殺すなんて出来ないよ!
俺はナーシャの事が大好きなんだ!!』
ナーシャ『……』
コテツ『ナーシャ・・・俺と一緒に暮らそう・・』
ナーシャ『・・・好きにしてください』
それからコテツとナーシャは一緒に暮らすことになった。
そして数か月経ったある日の事だった。
ナーシャ『うっ………!ゲホ!ゴホッ!』
突然吐き気に襲われたナーシャはトイレに駆け込む。コテツも慌てて追いかける。
コテツ『どうした!?』
ナーシャ『……なんでもありません』
コテツ『嘘つけ!顔色悪いぞ!?』
ナーシャ『……本当に大丈夫ですから』
すると
コテツ『まさか…出来たのか?』
ナーシャ『……はい』
コテツ『やったぁああ!!俺達の赤ちゃんができたのか!!』
ナーシャ『……はい』
コテツ『やったー!!』
コテツはナーシャを抱きしめる。
ナーシャは無理やり笑顔を作った。
ナーシャ『……ありがとうございます』
コテツ『もうすぐパパになるんだ!頑張らないとな!な?ナーシャ♡』
ナーシャ『……はい』
コテツ『まず、買い物に行ってくるよ!』
ナーシャ『……行ってらっしゃい』
バタンッ
ナーシャはお腹を撫でながら思った。
ナーシャ『この子は悪魔の子……私の罪の証……でも産むしかないのね』
それから数ヶ月が経ち、ナーシャのお腹はどんどん大きくなっていった。
そして1年が経とうとする頃
ナーシャ『……んっ』
ナーシャは陣痛に襲われる。
コテツは急いで医者を呼びに行った。
コテツ『大変だ!!早く来て!!』
医者『どうされましたか?』
コテツ『妻が出産するみたいで!』
医者『わかりました!』
ナーシャは苦しそうな表情を浮かべていた。
ナーシャ『はぁはぁ……うぅっ』
コテツ『頑張ってくれ!!』
ナーシャ『……はぁはぁ……うぅううううう!!』
ナーシャは力を振り絞り、赤子を産み落とした。
そして生まれたのは双子だった。
ナーシャ『……はぁはぁ』
コテツ『おめでとう!!よくがんばったね!!』
ナーシャ『……はい!』
コテツ『可愛い双子の兄妹だ!』
ナーシャ『まあ・・・!』
すると医者が異変に気づく。
医者『ん?奥さんの背中の羽、もしや天使族では?』
通常天使族が地上にいるのはあり得ないからだ。
コテツが無理やりナーシャを連れ去ったのが
バレてはまずいと思ったコテツはとぼけて言った。
コテツ『いや〜そんなわけないじゃないですか。これは羽根に似た衣装ですよw』
医者『確かに……失礼しました』
ナーシャ『………』
なんとかごまかせたようだ。
コテツはナーシャに話しかける。
コテツ『ナーシャ、無事生まれて良かったよ』
ナーシャ『……はい。ありがとうございます』
コテツ『名前はどうしようか?』
ナーシャ『……決めてください』
コテツ『う〜ん。そうだなぁ』
コテツは悩みに悩んだ結果……
コテツ『決めた!女の子の名前はニーナ。男の方はアニーだ!』
ナーシャ『……いい名前ですね』
こうして家族が増えた。
それから4人は幸せに暮らしていた。
するとある日のこと。
ナーシャ『ねぇあなた』
コテツ『なんだい?』
ナーシャ『あれからもう2年が経とうとしています』
コテツ『その話しはしないでくれ』
ナーシャ『……いえ、私はあの日のことを忘れません』
コテツ『俺は本当にキミを愛していたんだ。
そしてあんな酷いことをしてしまったのを後悔している……』
ナーシャ『………もう過ぎた事ですから。
ただお願いです、いつの日か罪を償ってください』
コテツ『……わかっている。だが今は捕まりたくないんだ。
子供2人を置いていくことはできないしな』
ナーシャ『……わかりました。なら私も協力します』
コテツ『本当かい!?ありがとう!!』
ナーシャ『……はい』
コテツ『じゃあしばらくこのまま4人で暮らすか!』
ナーシャ『……そうですね』
4人での生活が始まった。
ニーナとアニーは少しずつ成長していった。
そんなある日。
コテツ『マジか、2人共羽が生えて来ているぞ?』
ナーシャ『……えぇ』
コテツ『ということはナーシャの血が強く現れたのか?』
ナーシャ『……そうかもしれませんね』
コテツ『それにしても、やっぱり天使族は綺麗な顔をしているな』
ナーシャ『天使族……本当にこの子達には罪はないんですね……』
コテツ『当たり前だろ?ナーシャの子でもあるんだよ? こんなにも可愛いじゃないか』
ナーシャ『……はい』
コテツ『よし!俺達が立派な子に育ててやるぞ!』
2人の子育てをしながら日々を過ごしていた。
それから1年後
ニーナ『あうー』
アニー『あぶぶ〜』
コテツ『おぉ!喋れるようになったな?』
ナーシャ『……ふふ』
ニーナとアニーはハイハイしながら家の中を動き回る。
コテツ『おっ、こっちに来たか!』
ナーシャ『……危ないので気をつけて下さいね』
コテツ『大丈夫だよ!ほら、捕まえた♡』
ニーナはコテツに抱っこされる。
ニーナ『きゃっきゃ!』
するとアニーはナーシャの方へヨチヨチ歩きで近づいて行く。
ナーシャ『あら、どうしたの?おいで?』
アニー『あぶぅ〜!』
ナーシャ『あらあら、甘えん坊さんね』
ナーシャは優しく抱き上げる。
すると今度はニタァっと笑いながら手をバタつかせる。
ナーシャ『……なにかしら?』
コテツ『ナーシャのことが好きなんじゃないか?』
ナーシャ『……そうなのかな?』
コテツ『きっとそうだよ!』
それからさらに1年が経った。
ニーナ『パパー!』
アニー『ママー!』
コテツ『おう!どうした?』
ニーナ『パパはママが好き?』
コテツ『もちろんだ!』
ナーシャ『……まあ//』
コテツ『じゃあお前は?』
アニー『あい!』
コテツ『お前もか!』
ナーシャ『……もうっ』
コテツ『ははは、みんなママが好きなんだよな!』
ナーシャ『……ほんとに困った人達ですね』
そして7年の月日が流れる。
アニーとニーナは10歳になっていた。
アニー『お父さん、見てよ!新しい技を編み出したんだ!』
コテツ『おお!すごいな!!』
アニー『僕立派な戦士になるよ!』
コテツ『おう、お前ならきっとなれるさ!』
アニー『えへへ』
ニーナ『じゃあ私は魔法使い!』
コテツ『おお!』
ナーシャ『ふふ、2人共頼もしいですね』
コテツ『ああ!』
ニーナ『お母さん!』
アニー『お母さん!』
ナーシャ『どうしました?』
ニーナ『私、大きくなったらお母さんみたいな優しい女性になりたい!』
アニー『僕は強い男になって、お母さんを守る!』
ナーシャ『ありがとう、2人とも』
コテツ『うむ!立派になったなぁ〜。感慨深いぜ』
ナーシャ『……そうですね』
コテツ『ああ、俺たちはもうすぐここを離れることになるだろう。
だから最後に4人で写真を撮ろう』
ナーシャ『……えぇ』
コテツ『せっかくだし、記念に残るように大きな写真立て買うか!』
ナーシャ『……いい考えです』
コテツ『だろ?じゃあさっそく買いに行くか!』
こうして2人は出掛けて行った。
山奥から町へ向かう。
するとそこへ数人の男が声をかけてくる。
コテツ『ん?』
天使族『とうとう見つけたぞ!コテツ!』
コテツ『……ま、まさか天使族!?』
天使族『・・・そこにいるのはナーシャ様ですね』
ナーシャ『……あなた達は一体?』
天使族『我々は天界から派遣された者。大罪人コテツを捕らえに参りました』
コテツ『ちっ……こんなときに・・・』
ナーシャ『……そんな』
コテツ『ナーシャ、2人を連れて逃げるんだ!』
ナーシャ『……でも』
コテツ『早くしろ!』
天使族『無駄な抵抗はしない方がいいですよ?』
コテツ『うるせぇ!!俺は絶対に捕まるわけにはいかないんだよ!!』
天使族『甘いですね』
コテツ『!?』
不思議な光がコテツを包み、拘束される。コテツ『なんだこれは!動けん!』
天使族『それでは連行させていただきます』
ナーシャ『あなた!!』
天使族『ナーシャ様、あなたもいずれ連れ帰りに行きます』
コテツ『ナーシャ!俺のことは心配するな!2人を頼んだぞ・・・』
天使族の者達に連行されていくコテツ。
ナーシャはその場に立ち尽くすしかなかった。
ナーシャ『……あなた』
そして家へと戻る。
アニー『おかえりなさい!』
ニーナ『あれ?お父さんは?』
ナーシャ『…………』
ニーナ『どうしたの?お母さん』
ナーシャ『……実はお父さんはね』
ニーナ『えっ、死んじゃったの?』
ナーシャ『……違うわ。お父さんはね、捕まったのよ』
ニーナ『……どういうこと?』
ナーシャ『……天使族に捕まってしまったの。
それでこれから天界に連れて行かれるのよ』
ニーナ『……嘘だよ。だってあの時、また帰ってくるって言ってたもん』
ナーシャ『……ごめんね。本当にそうなの。もう帰って来れないのよ』
ニーナ『……そんなことないもん!』
するとアニーが口を開く。
アニー『・・・・僕、お父さんを助けにいく!』
ナーシャ『それはダメよ!』
アニー『どうして?』
ナーシャ『……あなた達じゃ天使族には勝てないの』
アニー『そんなに強いの?』
ナーシャ『えぇ、お父さんでさえ敵わなかったのよ?』
アニー『そんな・・・・』
アニーはしばらく考え込むと顔を上げ決心したような表情をする。
アニー『……分かった、僕もっと強くなってお父さんを助ける!』
ナーシャ『アニー・・・・』
ニーナ『私も行く!』
ナーシャ『……無理よ。足手まといになるだけよ』
ニーナ『馬鹿にしないで!私はお父さんの娘よ!絶対に行くんだから!』
アニー『僕が守ってあげるよ!』
ナーシャ『……まったく、誰に似ちゃったのかしら』
こうして2人の修業は始まった。
そして修行を続けて2年、
アニーとニーナは12歳になっていた。
2人は立派な戦士になり、さらに魔法の力も格段に上っていた。
ナーシャ『2人とも立派になったわね!』
アニー『お母さん!見てよこの力!』
ニーナ『私だって負けてられない!』
2人が修行している間にコテツはどうなったかと言うと・・・
コテツ『ぐふっ!』
天使族『強情なやつだな。さすがは勇者というところかな』
コテツ『まだ終わらねぇぞ!』
天使族『何度やっても同じことだ』
コテツ『くそぉー!!動け!動けぇー!!』
しかしコテツの体は動かないままだった。
コテツ『……ちくしょう』
コテツは捕らえられたままひたすら殴られ続けたり、蹴られたりした。
数日後、3人はコテツ救出をすべく動き出す。
ナーシャ『アニー、ニーナ、準備はいい?』
アニー『うん!』
ニーナ『いつでも行ける!』
3人は翼で飛び立ち、天界へ侵入することに成功する。
アニー『ここが天界・・・』
ニーナ『綺麗な場所だね』
ナーシャ『何年ぶりかしら・・・思い出に浸ってる場合じゃないわね』
すると天使族の1人が現れる。
天使族『お久しぶりです、ナーシャ様』
ナーシャ『・・・ルミエル』
天使族『あなた達がここに来ることは分かっていました。2年前からずっと見張っていましたから』
ナーシャ『そうだったの』
天使族『今なら見逃してあげましょう。大人しく帰るのです』
ナーシャ『それはできない相談ね』
天使族『では仕方ありませんね』
戦闘態勢に入るナーシャ達。
すると他の天使族も現れる。
天使族『あなたを裏切り者として処分します』
ナーシャ『……覚悟の上よ』
天使族は一斉に襲いかかってくる。
戦いが始まった。
まず最初に仕掛けたのはニーナである。
ニーナ『私の相手はあなた達みたいね』
天使族の4人は一気に攻撃を仕掛ける。
それを難なくかわすニーナ。
アニーとナーシャの方にも2人天使族が現れた。
アニー『こいつらは僕に任せて!』
ナーシャ『気を付けて!この人達強いわよ!』
アニー『わかってる!』
4対2の戦いが始まる。
ニーナは魔法を駆使して戦う。
ニーナ『これで終わりよ!』
ニーナの魔力弾が直撃する。
天使族『うっ!』
天使族達は吹き飛ばされるがすぐに立ち上がる。
天使族『流石ですね』
ニーナ『……しぶといわね』
アニーは天使族を相手に互角に渡り合っていた。
天使族『なかなかやりますね』
アニーは一旦距離をとる。
そして剣を取り出し構えるアニー。
アニー『お父さんを返してもらう!』
アニーは高速移動しながら斬りかかるが、天使族はそれを簡単に受け止めた。
アニー『……!?︎』
アニーは驚くが、そのまま攻撃を繰り出し続ける。
アニー『はぁー!!!』
アニーの連撃が天使族を襲う。
天使族『・・・』
アニー『まだまだ!』
アニーの攻撃は止まらない。
アニー『はあああ!!』
アニーは渾身の一撃を放つ。
しかし、その攻撃は軽々と受け止められてしまった。
アニー『……そんな!』
アニーは衝撃を受ける。
アニー『僕の力が通用しないなんて!』
アニーと天使族の距離ができる。
そこにニーナが駆けつけてくる。
ニーナ『大丈夫?アニー!』
アニー『……大丈夫だよ、ニーナ』
ナーシャ『……私達3人ならきっと勝てるわ!』
ナーシャも参戦し、3人で戦おうとしたその時、上空から声が聞こえてきた。
ルミエル『やめなさい!』
ナーシャ『……ルミエル!』
天使族の動きが止まる。
そしてナーシャ達に振り返る。
ルミエル『ナーシャ、なぜこんなことをするのです!』
ナーシャ『コテツさんを助けにきただけです!』
ルミエル『あんな男の為に命を捨てるとでも言うのか!』
ナーシャ『ええ、あの人は私達の大切な家族です!助けるのは当然でしょう!』
ルミエル『愚かな!……もういい!お前達はここで死ね!』
天使族は再び襲いかかってきた。
しかし先程とは比べ物にならないほど強くなっていた。
ニーナとナーシャはその強さに押されていく。
ルミエル『どうした!それでも勇者の子か!』
ルミエルは更に強くなる。
しかし諦めない3人。
必死で食い下がる。
しかし天使族の強さは異常だった。
次第に追い詰められる3人。
ナーシャ『……このままじゃ』
ルミエル『さあ、死んでもらうぞ!』
もう後がないと思われたその時、
アニーとニーナの体から光が溢れ出した。
そして2人の頭に声が響いてくる。
少年『負けちゃ駄目だ!』
少女『あなた達は私達が守る!』
2人は光に包まれながら叫ぶ。
アニー『これは一体?』
ニーナ『凄く暖かい』
2人は覚醒する。
アニーは天空の鎧を身にまとい、
ニーナは天空のローブを纏っていた。
アニー『力が湧いてくる・・・』
ニーナ『これが私の力』
天使族『まさか、神化だと!?︎』
ルミエル『まだ、この世界にはそのような存在がいたというのか』
アニー『行くよ!ニーナ!』
ニーナ『うん!私があいつを倒す!』
天使族に向かっていく2人。
ルミエル『……仕方あるまい』
ルミエルは剣を構える。
そして2人同時に仕掛ける。
アニー『はああ!!!』
ニーナ『はああああ!!』
天使族の1人が吹き飛ぶ。
天使族『ぐわっ』
残りの天使族も次々と倒されていく。
天使族『うっ!』
天使族は倒れ、残りはルミエルだけになった。
ルミエル『……ここまでの力を持っていたとは』
ナーシャ『すごい・・・』
アニー『さあ、お父さんを解放して!』
ルミエル『くっ・・・!!お前達も裏切り者として一生監視対象になるのだ!覚悟しておけ!』
そう言い残し飛び去って行った。
ナーシャ『行ったみたいね・・・』
ニーナ『お父さんを探さなきゃ!』
3人はコテツを探し始める。
建物の地下を捜索する3人。
すると奥の牢屋から声が聞こえてきた。
コテツの声である。
コテツ『うおおおお!!』
コテツはまだ意識があるようだ。
しかし今にも死にそうである。
急いで駆け寄るナーシャ達。
ナーシャ『あなた!』
アニー『お父さん!』
ニーナ『お父さん!』
3人はコテツの元に辿り着く。
コテツ『……ナーシャ、それにアニーとニーナまでどうしてここに?』
アニー『お父さんを助けに来たんだ!』
ニーナ『それよりひどい傷よ・・早く手当しないと』
ナーシャ『待って、今治すわ!』
ナーシャが回復魔法をかける。
しかし効果はない。
コテツ『無駄だよ・・・俺はもうすぐ死ぬ・・・』
ナーシャ『そんな事言わないで!』
アニー『……お母さん、僕がやる』
ニーナ『私も!』
アニーとニーナは手をかざすと、そこに光が収束していく。
その手からは眩しいほどの光が発せられていた。
アニーとニーナの手から光が放出され、それがコテツを包み込む。
徐々に塞がっていく傷口。
コテツ『……これは』
ナーシャ『……信じられない』
アニー『……やった!』
ニーナ『……治った?』
コテツ『ありがとう!!アニー、ニーナ!』
アニー『……良かった』
ニーナ『……本当に助かってよかった』
コテツ『……ところで天使族はどうなったんだ?お前たちが倒したのか?』
ナーシャ『ええ、なんとか退けたわ』
コテツ『……そうだったのか。俺でも適わなかった相手なのに。
流石は勇者の血を受け継ぐものたちだな!』
アニー『えへへー』
ニーナ『褒められた〜』
ナーシャ『……さあ、私達の家に帰りましょう!』
コテツ『そうだな、帰ろう』
4人は天界を降りていき地上へと戻る。
そして久々の我が家に帰った。
テーブルに座り、食事を摂る。
久しぶりの食事に涙を流すナーシャ。
ナーシャ『……温かい』
コテツ『……ナーシャ、辛い思いをさせてすまなかった』
ナーシャ『いえ・・・私達4人で罪を背負えばいいのです』
アニー『うん、またあいつらが来たらやっつければいいもんね!』
ニーナ『うん!』
その夜、久しぶりに4人同じベッドで寝る事にした。
月明かりが差し込み、部屋を照らす。
コテツ『みんなでこうしていられるのが夢みたいだなぁ・・・』
アニー『大丈夫!夢じゃないよ!』
ニーナ『私達がいるよ!』
コテツ『ああ、これからもよろしく頼むぞ』
ナーシャ『はい、よろしくお願いします』
こうして4人は幸せに暮らす事となった。
END