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記憶の中のお兄様

幸せな記憶

幼い頃から、気付いたらいつもお兄様が側にいました。お兄様はいつも別邸に来て私と遊んでくれました。


「俺の可愛いエレナ。エレナもお兄様が大好きだろう?」


「うん、お兄様好きー!」


「そうだろうそうだろう。…エレナ。お前は俺と父は同じだが母は違う。お前は妾の子だから、色々言われることも多いだろう。だが、俺が守ってやる。こんなに可愛い妹を泣かせる趣味はないからな」


「うん?」


「今は分からなくていい。いや、いつまでも分からなくたっていい。お前は俺の腕の中で守られていればそれでいい。…可哀想な、可愛いエレナ。俺の側を離れるなよ」


「うん!お兄様と一緒にいる!」


「エレナ」


ふわりと抱きしめられて、安心してきゃーきゃーと騒ぐ私は、遠くから厳しい目を向けていたお義母様に気付きませんでした。


ある日、お兄様と遊びたくて本邸の中庭に忍び込むとお兄様がお義母様に怒られていました。


「またあの卑しい娘に会いに行く気ですか!」


「エレナは別に悪くない!悪いのは侍女に手を出した父上だけだ!あの子はただ何も知らないだけだ!母上もエレナのことを認めてください!父上はもう認知していて、あの子はこの公爵家の正式な娘だ!いずれはこの公爵家のために良い家に嫁ぐことにもなる!もう子供染みた嫉妬はやめてください!せめてエレナの母に八つ当たりすれば良い。エレナを巻き込むな!」


ぱしっと痛そうな音が響きました。お兄様がお義母様に平手打ちされていました。


「とにかく、あの卑しい娘に金輪際近付いてはいけません。そんなことにかまけている暇があるなら勉強をしなさい」


「エレナは卑しくなんかない。あの子は可愛い俺の妹だ。勉強はもちろん頑張りますが、あの子を一人にはしない」


「マックス!」


「可愛い妹一人守れないなら、このマクシミリアンという名前だって捨てますよ、俺は。…失礼します」


「…あんな女狐の産んだ子の…あんな女狐そっくりな子の何がいいのです…何故…」


私はこの時何も理解出来ませんでしたが、私の存在がお兄様とお義母様の関係を壊してしまったと後々気付きました。それでもお兄様は、私を可愛がってくれていたのです。


「俺の可愛いエレナ。ほら、朝摘みの薔薇でブーケを作らせた。貰ってくれるだろう?」


「わあい!お花!お兄様大好き!」


「可愛いエレナ。俺の唯一。どうか、いつまでも笑っていてくれ」


「うん!ありがとう!」


そんな歪な幸せは、私にとってだけ都合の良い夢物語は、実の母の死によって突然崩れ去りました。私の実の母を失った父は急に冷たくなり、私はお義母様に閉じ込められ、お兄様とは会えなくなりました。けれどもそれは妾の子なのにお兄様からあんなに可愛がられた揺り返しなのだと、お兄様から与えられた愛情のおかげで、私はすんなり受け止めることができたのでした。


だから、まさか政略結婚を押し付けられる前に別邸から出られるなんて、思ってもみなかったのです。

エレナはお兄様が大好きです

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