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祇園守紋を掲げよ 〜立花家戦記〜  作者: ワールド
九州の争乱と主家の行方
9/35

統虎の受難 〜名将への踏み台1〜

九州へ帰還した一行は戦力を整えるべく内政へいそしむこととなる。

しかし、天正11年3月

事態は急変する

南九州を拠点とする今泉家が大攻勢を開始する


今泉家

史実にはしない大名家。すなわち転生者だ

ここまで島津家を配下にし島津家と同じ歴史をたどってきた

大友家も耳川の戦いで大敗北を喫している

しかしここで史実とは違う事態となる


大攻勢は沖田畷から始まった

史実よりちょうど1年早く沖田畷の戦いが勃発

これに勝利すると内城にて待機していた今泉家当主にして転生者、今泉新八が号令を発した


龍造寺討伐軍

総大将 今泉新助(新八叔父) 主要武将 島津義久 島津家久ら 2万


大友討伐軍

総大将 今泉新八 主要武将 島津義弘 島津歳久 肝付兼寮 種子島久時ら 5万



当主を失ったばかりの龍造寺はまとまらないと判断し未だにある程度の力を維持している大友へ主力を向けた

この大攻勢から九州は大きな戦乱の渦が巻き起こる


そして立花も…



「…ということで宗麟様より援軍を出せとの書状が届いた。毛利への備えのこともあり当家は秋月家、高橋家を主力とした部隊に筑紫家とともに押さえの兵を除く兵を送る」


「若殿、編成は?」


「義父上にはここに残り毛利に睨みをきかせていただきます」


「あいわかった」


「軍は俺を大将に小野鎮幸、十時連貞、堀秀政、細川幽斎、鈴木重朝以下800で出撃する」


「抑えに6000近く残されますか…」


「毛利が来るならこれくらい用意しないといくら義父上でも押さえられない」


「出立は?」


「明後日だ。秋月城南に布陣し各軍そろい次第進む」


「かしこまりました」




「統虎!」


「どうしたの誾千代?ついてくる気かい?」


「ああ、構わんな?」


「構わないわけないだろう。今回は激戦になるかもしれない。安全ではないぞ?」


「戦だからな、当たり前だ」


ー 全く…俺の背後を守る気か…


「統虎だけでは心配だからな。立花の戦を存分に見せねばならん」


「じゃあ仕方ないね…無理はしないでよ」


「当然だ」


誾千代の参戦が決定した



「兄上、一部お味方に不穏な動きが…」


「そうか…すぐに裏を取れ!」


「かしこまりました」


「俺たちが影である限り旦那様を殺させるわけにはいかない…」


素波、乱波の地位が低く情報の有用性が未だに理解されていないため楠木衆は立花家中からは悪感情こそないもののあまり重視されておらず他国衆にいたっては軽く見ていた

そして楠木は乱波の有用性と立花家での立場を確固たるものにする働きをこの戦で成し遂げることになる





「紹運様は明日朝ご到着のようです。筑紫家は明日中には着くかと…」


「了解、ありがとう」


秋月城南に夕方到着した立花軍は野営の準備を進めていた

その付近にはすでに秋月家6000が着陣していた


「申し上げます。秋月家当主秋月種実様が他隊到着に先駆けて軍議をしておきたいとのことです」


「承知したと伝えてくれ。すぐに向かう」


「護衛は?」


「お前を含め50。誾千代に兵の指揮を頼む。鎮幸と幽斎はその補佐を頼む」


「承知いたしました」


「かしこまりました」




「旦那様!」


「どうした?」


立花本陣に楠木正明と正恒、さらにその配下と思われるもの数名が飛び込んでくる


「奥方様でしたか。旦那様は?」


「先ほど秋月種実より軍議をするとのことで呼ばれたが…」


「それは罠です!」


一同に緊張が走る


「今泉家の調略により秋月種実謀反の様子!」


「若殿が危ないですな…」


「十時!急ぎ馬を走らせ紹運殿の元へ報告に走れ!」


「御意」


「久太郎は立花山へ馬を走らせろ!整備中の駅の馬を使えば明日午前には着くだろう!」


「かしこまりました」


「幽斎!歩兵をまとめ準備させろ!」


「心得ました」


「正明、正恒は報告見事。しかしもう一仕事頼む。先行して統虎を救え!」


「「御意」」


「鎮幸は私と来い!」


歩き出しながら大声で下知する


「騎馬隊を連れて統虎を助けに行く」


後年まで立花の強さを示す戦として語り継がれる戦の一つ

第一次秋月虎口の戦いが始まる




「あそこのようだね」


「わざわざ秋月の陣に赴くというのも癪ですね」


「仕方ないさ。俺たちは少数しか連れて来ない手はずなんだから」


随行者は鈴木重朝以下家中から選んだ精鋭たち50

装備には試作品の銃剣付きの銃を採用している

そして近習そして近習頭を務める重光


普通この時代では近習は若年の者が行うもののため目立つがその近習としての実力は本物のため疑問視するものはいない


「止まれ雨和」


「そのn…火縄…?」


焦りのあまり本名で呼んでしまった颯を咎めようとした雨和だったが異変に気づいた

秋月軍から火縄の匂いがするのだ

戦場まではまだまだ遠いため火縄に火をつけるはずがないのにだ


「…火をつけろ」


「弓をくれないか?」


「旦那様お下がりください」


「殿、下がってください」


重光は統虎をかばうため前に出てくる。重朝も狙撃用の特注鉄砲を構えつつ前面に護衛を出させる。緊張のあまり口調も堅い。


「どうなさった?」


単騎で種実が前に出てくる


「火縄の匂いがするがどうなさったのかな?」


統虎が返す


「気のせいであろう。若い故の過ちというものだ」


「雑賀衆を舐めてるのかな?俺たちが間違えるわけがない」


「やめておけ。裏切りが決まったわけではない。それに今ここでやつを討てば弔い合戦になってしまう。敵の士気を上げてしまうだけだよ」


標準を合わせた重朝を制止する


「…敏感だな。将来有望だ」


種実は馬首を翻らせつつ言った


「撃て」





「くっ!?撃ちかえせ!!」


遠かったこともあり死者はゼロ

重朝は撃ち返すよう下知した


「旦那様!」


近くでその他任務をしていたものなどまで呼び40名近くをかき集め楠木衆がなんとか駆けつける


「背後に回られています。我らが退路を作る故退却を」


「若殿、行ってください」


重朝もせかす


「一当てするぞ」


断を下した


「このまま引いたら少数の軍が多数の軍に追われる圧倒的不利な撤退戦になる。勝てなくてもいい。一度相手を崩してから引くぞ」


すでに秋月の伏兵も多くいたため撤退は困難と判断し一戦交えてから引くと決めた


一見無謀に見えるがそれ以外の方法だと統虎が伏兵にやられないことを祈る運勝負になってしまう

そのくらいならとすぐに下知に従う


「まずは味方本体と合流すべく後ろを食いやぶる」


「御意、正明殿。こちらは護衛が受け持つ。退路は貴殿らが」


「承知。ご武運を」


「正明。行くぞ」


ー 士気は高くない…原因は不明だがこのまま撃退できるかもしれない…


「俺に続け!えいとう!!」


立花の突撃の合図だった

えいとうと叫びつつ統虎と重光そして楠木衆が秋月本陣と真反対にいた伏兵へ突っ込む




「数が多いな…」


乱戦開始より現代時間にして10分ほど

いまだに突き抜けることができないでいた


「もらった!」


「甘いよ!」


統虎はすでに8人近くを討ち取っている

周りの楠木衆も奮戦しているがなかなか崩れない

その後方では重朝が約8000の秋月本隊を相手に絶望的な時間稼ぎをしていた


「いいか!兜をかぶっているものを倒せ!!指揮するものがいなければ突撃を躊躇させることができるぞー」


事実、指揮官をやられた農民兵は突撃してこない

現代とは違い指揮系統はトップがやられると混乱する

兜首が前に出てきたところを片っ端から倒せばいいのだ


「重朝様!」


「雨和…頑張ってくれ…」


誰にも聞こえない声で願う

統虎たちの虎口は続いていく


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