第110話「悪役令嬢ト究極形態」
【ご案内します。私の名はアデライド、”外なる神=アデル”の化身体です】
「いや突然そんな事言われても?えーと」
俺様は混乱した、今まで単なる案内役と思っていた【ガイドさん】が突然おかしな事を言いだしたのだ、しかもその名前が聞いた事のあるものだったのだ。
【ご案内します。ジャバウォック様が思っている通り、私は先ほど貴方がたが救った赤子のその後の姿です。本体そのものではありませんが、色々あってその一部が化身体としてジャバウォック様の案内役となっております」
「じょ、情報量が多い……」
いきなりそんな事を言われても混乱するだけなんだけど、今さっき未来へ送った子供が俺様の案内役になってたって、未来でいったい何があったわけ!?
「ねー! だから何かするなら早くしてー!」
リアさんは只今絶賛奮闘中だった。
「えーと、ウチの命にも関わりかねんから今のうちに質問させてもらうぞ、外なる神とは何じゃ、そもそもお主の目的は何なのじゃ」
【ご案内します。根本的な目的は、私の前身『個体名:アデライド』の命を救う為でした。私は未来で『外なる神』、要は別世界の管理者となるので死んでしまっては困るのです】
「何故にそんな回りくどい事を、神みたいなものというなら直接手を下せば良いではないか」
【ご案内します。私の本体は『外なる神』ゆえに、この世界には直接手出しはできません、間接的にしか支援・誘導できないのです】
「だから回りくどいと言うに……。そうか、あの子は無事だったんじゃな」
【ご案内します。私の本体からも伝言を預かっております】
突然、俺様達の前に半透明のメイド服を着た人物が現れた。
テネブラエ王族の特徴という褐色の肌に黒髪のおかっぱで、印象的な翠色の瞳の物静かな印象を受ける十代前半の少女だった。
『ありがとうございました』
そっと頭を下げられながら言われた言葉に、俺様達は一瞬無言になるしかなかった。隣でぎゃーぎゃー言いながら戦ってたリアも一瞬黙る程に。
リアは一瞬目をつぶると、気合を入れるかのようにハンドルを握り再び戦いに集中し始めた。
俺様達の腹は決まった。腹を決めるしかなかった。
「レイハ、何だかわからんけど、やるぞ」
「……仕方ないの。此の天地に仰ぎ奉る掛けまくも畏き天照大御神、産土大神等の大前を拝み奉りて日之元国が第ニ皇女、零羽が畏み畏みも白さく、大神等の廣き厚き御恵みを辱み奉り高き尊き神教のまにまに直き正しき眞心もちて誠の道に違ふことなく……」
レイハが以前のように長い長い呪文のようなものを唱え始める。
【ご案内します。『神格:アマテラス』の同意が取れましたのでデコトラコアを作成いたします】
「早いな!?」「早っ!」
俺様もレイハも驚いた、だが【ガイドさん】は俺様達の驚きをよそにどんどん状況を進めていく。
突然目の前に光る玉が出現し、リアが運転している運転席の所に吸い込まれる。
【ご案内します。個体名:アデライドをコアに変換、クアドラプルコアドライブモード開始、『アマテラス』の神格をベースにしてジャバウォックの進化を促進します】
え? 俺様? どういう事?
俺様の体が光に包まれ巨大化を始めた。外から何らかのエネルギーを流し込まれて強引に強化されて行くような感覚に襲われる。
なおその模様は運転席でもフロントガラスに映し出されていた、どうやって撮ってるんだろこれ。
車体の外部にどんどん部品が追加され、手足が生えて巨大な手の姿から巨大な生物の姿へと変わっていく。
荷台のパネルは上に跳ね上がって展開されて翼のようになり、ヴォーパルソードを握っていた巨大な手は剣を手放し指が反り返るように鬣に変わり手のひらから獣の顔が生えて来た。
ヴォーパルソードは額の部分に鬣の一部のように後ろに流されるように装備されて俺様の変形は完了した、全長100mはあるぞこれ……。
【ご案内します。ジャバウォック様の究極形態:神傀獣への進化が完了いたしました】
「おおー、大きくなったー」
「えーと、巨大なデコトライガー?なんか羽根とか角とか色々付いてるけど……」
「お主も行き着く所まで行き着いた感があるの……」
究極形態とか言われても、ほぼゾ◯ドみたいになられえても困るんだが、こういうのって人型に進化するものじゃないの?
【ご案内します。この形態はジャバウォック様の意志が優先されます、戦闘行動を開始して下さい】
いつの間にかレイハが先に呼び寄せていた神様達は姿を消しており、『スサノオ』の前にいるのは俺様だけになっていた。え、これ俺様だけで戦うの?
『姉上ええええええええ!そんな所で何をやっているううううううう!』
なんか叫んできたけど、いや姉上、ってそういえば俺様の中にいる『アマテラス』ってこいつの姉だっけ。俺様にブチ切れられても困るんだけど。
相手は問答無用で剣を俺様に振るってきた。当然俺様は身体をよじって逃げる、剣には刃だ、俺様は胴体側面からデコトラブレードを生やしてそれを受け止めた。
それだけでは足らないと俺様は前足の爪を長く延ばしこちらからも相手に襲いかかった。相手にはそれを受け止められて鍔迫り合いの体制になる。
押し合いへし合いしていると。
「【ガイドさーん】とりあえずがとりんぐー!」
え?リアさん?
「ミサイル撃ってもらえんかのぅ」
ちょっと待て
「おい、俺達見てるだけなんて嫌だぞ、このデコトラカッターってのはなんだ?」
お前もかよフェルド!
「私は控えめにデコトラレーザーを」
いい加減にしろ!
「あーしはデコトラミサイルねー!山盛りで(人>ω•*)オネガイ」
フォルトゥナさん!?
『我はこの巡航ミサイルというのを所望する』
ちょっとアマテラスさんまで!?それ品切れですから!
『なんじゃ残念じゃの、ならばこの粒子砲とかいうのを』
あ、はい喜んでー。
……お前ら居酒屋の注文みたいなノリで戦うなよ!
期せずして俺様は至近距離から『スサノオ』に対して全ての武装を一斉射する形になった。
あー爆炎やら光でもうわけわかんねーよ。
次回、111話「悪役令嬢ト激戦」
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