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大天狗の清兵衛

ワシは大天狗である、清光坊の清兵衛というものだ。大天狗にも苦労はあるのだ。

ワシは東の外れの島国から来たのだ。


 この都市では大天狗はめずらしいらしくてな、どこに行っても奇異な目で見られる。まず大きく伸びた鼻と赤い顔が病気じゃないかと言われる。心配してくれるものもおるが、病気がうつるといって避けるものもおるな。

 鼻茸じゃないかとすれ違った医者に心配されたりした。顔がすごく赤いので、酒場でも心配される。むしろ、大天狗は酒に強いのだ。まったく心配ないのだがのー。


 あとは一本歯の下駄やこの山伏の服装が珍しいらしく、子供がよってきて触ったり、色々と聞いてくるな。子供のする事だ目くじらを立てて怒るようなことでもないがワシの宿が孤児院の近くでな、孤児院の子らが遊びに誘いに来るようになった。ワシ、国では大魔王と呼ばれることもあるんだけど、、

 一本歯の下駄は皆が履きたがる。しかし、ワシ用に大きく作ってあるからな、子供では履いても歩けぬ。なのに皆楽しそうに交代で履いて試しておる。ワシが手を持って支えてやらぬといけぬ。 ワシ天井世界を脅かすこともある大妖怪ぞ?普通は子供に怖がられるんじゃがのー

 隠れんぼとかやるが、神通力を使うとすぐに見つけてしまうので手加減が大事じゃ。 ワシ、三大妖怪の一角なんじゃがなー。


 大天狗といえば羽団扇を持っておる。この羽団扇の神通力を使って風をあやつり、モンスターを倒しておる。魔法使いの杖にあたる大事なものだが、どうもただの団扇と思われる事が多いな。羽団扇はそれ自体が神通力を持つ。よって普通のものが使っても風を起こす事が出来る。パーティの仲間が不用意にあおいで仲間は転がるわ、ドロップ品のビッグバードの羽は飛び散るわ大変だった。最初に説明しろと怒られたが、我の生まれた国では当たり前の事だったからな、説明が必要だとは思わなんだ。

 普通の団扇だと思われると事故が起こるでな、なるべく懐に入れておる。子供達が不用意に振るとどこまで飛んでいく変わらぬ。なんか手に羽団扇が無いと落ち着かぬのだが、しょうがない。

 子供と言えば、子供といると「天狗攫い」がしたくなる。子供をあちこちにつれて旅をさせて数ヶ月後に戻すのだ。なぜそれをやるのかわからぬ。天狗の本能の一つかもしれぬ。子供を見ていると広い世界を見せてあげたいとうずうずしてくるのじゃが、我慢して自重しておるよ。だから、あんまり子供がよってくるとうずうずして困るのじゃがな、孤児院の子らは躊躇せぬ。


 天狗の本能と言えば天狗笑い、天狗礫、天狗倒しなどがある。主に山の中で天狗が起こすと言われている事象だ。幾つか我らが行っているものもあるが、よくわからぬ物を我ら天狗のせいにされたのだ。正直、天狗笑いは我らが起こしたものだ。山の中でどこからともなく大きな笑い声が聞こえ、笑い返すとさらに大きな笑い声が聞こえるものだ。

 天狗は山の中で人を見かけるとなぜ笑うのだろうな?説明できぬので本能としか言いようがない。 今は都市の中なので笑いたくはならないが、酒が入ると笑ってしまうな。酒場で笑うぶんには文句を言われて終わるが、酒場からの帰り道に笑ってしまうと衛兵が来てつれていかれてしまうのだ。

 しかしここは山が遠い。代わりに山岳型のダンジョンフィルードがあるな。ただ岩場の山でな、大天狗は木の生い茂った山を好む。

久しぶりに出かけようかのう、子供達誘って。。 いやいや別に子供の事なんか考えてないぞ。うん。

マスター、酒じゃ酒。


遠く離れた異国の地は新鮮な驚きがあって楽しいのじゃが、大妖怪として威厳がなくなっていくようで少し心配じゃ。

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