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第98話「悪役令嬢ト戦争」


黒いデコトラ『スサノオ』から逃げてきた俺様達が、誰もいなくなった発掘現場で出会ったのはリヒャルト皇帝陛下だった。

本来危険だからここには来なかったはずなのだが何故かここにいる上に、「デコトラコアを渡せ」ときたもんだ。

俺様はどう考えてもあれは偽物だろうと「デコトラレーザー!」リア!だからいきなり攻撃するんじゃありません!怪しいけどまだ怪しい止まりだから!

だが、閃光が収まった後に俺様達が見たものは全くの無事で立っている皇帝だ。


「何だ?直撃で無事な人間がいるはずが」

だがもちろんそうではなかった、その皇帝の姿がぼやけると人……のような何かにしか見えない何かになった。その背後には本物の皇帝がいる。

さらに背後の闇から別の人物が出てきた。以前教会都市で出会った、グランロッシュとか言う国の大公爵だった。側には何故かエルフの男性を引き連れている。

「えっと、たしかアルフォンゾ・グランロッシュ大公爵サマでしたっけ?邪魔しないで欲しいのだけど」

リアが多少揶揄(やゆ)するような口調で呼びかけるが、当の大公爵はむしろ余裕のある不敵な笑みを浮かべていた。

「おや、覚えていただけていたようで光栄だよ、アウレリア嬢」

リアは、自分が捨てた名前で呼びかけられたので嫌な顔をしたが、それは大公爵の方もそのつもりだったのだろう。


だが今はそんな事より気になる事が別にあった。もたもたしていると後ろからスサノオがやって来るであろう事もだが、眼の前のデコトラレーザーを防ぎ切った人型の何かだ。

そいつは人の形をしているが、まるで金属の彫像だった。(にび)色に光るそれはまるで周囲の光を吸収するかのようだ。が、その人形の顔が変わる。その顔は見た事がある、クリスティアンだ。

「こいつ!クリスティアンの顔に、”成りすまし”か!おい囲まれたぞ!ええいくそ!よりによって()()()が出てきた時に!」

フェルドの言うようにいつの間にか、俺様達の周囲に何体もの”成りすまし”の姿があった。

「まずいなリア、囲まれてしまっている。さっきのデコトラレーザーが効かなかったみたいだし、結構頑丈そうだぞ」

「えー?だったら今度こそ巡航ミサイル?」

何がなんでも巡航ミサイル撃ちたいんですかリアさんは、お願いだからそれは我慢してね?


「”成りすまし”に守られているという事は、そこの皇帝は偽物じゃな?」

「いやいや、私は本物だよ?そもそも私の”成りすまし”なんてどこにもいないからね」

レイハの疑問に自称本物の皇帝が笑いながら答えた。いやちょっと待て、お前が偽物に困っていると俺様達に助けを求めたんじゃなかったのか?

「そもそも最初から私の狙いはデコトラコアでね、君達がこの国にいるという情報を得てから機会を伺っていたのだよ。

そもそも本当に偽物がいるというのなら排除すればいいだけではないか、私は別に皇帝のままなのだから」

おい、仮面舞踏会で俺様達に接触してきた時からずっとこの機会を伺ってたって事かよ、誰だよ俺様達がこの国にいるって情報を流したのは……、って考えなくても大公爵か。


「ねぇ、一体何がしたいの?国がおかしな事になってるとか言ってたけど結局自分でやってた事だし」

リアが珍しくイラついてる、何のつもりかわからないが利用されたも同然だからな。結局俺様達をこんな所にまで誘い出して結局狙いはデコトラって。

「いやいや、私は皇帝とはなっているけど実は不便なものなんだよ?何をするにも貴族や議会を説得しないといけなくてね、なかなか権力を振るえなくて困っていたのだ。

だがこの”成りすまし”達はとても便利でね、成り代わった者達は皆私の指示に従うからね、戦争を起こそうとするならこれくらいの事をしないといけないのだよ。」

そう言えばこの国はやたらに軍備を固めてる感じだったけど、こいつが自分で指示してたって事か。ちょっと待て、戦争を起こすってどこの国とだ?

「ねぇ、戦争ってまさかテネブラエに攻め込むの?」

「ご名答、いい加減あの国も目障りでねぇ、そろそろ滅ぼそうかと思っていたんだが中々進まなくてね。

どうしたものかと思っていたのだがそこの大公爵君からデコトラコアを条件に”成りすまし”の技術供与をしてもらったのだよ、デコトラの遺跡も見つかっていたしね。仲間のデコトラを引き合わせればどうにかなるかと思って、ね」

思って、ね。じゃねぇよ。故郷に攻め込むと聞いたリアの顔色が変わった。捨てた故郷とはいえ全くの無関心ではいられないんだろう、優しくしてくれた王妃様もいるからな。

「さて、そろそろ良いか?デコトラを渡してもらおう。これでようやく主従契約のされていないデコトラが手に入る」

大公爵がぬけぬけと言ってくるけど、こいつたしかグランロッシュ国の貴族だよな?このままだと隣国が戦争になるのに大丈夫なのか?

「あの野郎……、こんな遠方の地で何やらかしてくれてるんだよ」

「我慢ですよフェルド、今あなたが大公爵と出会うとややこしい事になります」

何故かフェルドとマクシミリアンが大公爵に反応していたが問いただしてる余裕は無いな。


「ねぇ、戦争が始まりそうなんでしょ?自分のすぐ隣が戦争になるのにどうして平然としていられるの?」

「むしろ望む所だ、この国がテネブラエを攻め落とし、私はそこへデコトラで参戦するだけだからな」

戦争がしたいからデコトラが欲しかったとか言い出した。こいつ本気でやばい、というかこの大公爵といい皇帝といい戦争したいやつばっかりかよ。


「アウレリア嬢、そもそも国を捨てた貴女にとってはもうどうでも良い事なのではないか?気にする程の事でも無いだろう」

「それを決めるのは貴方じゃないわよ!私がどうするかは私が決める!」

リアがついに激昂した、さすがに戦争ともなると生まれ故郷がどうなっても良いと思えるほどには割り切れていないのだろう。

だがその言い合いに割り込んでくる者がいた。皇帝だ。


「おいおい、君たちは何か勘違いしていないかな?この私が戦争を起こそうとしているとして、妨害される可能性を考慮せず計画を口にしていると思うのかね?

とうの昔に全軍に指示を出しているよ、もう戦争は始まっている頃だ」

皇帝は勝ち誇るでもなく、ただ事実を述べるかのように淡々と告げた。その態度が逆に俺様達の背筋を冷たくする。


『貴様らー!儂をコケにするのもいい加減にしろ!』

ややこしい時にややこしいのが来た!スサノオが崩れた穴をぶち破ってついにこちらに追いついた。

だが、ブチ切れていたであろうリアは即座に行動を起こした。


「【ガイドさん】!デコトラガントレット!」

リアの指示で俺様の両脇に巨大な腕が生える。その動きはリアの両腕とリンクしているようだ。

大きく腕を振りかぶったリアは、同時にアクセルをベタ踏みする、加速してた俺様は巨大な拳で思い切り『スサノオ』に殴りかかった。

「【ガイドさん】!私達は転移!場所はテネブラエとこの国の国境!こいつは好きにして!」



次回、第99話「悪役令嬢ト国境防衛」

読んでいただいてありがとうございました。


基本的に月水金 夜の5時~6時頃で更新いたします。

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