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妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ  作者: 下菊みこと


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皇太子殿下の正式な婚約者になりました

甘々溺愛系皇太子

ダンスパーティーから数日。クリス様の正式な婚約者になるために中央教会で婚約届けを出して、婚約式を行うことになりました。


「エレナ、準備は出来たな」


「はい、お兄様」


「中央教会に向かうぞ」


「はい」


中央教会に向かうと、そのすぐ後にクリス様が来てくれました。


「エレナ!」


「クリス様!」


「やっぱりこうして正式に婚約者になれるのは嬉しいね」


「そうですね。早く届けを出したいです」


「積極的な君も可愛いね」


クリス様は私の頬にキスを一つ。私も背伸びをしてクリス様の頬にキスを落とします。クリス様は柔らかな表情で私を見つめ、二人きりの世界をしばらく堪能していました。


「エレナ、皇太子殿下も。そろそろ婚約届けを出してきてください」


「はーい。行こうか、エレナ」


「はい!」


そうして私達は婚約届けを出しました。これで正式に婚約者になりました。そして、婚約式を行います。控え室で婚約式用のドレスに身を包み、同じく着替えたクリス様と中央教会の神父様の前に立ちます。


「クリストフ・リュシアン。汝はいついかなる時もエレオノール・セヴランを愛し、大切に守り、お互いに支え合うことを誓いますか?」


「誓います」


「エレオノール・セヴラン。汝はいついかなる時もクリストフ・リュシアンを愛し、大切に守り、お互いに支え合うことを誓いますか?」


「誓います」


「では、誓いのキスを」


婚約式でのキスはお互いの頬にします。唇へのキスは結婚式でのお楽しみです。クリス様から頬にキスをされ、私も背伸びをしてクリス様の頬にキスをします。幸せです。


「これでずっと一緒にいられるね、エレナ」


「はい、クリス様!とっても嬉しいです」


「僕もとっても嬉しいよ。ただ、婚約者になったから正式に皇太子妃教育を受けることになると思う。エレナなら心配ないとは思うけど、辛くなったらいつでも言うんだよ」


「はい、ありがとうございます。クリス様も何かあればすぐに言ってくださいね。私、聞くしかできないかもしれないですけど」


「ありがとう。十分すぎるよ」


クリス様に優しく頭を撫でられます。


「エレナ、愛してる」


「私もクリス様を心から愛しています」


そんな私達のそばでお兄様とナタリー達がひそひそ話しをします。


「ラブラブですね、お嬢様」


「安心したよ、二人が仲良くなってくれて」


「あんまり仲が良過ぎても嫉妬を買う心配はありますがなぁ」


「そうだな。それはそれで心配だ」


「お嬢様はナタリーがお守りします!」


ひそひそ話しなのにこちらに筒抜けですが、愛されているなぁと実感してそれはそれで幸せです。


「みゅう!」


「え、エル!?いつから!?」


「みゅう!」


「おや、エレナの使い魔かな?ご機嫌よう」


「みゅう!」


いつのまにやら付いてきていたらしいエルも、私達を祝福するように飛び回っています。本当に私は恵まれていますね。

エルちゃんは黙ってついてきました

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