お嬢様の身体に沢山の青痣を見つけました
ナタリー、憤慨します
私ナタリーはお嬢様の入浴のお手伝いをした際、お嬢様の背中に沢山の青痣を見つけました。あとは、鞭打ちの跡も。お嬢様は別邸でどのような仕打ちを受けたのでしょう…!なんてことを!!!こんなに愛らしいお嬢様に手を挙げるなど言語道断!許せません!
私は無礼を承知で旦那様の元へ向かい、お嬢様の傷について報告致しました。ですが、旦那様はすでに別邸の使用人達や家庭教師を解雇していらっしゃったのです。手切れ金も紹介状も無しで。
…正直すかっとしました。これで彼等はこの国では生きてはいけない。だって天下のセヴラン公爵家を敵に回したのですから。さすがは旦那様、お嬢様のためになら鬼になるのですね。我が主人ながらグッジョブです。
そして、そのあまりにも痛々しい傷を一刻も早く治すため、明日すぐに医師に相談することが決まりました。口の堅い信頼できる腕の良い医者となるとかなり限られますし、それだけ高額にはなりますが…そこは旦那様、お嬢様のためにならお金は惜しみません。そもそもセヴラン公爵家の名誉を守るためにもなりますしね。
セヴラン公爵家は伝統があり地位も権力もありますが、なによりも広大な領地における堅実な領地経営で税収がかなりあります。貴族の中でも大金持ちです。なんなら商会の利益から爵位を得た成り上がりよりお金持ちなくらいです。
お嬢様は何も知らないですし、知らせるつもりもありませんが…別邸での家具やドレスや装飾品は一部例外を除いて全て売り払い、お嬢様のための貯金になることが決まったそうです。うん、忌々しい別邸での記憶などお嬢様を大切にすべき本邸にまで持ち込む必要はありませんね。さすが旦那様、わかってらっしゃる。近々別邸を建て壊し、お嬢様のために花畑でも用意しようかという話にもなっています。私も大賛成です。幼い頃のほんの少しのお母様との思い出が云々より、お嬢様にとっては長年の虐待の印象が強い別邸ですから。
また、お嬢様のお母様の形見である品は全てお嬢様のために用意された、私室とはまた別のお部屋に運び込む予定です。お嬢様、喜んでくださると良いのですが。
ああもちろん、お嬢様のための新しいドレスや装飾品は別邸で用意されていた数の倍は用意されていますのでご安心を。どれもオーダーメイドの至極の一品です。サイズはこっそりお嬢様が使っていたデザイナーから聞いていますので間違いもありません。
明日からお嬢様を着飾って、髪型も弄らせてもらえるなんて…はぁ、今から楽しみです…。
ナタリーにとっては旦那様もお嬢様も大切なご主人様です。でもなにかあればお嬢様が優先です。




