0 プロローグ
既にお読みいただいている方々には申し訳ないです。
6話も投稿しておいて今頃プロローグ投稿しました。しかもツイさっき。
ストック時のまま、投稿設定の日付を変更してなくて、おまけに気がつきもせずひと月過ぎてて。なかったことにしようとも思いましたが「まだ6話」だからと無駄にポジティブにポチッと。
毎度何かやらかす病ですが、これからも宜しくお願いします。
十三年前のとある夏の夜。
女王の居室で向かい合う二つの影。
白のビショップを手にした片方が、ふいに口を開いた。
「ところで、もうここにも飽いてのう。少し南に居を遷すのに、いい頃合いだと思わぬか?」
「それは無理な相談というもの。御身に居城を遷されて最も困るのは私ではありませんか」
置かれたばかりのビショップが、ルークに倒される。
「そう言われてものう。かの君にこちらのことを頼んでおく、と言ってもか?」
「御冗談を。あの方は、あなたのおられない場所に来られるような方ではありませんでしょう。気まぐれなあの方が毎年こちらにいらっしゃるのも、ひとえに御身会いたさゆえ。それを知らぬ私ではありません」
「だが、もう少し南であれば、かの君も来るのが随分と楽になるのだよ」
「それは私も申し訳なく思っております。ですが御身とかの君が仲違いをしていらしたとき、私共がどれだけ難儀をしたことか。御身にはこのままこちらにお住まいいただいて、かの君にはこれまでどおり通っていただきたいのです」
「平行線じゃな。仕方ない。再度賭けをしようではないか。元々、余がこちらにいるのも賭けに負けたからゆえ、遷すも遷さないも賭けで決めるのがよかろう」
白のクイーンが黒のキングの前に置かれた。
「それではどうあっても城を遷されると?」
「そうじゃ。そなたが賭けに勝たない限りはな」
黒のナイトが盤上を駆ける。
「チェック・メイト……仕方ありません。どのような賭けをお考えで?」
「なんと! もう一戦じゃ! なに、勝負をするのは我らではない───────」