第99話「悪役令嬢ト国境防衛」
「やあああああ!!」
リアは俺様の車体の両脇に生えた巨大な腕で黒いデコトラ『スサノオ』にダッシュしながら殴りかかった。
『馬鹿め!そんな大振りで当たるわけが無かろう!』
相手も当然それは警戒していた、なんとあっちは脚を生やしてリアを迎え撃つべく車体ごとジャンプしたのだ。
このままでは殴るどころではない、と思ったがリアも殴りかかるだけでは終わってなかった。
「【ガイドさん】!デコトラミサイル!」
【ご案内します。数を撃ったほうが効率的と思われます。『武装:マイクロミサイル』発射】
俺様の荷台が荷台の天側が観音開きに開き、レーザーの時とは違って今度はミサイルが蜂の巣のように装填されたミサイルポッドが露出し、そこから山ほどのマイクロミサイルが『スサノオ』の胴体に向けて発射された。
『グアアアア!』
相手は空中に飛び上がっているだけに逃げる事もできず全弾命中したようだ。
「まだまだー!【ガイドさん】!デコトラレーザー!」
リアは尚も容赦なく墜落してくる『スサノオ』をレーザーで灼く。
「おりゃああぁ!」
明らかに勢いが落ちて落下してくる相手にリアは拳を再度振りかぶって叩き込んだ、黒いデコトラは巨大な拳でぶん殴られて胴体が大きくへこむ。
【ご案内します。転移の為のエネルギーが足りないのでもう数発殴って下さい】
「了解!おらおらおらおらおら!!」
リアさんが承◯郎のような掛け声でさらに文字通りの鉄拳を叩き込んだ、容赦ないな!
【ご案内します。転移開始、個体名:『スサノオ』は時間転移させます】
毎度の浮遊感と共に俺様達は転移、したらしい、どこかの上空に。
「転移、成功したみたいねー」
「なぁレイハ」
「だからお主は後先を考えろというに!同じ神を短期間に何度も何度もお呼びできんわ!」
俺様達は毎度の事ではあるが空高く空高く、どこかの上空に転移している。眼下には国境線なんて見えないけど多分指定したテネブラエとダルガニアの境い目なんだろう。
「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!なんかとんでもない所に移動してないか!?」
「ふむ、これだけの人数をデコトラごと移動させるとは、中々に興味深いですね」
そういえばフェルドとマクシミリアンはデコトラに乗って転移するのは初めてだっけ。
「えーっと【ガイドさん】、何か良い方法無いかな?」
【ご案内します。『装備:ブースター』を取得すれば飛べますが、現状のDEの総量では無理があります。
非常手段ですがフォルトゥナ様のデコトラコアを利用させていただきます】
「へ?あーし?٩( ᐕ)و?」
【ご案内します。限られたDEでは大した事はできませんので、一時的にフォルトゥナ様の主をリア様として2つのコアを並列稼働させます】
「いや全く状況がわからんのだが……」
「じゃばば!時間無いから【ガイドさん】の言う通りにする!」「お、おう」
「あーしも別にそれでいーよ、ってか早く何とかしないと墜落するって!ヾ(°ω。ヽ≡ノ°ω。)ノ゛ハヨヤレー」
【ご案内します。三者の合意が取れましたのでツインコアドライブモードへと移行いたします】
【ガイドさん】がそう言うと、運転席の床にいた小さなデコトラの姿のフォルトゥナの姿が薄れ、またコアの状態に戻った。
「え!?ちょ!あーしどうなるわけー!?Σ(OωOノ)ノ」
フォルトゥナの驚きをよそにそのコアの姿が消えると俺様のデコトラ内のコアのすぐ横に出現した。そして、俺様のコアと反応し合うように輝き出す。
「あ、じゃばっち、おっす。 オッス|・ω・)ノ」
「うおっ!並列稼働ってこういう事かよ!」
説明がうまくできんのだが、俺様の意思はデコトラのなんとなく中枢部分に存在しているような感じなのだ。そのすぐ隣にフォルトゥナの意思が出現している。今まで一人部屋みたいな感じだったのに二人になった感じなのだ。
「【ガイドさん】!?なんか突然2人暮らしになったみたいで凄い気恥ずかしいんだけど!?」
「えー?じゃばっち、あーしといっしょは嫌?嫌?。゜(゜இωஇ゜)゜。」
「いやそういう事じゃなくてだな!?」
「お主らいちゃついておる場合か!そろそろ地面が近いぞ!」
【ご案内します。『装備:ブースター』点火、本来であれば翼も必要ですがデコトラブレードで代用いたします】
俺様の後部ハッチが開き、ロケットのようなものがせり出してきて点火した。
同時に側面から翼の代わりなのか幅の広いブレードが出てきて急激な落下を強引に相殺するように加速し、水平飛行し始めたのだ。
「おおー、飛んでるねー」
「何でもありじゃなこやつ……」
【ご案内します。あまり長時間は飛行できませんので、国境付近から侵攻しつつあるダルガニア帝国軍に対する対応は限られます、どのよう処置を望まれますか?】
「んじゃ巡航ミサイル」
「お主それ世界を敵に回しかねんぞ……」
リアさんは隙あらば巡航ミサイル撃とうとしてくるよな……、俺様もレイハの意見に賛成だけど。
【ご案内します。巡航ミサイルは多量のDEを消費するので飛行中の今は撃つ事ができません、ミサイルを数発が限度かと思われます】
「じゃあそれで」
リアの即答で俺様達の行動は決まった。侵攻してくるダルガニア軍に対し上空から急降下して衝撃波を浴びせかけて戦列を混乱に陥れた。
そしてミサイルを数発、軍勢の戦闘の手前側に向けて放つ、無駄な殺生は俺様も嫌だったのであくまで足止めの為の威嚇だ。
大爆発により多数の馬が驚き、乗っていた人が投げ出された。大混乱で戦列の歩みを止める事に成功した。
「リア!それ以上は戦争やってるのと変わらぬぞ!お主は結局何がしたいのじゃ?」
レイハは、リアを止めるというよりは諭すように声をかけた。何だかんだ勢いにまかせてここに来てしまったけれども、リアは本来この国を捨てたも同然だった。わざわざ戻ろうと思ったからには何か目的のようなものがあるはずだった。
「王妃様だけでも、助けたいかなって」
「ならば、こんな所でもたもたしている場合ではなかろう、足止めはあんなもので十分じゃ、どうせこの状態ではテネブラエの王都に着くまで何日かは時間がある」
【ご案内します。DEの量に限界もある事からここに留まる事は得策ではありません、速やかに目的地に向かう事が推奨されます】
リアが【ガイドさん】の言葉にうなずくと、俺様達はその場を離れ王都に向けて飛び立った。
次回、第100話「悪役令嬢ト王都ノ騒乱」
読んでいただいてありがとうございました。
基本的に月水金 夜の5時~6時頃で更新いたします。
いいね・感想や、ブクマ・評価などの
リアクションを取っていただけますと励みになります。




