圧倒的デレ要素が多いツンデレたち
初投稿です。軽く人物紹介すると、
深羽 主人公
るな 積極的ツンデレ
卵瑠璃 お姉さんツンデレ
波留 無口ツンデレ
といった、感じです。誤字脱字あったらすみません。
「ちょっと深羽!」
はいはい。朝からツンツンかぁ?
「どうした。るな」
「私の下着がないの。昨夜おかずで使ったりした?」
ツンツンじゃねえ。これは言うことミスッたらすべてが終わる。てかなんでオカズになるんだよ。
深羽は慌てて否定する。
「えっとな。るな。いくらお前が可愛いからって下着をオカズにはしないぞ?」
どうだ?俺じゃないってわかってくれたか。るなの顔をチラッと見る。すると
「なによ。私が可愛いなんて。そんな…」
あ。デレた。可愛いでデレるのはツンデレあるある。だがこの状況でのデレはまずいかもしれない。
「ちょっとるな?」
デレていたるなに卵瑠流が声をかける。
「これってるなの下着じゃない?」
俺がいるのにも関わらずこいつ目の前に下着出してきやがった。うん。ラッキー。
「ちょっと!深羽いるのに下着出してこないでよ」
照れで赤くなっていた顔が羞恥で赤くなる。
「え?深羽ってもうみんなの下着を夜使ったことある変態じゃないの?」
「え…嘘でしょ…」
たまたま通りかかった波留にも誤解を生むような発言を聞かれてしまった。
「使ったって着けてたってこと?…うわぁ… 」
ちがーう!どっちにしろ違うけど。こいつらは俺が下着フェチだと思ってんのか。
「あのなぁ。お前らがいくら美少女だからって下着で抜くようなことはないぞ」
「えぇ…」
「そんな…美少女なんて…」
「もう… 深羽…」
朝からデレ× 3か。そんな幸せっぽそうな生活を送っている俺の名は入山深羽。そしてツンデレ美少女3人の月城るな、神丸卵瑠流、鳥夜波留と色々あって同居している。もう2ヶ月の仲だ。そして同じ高校に通っている。ちなみにるなと波留とは同級生。卵瑠流は1つ上のお姉さんだ。そしてそして今日は進級式。俺は高校二年生となる。三人と共に家を出た。学校に到着して、卵瑠流とは別れ、二年生のクラス発表の場所へ向かう。
「別に深羽と同じクラスになりたいとか思ってないから」
はいはい。るなちゃん可愛いね。
「私も…」
そこで対抗しなくていいだろ波留。こういう状況では大体全員同じクラスになるパターンだがそんなことは断じてない。なぜなら俺は文型の特別クラス。普通クラスはランダムな組になるが俺は確定で特別クラスの10組。こいつらの残念そうな顔が目に浮かぶ。それを糧に俺は新学期を駆け出すか。そしてクラス発表の紙が貼り出された。その場にいた全員がキッと貼り紙を凝視する。
「深羽の名前発見ー!」
まぁ「い」だからな名薄の上の方にあるだろ。
「その下、月城…あ!私の名前あるー!」
ん?同姓同名か?
「私もあったー!」
波留も叫ぶ。え、こいつらも特別クラス?
「ちなみに何組なんだ?」
「1組よ。深羽と一緒。えへへ。」
1…だと。それは普通クラスだ。
なぜだ。俺はあの日親友の有牙と一緒に10組に行こうと約束したじゃないか。そんな時有牙が俺に話しかけてきた。
「深羽、お前クラス選抜落ちたんだな」
へ?あぁそうか。特別クラスは応募者の中から成績上位順に選ばれていくんだった。てかこれ俺かなりダサイな。え、ガチでダサくね?
「別に深羽と同じクラスでうれしいわけじゃないし」
デレデレなるなを横目に有牙が言う。
「お前こっちのほうがよかったんじゃねぇか。正直うらやましいぞ」
まあ客観的に見たら結構幸せな高校生なんですけど…その後有牙と別れ1組へ向かう。
教室に入った途端に教室内の男子が騒ぎ出した。
「誰だ?あの可愛い子二人」
「マジでめっちゃ可愛いやん」
「あれ、でも真ん中にいる奴って深羽じゃね?」
「おい、深羽ちょっと来い」
友達だったはずの男子が敵に変わる。
それからホームルームまで俺は尋問地獄だった。そして自己紹介など色々終わり、休み時間となった。るなと波留とは席が離れている。あいつらオリエンテーョン中ずっとこっちチラチラ見てきやがって。帰ったらデレさせまくってやるからな。クラスを見渡すと早速二人の所には自己紹介で浮いていた陽キャ共が、飯に誘っていたが、しっかり断られていた。そしてなんだかんだでー日が終わり帰路につく。二人は先に友達と帰ったが、途中で卵瑠流と会った。
「ンッ…一緒に帰ってあげるわよ。」
「そんな嫌そうなら一人で帰るよ」
「え、ちょっ、待ってよー」
とういうことで一緒に帰ることにした。どうやら三人の男子から熱いお誘いを受けて大変だったらしい。
「クラスはどうだった?」
「あの二人と同じだったよ」
「えぇ、2人ともうらやまし…フン、最悪ね」
そして家に着いた。ツンデレ二人はまだ帰ってきていなかった。さーて。じゃあ俺はFPSゲームでもやるかな…
「ちょっと深羽!来なさいよ!」
いや何?リビングへ行くと卵瑠流がトランプを出していた。このトランプの並びは…
「スピードならやらないよ?」
「暇なの!やって!三本勝負!」
本当にこいつ俺より年上かよ。お姉さん要素体だけじゃねえか。
呆れる深羽に1つの魅力的な単語が飛んできた。
「深羽が勝ったらなんでもする!」
あぁ来たよ。恋愛で定番の何でもする宣言。そこまで言われたらやるけど、その前に一つだけやっておくべきことがある。そしてこの機会を逃すまいとスマホの録音を起動。
「今なんて言った?」
「深羽が勝ったら何でもする!」
「本当に何でも?」
「ンッ。そうよ」
はい。ありがとうございます。スマホの緑音を切る。
「ねぇ。録音したでしょ!まぁいいわ。私が勝ったら深羽が何でもしてね」
「うん。やろうか」
そして始まった第1回戦。卵瑠流のトランプ出す速さが意外と速く手札にカードが残りまくって普通に負けた。
「深羽に何してもらおうかなー♪」
クソッ。次どうしても勝たなくては。ハッ。そうだ。
そして2回戦が始まった。トランプが配られ、出そうと卵瑠流が手を出してくる。そしてその手にまずはサッと一瞬触れる。
「あ、ごめん」
「ベ、べつにいいわよ」
よし!少しデしたぞ。この調子でもっと集中力を削いでいく。ゲームも後半にさしかかった頃、次は卵瑠流の手を包うように自分の手を重ね、ちょっと握った。
「ねえぇ…もう…」
しゃぁ!今のうち。連続でトランプを出して勝利。
「ズルイよぉ…」
「勝負も勝てて卵瑠流の手も握れるとか俺って幸せ者だなぁ」
「ねぇ!言わなくてもいいじゃん!」
そして始まる三回戦。卵瑠流は上手く俺の手を避けてトランプを出してくる。しかし、出しにくいのか前よりもスピードは遅い。かなり互角な戦いとなり、二人とも数枚で勝利という状況となった。ここだ!卵瑠流の手に焦点を合わせサッと手を出す。だが卵瑠流は俺の動きを見切ったのか、かわされてしまう。俺がバランスを崩したときに卵瑠流は残りのトランプを出し切って俺が負ける。
「勝ったよー!」
負けてしまった。クッソ。でも、ハナからいやらしいお願いする気はなかったけど。俺、紳士だから。(意気地無しのチキンともいう)でも勝って何かデレさせるようなことさせたかったぁ‥
「俺に何を望むんだ?」
潔く聞いてやろう。そう思っていると深羽も期待はずれなことを言われた。
「今夜の洗濯物畳んで」
は?こいつこれまでの行動から少なくとも俺に好意があったと思うから甘い感じのこと言われると思ったのに違うの?
「ホントにそれだけ?」
「そうだよ?」
「あぁそ… 」
「何か期待でもしてたの~?」
「いや別に…」
俺の表情から何を思っているのかがわかったのか、嘲笑するような笑みを浮かべ、言葉の弾丸を飛ばしてくる。
「思春期だもんね~」
「…」
「深羽も健全な男の子だもんね~」
「……」
「昨夜もしこしこやってたもんね~」
「‥……」
「え、本当にしてたの?」
ずっと俺が無言だったから肯定していると思ったのか、質問が投げかけられた。反撃だっ。
「あぁ。もう毎日がevery day間隔でやってるよ」
「えぇ‥ //」
デレるなら始めからそんなこと言うな。まあ毎日やってることは嘘ではないんだけど!
「ご飯作るね‥」
そう言って卵瑠流は逃げるようにキッチンヘ行き冷蔵庫から食材を出し始めた。俺もゲームやるか。そして深羽は部屋に戻り、誰もいなくなったところで卵瑠流は呟く。
「将来毎日することになるのかなぁ」
「たっだいまー」
玄関からるなと波留の声が響く。帰ってきたか。あいつら。どうやら友達と遊びに行っていたらしい。そして卵瑠流からも晩飯だと声がかかる。ダイニングテーブルに行くともう三人とも俺を待っていた。
「遅い」
「早く食べたいんですけど」
冷たく言い放ちつつも言葉の端からは全くそんなこと思ってないことがうかがえるるなと波留の発言。卵瑠流も何か言うのかと目を向けるとロパクで
(エッチ)
こいつさっきのことひきずってやがるな。ここは気づかなかったふりをしておこう。
「じゃあ食べようぜ」
「何であんたがしきんのよ」
無視して続ける。
「いただきまーす」
そうしてつられるように三人も食べだす。美味しい。卵瑠流の料理は本当に上手いんだよな~
「卵瑠流って本当に料理上手だよね~」
同じことを思っていたるなが言う。
「いいお嫁さんになれると思う」
そういう話はまだ早いと思うぜ波留。
「んっ。そうだと良いけど。でも…」
何で顔赤くなってるんだよ。
「それだと毎日…」
おい。てめェ。
「毎日?どういうこと?」
卵瑠流の表情に気づくことなくるなが問いをぶつける。
「何でもないっ」
え、神丸卵瑠流が入山卵瑠流になる気だったってことなのか?いやそれか俺の発言のせいで男=毎日やる生物だとレッテルが張られた?だとしたらこれから卵瑠流と出会う男の人たちには申し訳ないことをしたな。考えていた深羽に波留が声を掛ける。
「深羽、この後できる?」
波留の言ったことを察した深羽が答える。
「もちろんだ」
残りのスープを吸い、ダイニングルームの隣の洋室(ゲーム部屋)へと入る。俺と波留は無類のゲーム好きだ。
「さぁ今日は何をする?」
「ス⚫️ブラ!」
「ス⚫️ブラは1週間ぶりだな。前は俺がタイマンで勝って終えたんだったな。今日もタイマンか?」
「いや、オンラインしたい」
「よしわかったぜ。相棒。今日もビップ常連の俺らの力を見せつけようではないか」
「……OKブラザー 」
いつもはそっけなくあまりしゃべらない波留もゲーム中はノリノリだ。そして2人対戦でマッチングする。ゲームスタートの音が聞こえた途端2人のコントローラーのカーソル音が部屋中に響き渡る。
「オッケ。メテオ」
「ナイス」
ぼそぼそ単語を言いながらプレイすること90分。全勝だった。
「今日は波留のプレーに結構助けられたぜ。サンキューな」
「深羽にはいつも助けられてるよ。現実もこうだったらいいんだけど」
「おい。俺だって現実でやるときはやる男だぞ」
「やるとき…バレないように下着を使う…確かにやるときはやってるね」
「下着で抜かねーよ。あれはるなの自意識過剰さからの誤解だ」
まあ自意識過剰といってもあれだけ美少女なら下着で抜けることもあるとは思うが。
「お風呂入ってくる」
フッと意味深な笑みを浮かべてから波留は部屋から出ようとする。
「おん」
「上から二番目のかごに脱いだ下着は入ってるからね」
真顔で爆弾発言を言い放ち、部屋を後にした。
ちょっと見るくらいならいいのかな……一瞬邪な考えが脳内に走り渡り、軽く頭をトントン叩き脳内をリセット。
予告通り上から2番目のかごに脱いだもの全てを突っ込み波留は入浴した。体を洗い終わり湯船に浸かるといつも通りの無口キャラに戻る。そしていつも通りのキャうに戻った途端、思い出してしまった。さっき深羽に言ったー言を。
「……ホントに見にくるのかな… 」
ボソッと口にしてからカッと頬が赤くなる。
「別に期待してるわけじゃないし…」
考えれば考えるほどボーっとしてくる。そしてのぼせかけてるなに救出されたのはまた別のお話。
「深羽!洗濯物たたみなさい!」
波留と別れてからさっき約束した卵瑠流から声がかかる。リビングに行くと洗濯されたものがドッサリ積まれている。
女子高校生の衣服となると、ストッキングやら上着やらで洗濯物の数が増える。しかも我が家はそれが3人分なので本当にやばい。いつもは自分のものは自分でたたむ方式なのだが、今日はこれを1人でか…
「んじゃ。よろしく~」
気楽そうにリビングから出ていく卵瑠流を睨め付けてからたたみはじめる。
……ナニコレ。どうやってたたむんですか?ヒラヒラしてたり、スカートかと思ったら上半身と繋がっていたり。男の俺にはさっぱりだった。そして、なんだかんだで洗濯物も少なくなってきた時に深羽は発掘してしまった。洗濯物ならば混じってて当然のアレだ。
……ブラだーー!
紫色、黒色、淡いピンク色の三点セットだ。周りにレースがついていて可愛いデザインになっているもの。地味なデザインのもの。ちょっと大人っぽいもの。サイズは…もちろん全部デカい。
え、どれが誰のだろうか。全員デカいから誰のか判別できんな。って俺は何を考えている。
男として反射的にそんな考えが深羽の頭に浮かんでしまう。そしてこれをどうしようかと深い思考に入る。
これはたたまないのが賢明な判断だよな。仮にたたんだとしたら下着に触れた変態となるだろうな。おそらくパンティーもどこかに…って残ってんのこのブツだけだからこのブツの下に埋もれてんのか。
思考中の深羽は無意識の中でブラたちを見ていた。無意識だったので下心はないが、客観的に見たら、そうはいかない。
「……深羽?」
この声に顔を振り向ける深羽の反応速度は速いこと。るながなぜかぐったりしてる(さっきのぼせてた)波留に肩を貸して獣を見るような目で見下していた。
「朝は冗談で言ったよ?私。」
「おい。誤解でしかないぞ。」
「私のじゃ満足できなかったの?」
のぼせた波留が本当にまずいことを言ってしまう。るなも顔を引き攣らせた。その時卵瑠流が再びリビングへと来た。ここで誤解を解けるチャンスだと思った深羽はるなが先に口を開くより早く卵瑠流に声をかける。
「洗濯物終わったぜ。あと…言いにくいんだけど、下着。どうすればいいか?」
卵瑠流はアッ忘れてた。やべ。みたいな顔をして、
「そ、それは私がやるわ」
といってたたみ始めるもここでるなが口を開いてしまう。
「深羽さ~ずっと下着を凝視してたんですけど~」
おい。やめろ。
卵瑠流に聞こえるようにわざと声を大にして話し始めたるな。
「下心しかないように思えたんですけど~」
それだけ言い残してから波留をソファに寝かせて自分の部屋に向かおうと廊下に出て行くるな。キツイ卵瑠流の視線が背中に刺さりまくってるのを感じながら深羽はるなを追いかける。
このまま下着の話を引きずり続けられたらまずい。あいつの口から二度とこのことを言えないようにしないと…そこで一つの妙案が思いつく。妙案といっても正確には奇妙な考えという意味で妙案だが。これにかけるしかない。
「るな~」
何だよと言わんばかりにるながきっつーい目でふり向く。深羽は覚悟を決めて言葉を発する。
「ピンク色の下着ってお前のなんだろ?」
一気にるなの顔が真っ赤になる。この反応からすると当たりだな。
「周りにレースもついてて、 なんかすごく可愛いかったよ。まるでるなにぴったりだな。って思ってさ」
これが深羽の言う妙案であった。今日の下着事件=るなにとって口にしたくなくなる出来事というレッテルをべったりと張りつけ、口外を防ぐ&後々るなに問いつめられるということをなくすという策だ。そしてるなは顔を俯けている。るなが怒ってビンタとかいろいろ飛んでくることは覚悟していた。すると、るなが顔を上げる。先ほどまでの赤面はどこへやら。そして全く予想外の言葉が飛んでくる。
「あっそ。ありがと。じゃあさ、あんた風呂入ったら私の部屋に来なさい。下着あんなに見られたし…もういいよね……」
そう言い残し、るなは風呂場へ向かっていった。
ちょっと待て。あの感じはもしかしてのもしかしてなのか…今晩俺…卒業ってコト?お母さん、お父さん、ばあちゃん、じいちゃん、有牙、佑公、太呂、悠蒼、潤人………今までありがとう。
友の名を一人ー人思い描く深羽。そしてスマホで詳しいやり方を調べ始めたのであった。
それから時間は10時をまわり、深羽は風呂も入り終わり、るなの部屋に行こうか迷っていた。
こういうのって俺から行くべきなのか?いやでも向こうにも準備ってものがあるんだろうしな。勝手に入るのもどうかと思うし。よし。ここは待とう。
………と思いつつも、あれから時間がたって頭が冷えた深羽は、自分が思っていることが起こるわけねえだろとわかっていた。
深羽は待った。30分くらい待った気もするが実際は5分待った。そして遂に深羽の部屋に軽いノックが響いた。
「ホラ、来なさいよ…」
「お、おう」
そしてるなの部屋に入る。すると、思わずにやけが止まらなくなりそうになるのを必死にこらえる。
めっちゃいい匂い。一生嗅いでてもいいくらいだった。一言で表すとたまらん。
そしてるなさそのままベッドイン!そして何かを求めるように目を細めて両手を挙げる…ようなことをするのは深羽の妄想の中の光景だった…はずだった。部屋に入ってドアを閉めた途端るなが、その通りの行動をする。
「早く来て…」
「は?」
「早く…」
その瞬間俺はるなに初めてを捧げるのだと察した。そして察した瞬間体中が緊張で硬直する。死後硬直にも負けないくらいガチガチ具合だった。(アソコはビビってふにゃふにゃ)
「緊張してるの?」
いつものツン要素はどこへやら。といってもデレデレ要素もない優しい声で話しかけてくる。
「まずは前戯からかな……ほら。来てよ…」
その声に勇気を出して歩みを進める。そしてるなの隣に座る。
「まずは…私の体触っていいよ?興奮……する?」
そう言って自分の体を俺に押しつけてくる。美少女とのペッティングはハードルが高すぎた。そもそもるなとは恋人同士という関係ではない。ホントにこれでいいのだろだろうか…るなのことは嫌いじゃない。嫌いなわけがない。だからといって異性として好きなのかわからなかった。それは卵瑠流にも波留にもいえることだが。そしてるなとは恋人という関係でない。…いろいろ考えてはいたが、もちちんるなとやりたいという考えはあった。だが堪える。それから何もせずに1分が経過する。
「あー!もういい!」
るなが声を張り上げる。理由はどうであれ誘惑を無視されたのだから怒るのは当然だろう。
「何よ?私じゃ興奮できないの?する気になれないの?あんなに下着見て。私より下着なの!?この変態下着フェチ!性的な目でしか私のこと見てないし、私のこと好きでもなんでもないからやろうとしなかったんでしょ。やりたくなかったんでしょ!」
誤解している部分があるが、るながなぜこんなことをしたのかわかった。そして反省する。
「ごめん」
怒りににじんだ顔でるなが睨みつけてくる。
「俺の発言が迂闊だった。その、るなの下着のことに触れて今回の件を二度と話にならないようにしたかったんだ」
続ける深羽。
「自分の都合よくするために最低なことを言ってしまった。本当にごめん」
するとるなが口を開く。
「別に…下着のことはもういい。なんか…今の言葉聞いてると私の誤解だったような気もして……ごめんなさい。でも…でも!」
るなが次に言いたいことを察する。
「私とはやりたくなかったってことは…私、相当深羽に嫌われて」
「そんなわけねぇだろ!」
ビクっとるなが目を丸くする。
「お前を嫌いだと思ったことなんてな、俺は一度もない。俺がお前とやりたくなかっただと?そんなことは思わなかった。なんなら我慢しかけてたんだぞ…」
「じゃあなんで…亅
「こういうことは基本的には恋人同士がやることなんだぞ。俺は本当にるなが俺のこと好きなのかわからなかった。もしかしたらお前は俺に下着のこと言われてそういう気分になってたのかもしれないとも思っていたし。好きじゃない人とやるなんて嬉しいわけないだろ?これはお互いの愛があってこそ意味があるんだと思う」
なんか保健の授業みたいなことになってしまった。
「ふーん…それってさ、つまり…」
頬を少し赤らめて言われる。
「私のこと思いやってくれたってこと?」
自分でも気づけてなかった核心を突かれてハッとなる。確かにそうだ。長い言葉をつづっていたが、なぜこんな考えになったのかといえば、るなのことを大切に思っていたからだ。多分、いや絶対、卵瑠流にも波留にも同じことが言えるのだろう。どうしてそう思えるのだろうか。好き…だからか?昔、自分の初恋の相手に感じたものと似たものを感じかけた。でも…やっぱりわからない。本気で人を好きになるという感情が。いや、正確にはあの日からわからなくなってしまったのかもしれない。
「のあちゃんのことが僕は好きなんだ!」
「ええ!ホントに?」
「ホントだよ。それでその…のあちゃんは…僕のこと…」
「私は……みっくんのこと」
「ちょっと!もう6時よ」
「あ、お母さん…」
「お友達?いつもうちの子と遊んでくれてありがとうね」
「あ、はい」
「ごめんね。みっくん。また明日!そのときに伝えるから!またね!」
「うん。またね」
「またね」この言葉はまた会おうね。という意味なのだろう。ならそれはおかしいだろ。あの日から今までー度も会っていないのに。投げかけた愛の言葉はまだ返ってこないのに。
「ありがとう」
嬉しそうにるながつぶやく。
「お、おう」
思いにふけってしまった深羽はいつもの調子を取り戻そうと話す。
「でもお前なぁ。もしこのまま本当に俺がやってたらどうしてたんだよ」
「そ、それは…」
少し考えてからフッと笑い、綺麗な長い髪をかき上げて言った。
「アンタにそんな度胸ないと思ってたし?一歩ひいてくれると信じてたし?」
「じゃあ何でさっきキレてたんだよ」
「触ってもらって、いざ挿れるぞ!って時に引いてほしかったんですー」
「触ってはほしかったんだ」
「ちがっ!フン。もう寝ましょ。ホラ!早く帰りなさいよ」
「はいはい」
そうしてるなは深羽を部屋の外に押し出して、はぁとため息をつく。
「嬉しいに決まってるじゃない…」
部屋の外に出された深羽もはぁとため息をつく。
今日のせいでもう下着にはこりごりだぜ。もう下着が一種のトラウマみたいになっちまった。それにしても…
好きという感情の疑問。これがさっきから脳内に絡みついて消えない。のあは俺のことどう思ってたんだろうか。嫌いだったのだろうか。だから返事も何もせず俺の前から消えてしまったのか。そんな考えが次々と、湧き出てきてしまう。だか、それらよりも…もっと重大な疑問が出てきてしまった。
俺は…また誰かを好きになれるのだろうか。
そう思い立った途端今の同棲者たちのことを思う。
いや…大丈夫だ。
あの3人がいればきっとあの時感じた好きを取り戻せるんじゃないか。そんなことを根拠もなしに今感じた。
そして今日はもう寝ようと自分の部屋の扉を開ける。すると…
「はぁ?」
深羽が部屋に入るとブラが床に2つ散らばっていた。さっきのこともあってパニック気味になった深羽の後から声をかける同棲者が2人。
「今日もするんでしょ?それサイズ合わなくなったしデザインも地味だからあげるわよ」
「もっとあるから…欲しかったら言って」
卵瑠璃と波留にブラを投げつける深羽。
「いらん!!」
「ちょっと!持ってくるの恥ずかしかったんだからもらいなさいよ!」
「いーらねぇよ!」
「深羽強がっちゃってる?」
「ちげーよ!早く持ち帰れ!」
激闘の末、深羽の机の上から2番目の引き出しにブラが収納されることになってしまった。
最後までお読みいただきありがとうございます。評価していたただけると幸いです。