僕のものに手を出す不届き者への罰
バルバラ嬢の運命は
僕は心配だからとエレナを馬車で家に送ると、マックスと会って少し話をすることにした。エレナのことはナタリーという使用人に任せて、頬を冷やすように指示してゆっくりと部屋で休ませる。
「マックス。ごめん、エレナの頬を赤く腫らしてしまった」
「何があったか説明していただけますか、皇太子殿下」
「もちろんだよ。バルバラ・アガットという侯爵令嬢がいて、僕に付き纏っていたんだが、その女がエレナに僕を奪われたと逆上したらしい」
「つまりある意味では皇太子殿下のせいなのですね」
ニコニコ笑って威嚇してくるマックス。
「いや、それに関しては…面目無い」
「まあいいでしょう。それで?」
…こうして尋問されると、幼い頃やんちゃをしてはマックスに怒られていたことを思い出すな。
「バルバラから人気のない空き教室に連れ出され、頬を平手打ちされたらしい。その後、突き飛ばされて魔法を打ち込まれそうになったところで僕が間に合った。アミュレットのおかげで魔法攻撃に関しては無事で、アミュレットに誰が何時どんな魔法を使ったか記録されている」
「…妹を救っていただいてありがとうございます」
「いや、巻き込んだのは僕だからね。当然さ」
ウィンクを投げる。が、マックスの表情は硬い。まあ、妹が殺されかけたのだから当たり前か。
「とりあえず僕はこのアミュレットの記録を証拠に、バルバラ嬢を公爵令嬢殺害未遂の罪で犯罪奴隷に落とそうと思う。侯爵家もお取り潰しまで持っていくよ」
「公爵令嬢への殺害未遂ですから、徹底的にやれますね。ありがとうございます、皇太子殿下」
「お礼はエレナとの婚約の許可でいいよ」
「エレナが皇太子殿下のアピールに応えるようなら、こちらとしてはいつでも」
「おや。これはますます頑張ってアピールしなければいけないね!」
「…エレナは、可愛い私の妹です。どうか、大切にしてやってください。もし、皇太子殿下がエレナの扱いを間違えれば、私はいつでもエレナを連れ去って逃げますからね」
「おや怖い。まあ、そんなこと絶対にさせないけどね。…大切にする」
「よろしくお願いします」
マックスは相変わらず堅い。が、エレナを大切にしているのがよく分かる。僕もマックスには負けていられないな。
犯罪奴隷に落としてしまったらもう戻れません




