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妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ  作者: 下菊みこと


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不謹慎だが嬉しかった

クリス、エレナに甘えられ喜ぶ

エレナが最近、歩く時少しだけふらふらしていると聞いて急いでエレナのいる教室に向かう。オーギュスティナ嬢とジェシカ嬢と話しているエレナ。確かに少しだけ歩き方に違和感がある。ふらふらしているというのはちょっと大袈裟だが、大丈夫そうに見えても痩せ我慢しているだけの可能性もあるしやはり保健室で休ませよう。


オーギュスティナ嬢とジェシカ嬢に対して、このくらいなら大丈夫と言って聞かないエレナ。でも、僕が声を掛けたら案外とすんなり保健室行きを受け入れてくれた。ちょっと優越感に浸る。


お姫様抱っこをしてもびくりとしない。このままスキンシップ恐怖症が治ればいいなぁと思うのは欲張りすぎか。そう思っていたらエレナの瞳から涙が溢れる。お姫様抱っこが怖いという様子でもない。身体が辛いのかな。優しく声を掛けると、うとうとし始めた。可愛い。


エレナを保健室のベッドに下す。保健室の先生にエレナの状況を報告するため離れようとした僕の制服の裾をエレナが弱々しい力で掴む。あんまりにも可愛くて身悶えするかと思った。我慢したけど。


保健室の先生に椅子を借りて、エレナの手を握って安心させる。微睡んだ様子のエレナが、ポツポツと自分の過去を語り出した。


エレナの子供の頃の話は可愛かった。木登りをするわんぱくなエレナなんて、今のエレナを見ていて想像はつかない。けれど、とても可愛かっただろうと思う。あと、マックスがそれを真似したのを聞いて面白い話だなと思った。あのマックスがねぇ。


でも、途中から話の流れがおかしくなった。別邸で育てられたのは、まあ、わんぱく過ぎたからお仕置きのつもりもあったのかなと思ったんだけど。


…使用人が一日で入れ替わって、暴言と暴力をエレナに振るうようになった?


意味がわからない。けど、エレナのスキンシップ恐怖症がそこから来ているのだけはわかった。可哀想に…。流石にマックスも、親の決定には逆らえない。守りたくても、どうしようもなかったんだろう。本当に酷いことをする…。


幸い身体の傷は消えたようだが、心の傷は癒えていない様子。話してはいけないことなのに、話したところで何も変わらないのにと思っているようなので、他の誰にも言わないように釘を刺しつつも甘やかす。だって、こんなに辛い思いをしたんだ。誰かに愚痴りたくもなる。それが僕で、本当に良かった。


きっと、もっと甘えたかった。でも、甘えて拒絶されるのが怖かった。その繊細な心が愛おしい。…なんて、言ったら嫌われるかな。


…クリス様。居てくれて、ありがとう。その言葉が、僕を貫いた。


「…先生。他言無用でお願いします」


「もちろんです。そもそも私には何も聞こえませんでした。」


「…ふふ、そうですか。そうですね」


このか弱い少女を、もっと甘やかしたい、なんて。自分の中にこんな感情があると、初めて知った。

でももっと甘やかしたい

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