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妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ  作者: 下菊みこと


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エレナの小さなわがまま

エレナ、御守りを渡す

エレナがある日、言った。


「あの、クリス様!わがままを言っても良いですか!?」


「どうしたんだい?」


「これをもらっていただけませんか!」


そう言って渡されたのは、パワーストーンの使われているブレスレット。


「これは?」


「御守りです!私が石を選んで、チェーンに通して、魔力を込めました。もし何かあれば、即座に結界と治癒魔法が発動するようになっています!」


「そうか、ありがとう。でも、どうして?」


特に記念日とかそういうことはないはずなのだけど。


「この間のオルゴールのお礼です!」


「ああ、なるほど。そういうこと」


納得がいった。


「エレナ、ありがとう。本当に嬉しい。センスもいいね、素敵なブレスレットだ。つけてみてもいいかい?」


「もちろんです!」


「…うん。どうだろう、似合うかい?」


「すごくお似合いです!」


嬉しそうなエレナに癒される。エレナの手作りのブレスレット。嬉しい。


「大好きだよ、エレナ」


おでこにキスを一つ落とす。理性を総動員して今日はキスをし過ぎてしまわないように自重する。


「ふふ。はい、クリス様」


微笑む彼女はとても可愛らしい。


「それで、わがままってなんだい?」


「え、ですから、御守りをもらっていただきたくて」


「…それだけ?」


「はい」


「…そっかぁ。うーん、前々から思っていたけれど…エレナはやっぱり欲がないね。もう少し欲張っても良いんだよ」


きょとんとするエレナ。自覚がないんだね。そんなところも可愛いよ。


「ほら、僕にして欲しいこととかないの?」


「じゃあ…」


「うん」


「健康に幸せにずっと長生きして、一生一緒に居て欲しいです」


可愛すぎる。


「わっ、クリス様?」


「可愛い…」


「え?」


「可愛すぎるよ、エレナ。愛してる」


「私もクリス様を愛しています」


思わずエレナをきつく抱きしめると、戸惑いつつも抱きしめ返してくれるエレナ。腕の力を緩め愛を囁けば、同じく愛を捧げてくれる可愛らしいエレナに愛おしさが募る。


「エレナ。エレナも健康に幸せに、ずっと長生きするんだよ。一生一緒に居よう」


「はい、クリス様!」


名残惜しいがエレナを離す。一生一緒か。はやく結婚したいなぁ。エレナのウェディングドレス姿は、きっと素晴らしく美しいだろう。僕もピシッとタキシードを着こなさないとね。披露宴でのドレスも楽しみだな。僕の正装をエレナも気に入ってくれているから、きっと披露宴でエレナもさらに僕を好きになってくれるはず。ああ、学園の卒業なんて待たずに今すぐ結婚したい!

エレナの小さなわがままが可愛くて仕方がないクリスでした

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