第105話「悪役令嬢ト第二次機傀神之大戦」
「何……、あれ」
さすがのリアが絶句していた。あれだけの数のデコトラはインパクトあり過ぎるわな。
俺様達はわりと絶望的な気分になっていた。黒いデコトラ『スサノオ』最終決戦だとばかりに向かっていたら、その黒いデコトラが向こうから飛んできたのだから。
デコトラがどうやって飛んでるんだあれ、俺様も人の、いや車の事は言えないんだが。
問題はそれだけではない、その後方から付き従うように何十台ものデコトラがこちらにやってきているのだ。
【ご案内します。前方から向かってきている74台のうちデコトラ反応があるものは1台のみ、あとは複製されたもののようです。
それでも6~70%程の能力はあるようですので要注意です】
つまり、黒いデコトラ+50台くらいは相手にしないといけないって事なのかよ。
「おい、どういう事じゃあれは、『スサノオ』はともかく、何故にあんな数のデコトラ存在しておるのじゃ」
レイハの声も動揺を隠しきれていない。いきなり相手をしようとする数があんなに増えたら無理も無いのだが。
【ご案内します。あれは模造品です、『成りすまし』とよばれるものの技術を応用したのと、デコトラ遺跡の素材から構成されているようです。ですので模造品といってもかなり精度の高いもので、このまま模倣が定着するとデコトラそのものになります】
おいおいおい、人だけじゃなくデコトラまで複製できるのかよ、何でもありだなおい。
とはいえ、デコトラに匹敵するくらいの能力があるのは洒落にならん。いったいどうすれば「ガイドさん巡航ミサイル!」
だからリア!とりあえず巡航ミサイル撃とうとするのやめなさい!
そうこう言ってると相手との距離が縮まり、互いに静止して対峙する形となった。
【ご案内します。巡航ミサイルではあの数を仕留めきれません、継戦能力を考えるとおすすめいたしません】
巡航ミサイルでも駄目なようだ。言えば核ミサイルとか出せそうだけどなぁ、でもなぁ。逃げようかなぁ。
などと思ってるとフロントガラス一面に顔が大写しになった、ダルガニア皇帝陛下の。これTVみたいに表示できたのか。
「うわキモッ!」
「なんじゃこいつ!」
「急に顔出すなボケぇ!驚くだろうが!」
「紳士貴族にあるまじき悍ましい自己顕示欲ですね、恥ずかしくないのでしょうか?」
「ちょいちょいちょーい!いきなり出てくんなし!ちょっとはムードってものを考えて欲しいんですけどー!٩( ꐦ•̀ з•́)و」
皇帝陛下は皆にボロカスに言われていた、心なしか若干凹んだようにも見える。こっちの声が聞こえているのか?
「やぁ、しばらくぶりだね、アウレリア嬢」
「あら薄汚い裏切り者さん、気安く私の名前を呼ぶないでもらえる?できれば二度とお会いしたくなかったのだけど」
あの、皇帝陛下の顔がどう見ても顔色悪くなったし冷や汗をかいてて、大の大人がめちゃくちゃ凹んでて見ていていたたまれない感じなんですが
そういえば皇帝陛下だったら周囲から罵倒されるなんて事は無いわな、もしかしたら始めて経験する事かも知れない。
「そ、そうか。それはすまない事をしたな」
「本当に申し訳ないと思っていらっしゃるなら、せめてもう少しその見苦しい顔の大きさを何とかしてもらえないかしら?
窓に大写しで気分が悪いのだけれど、できれば完全に姿が見えなくなるのが望ましいわね」
あ、リアの言ってる事を気にしているのかものすごくゆっくりと徐々に表示が小さくなっている。
「これくらいで良いかね?私としても令嬢との会話は有意義であって欲しいと思っているのでね」
「そう、じゃあさよなら」
「話を聞け!」
あ、ついに皇帝陛下がブチ切れた。リアの方はそれに動じた様子も無いな、元々リア自身は相手を敬う気持ちすら無いし画面の向こうだからなぁ。
「良いかね、私は君たちに有意義な提案をしたいのだよ。私もようやくデコトラを手に入れたのだがね、やはり手駒となるデコトラはいくらあっても良いものだ。私の配下にならないかね?」
「嫌」
即答だった。
「相変わらず面白い女だなお前は」
皇帝陛下があまりに不甲斐ないからか、今度は余裕の笑みを浮かべた大公爵まで出てきやがったぞ。それに強く反応したのがフェルドだった。
「てめぇアルフォンゾ!お前ダルガニアの皇帝と何やらかしてるんだよ!」
「なんだ、お前もいたのか」
「なんだ、じゃねぇ!てめぇ戦争に加担なんて何考えてるんだ、グランロッシュだってただじゃ済まないんだぞ!」
「別に良いではないか、私を王太子になんてするからだよ。あの国が無くなったらお前にとっても都合がいいだろう、お前だって第二王子という身分でありながら冒険者なぞに身をやつしているではないか」
「ねぇフェルド」
リアはこの口論している二人の間にも平気で割り込む。余裕の顔をしていた大公爵が一瞬真顔になるくらいに。
「あ?何だよこんな時に」
「知り合いだったの?」
「だからさっき言っただろ!本当に信じてなかったのかよ!こいつは俺の兄だよ!グランロッシュ王国の第一王子!」
「へー、そんな事よりテネブラエの城って今燃えちゃってて大騒ぎなんだけど、戦争しに行くみたいだけどそんな事してる場合じゃないわよ?帰ってもらえる?」
わりと深刻そうな王子二人様の口論をそんな事扱いでぶった切りました。さすがの大公爵もこの流れは読めてなかったようで一瞬沈黙になる。
「そういうわけにはいかんな。まずそのテネブラエの争乱は私が仕組んだものだ、別に驚く程の事でもない」
この大公爵の一言でリアの雰囲気が変わった。どう考えてもこいつの行動が王妃様の死につながってるからな。
「ほぅ、その様子だと交渉決裂のようだな」
「【ガイドさん】、ミサイルとマイクロミサイル、撃ちまくって」
【了解、発射いたします】
リアは問答無用で攻撃に転じた、王妃様の最後の時に何もできなかった事への怒りもあるのだろう、容赦ない攻撃だ。
放ったミサイル群はしかし相手側のデコトラが放った何十倍ものミサイルで迎撃された。そして残りはこちらに向かってくる。
「【ガイドさん】、デコトラレーザー!避けるより突っ込む!その方がミサイル少ないから!」
【ご案内します。では最もミサイルが少ない所を表示します、そこを目指して下さい】
俺様達は迫りくるミサイルの雨にレーザーを撃ち込みながら突っ込んで行った。
デコトラVSデコトラ軍団、機傀神之大戦が再び始まった。
次回、第106話「悪役令嬢ト勝機」
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