西国無双と右席 〜人材は国の礎です〜
「改めまして我々一同、以後統虎様。そして立花家に忠誠を誓います」
さて今平伏している彼は鈴木重秀
戦国屈指の名将であり有名な雑賀孫一は大半彼のことだ
そしてもう一人が的場昌長
雑賀衆頭領の一人で現代でいうゲリラ戦に近い戦い方を見せる名将だ
そのほかにも織田家が誇る名将達や新たに召し抱えた家臣たちが後ろに控える
そしてこの話をうまくまとめた功労者はその後ろで正座する男
名を鈴木重朝
重秀の息子で孫一を継承した父の偉大さに隠れてしまった名将
…そしてまたの名を山神颯という
後に立花の右席と呼ばれる名将となる
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その夜…
瀬戸内海小豆島付近 南蛮船統虎船室
「まさかここまで揃えるとは…さすがは颯だよね」
「恩賞は弾んでくれよ?」
「当然さ、むしろ何でなら報いることができるか悩むほどさ」
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3日前 堺の街
「兄上!あの店をみたいです!!」
「ああ、いっておいで。俺も少し見回ってくるよ」
「今夜は堺で宿を取るんだ。ゆっくりするのもよかろう」
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「じゃあ誾千代、俺はこの茶屋にいるから後でここでね」
「ああ」
誾千代が立ち去ると一人の男が近づいてくる
「…あれが立花の女武将、誾千代か。素晴らしい身のこなしだね」
「歩いてるだけだろう?颯」
「久しぶりだね。雨和」
山神颯
雨和の小学生時代の親友であり歴史好き友達
中学は颯が受験してしまったため分かれたもののそれ以降も定期的に遊ぶ友達
「先触れから手紙はもらってたけどね」
「雨和も持ち込みの一つに転生者情報を?」
「そうだよ」
彼らは知識持ち込みの一つに他の転生者の名前や居場所、前世の情報をもらうよう選択していた
ー 転生者は有利な存在になっている。警戒しようと思っていたら思わぬ発見。しかも超ラッキー人選だったな…
「ここに来たってことは俺たちを送られてきていた条件で受け入れる準備はしているんだろう?」
「ああ、当然だ。武士待遇、土地と働き次第での加増望むなら土地ではなく金でもいい」
「お前ならわかってるんだろうからここで言ってしまうよ。既存武将への転生者の一人、羽柴秀吉のせいで変化が多い。お前が立花宗茂だって聞いて俺が鈴木重朝になったことを神から聞いて迎えに来ることを想像してたからね。いくつか土産も用意している」
「その前に雑賀衆は?」
「鈴木一門と的場家は賛成してくれるよ。史実と違って親織田派は織田が残っていてその当主信雄は受け入れる気がない。羽柴は羽柴家として織田と敵対しているためそれにつけば土橋達を勢いづかせるだけ。そこまでわかってるんだ。雑賀に未練は無いし兵たちと鉄砲鍛冶とその家族、それだけじゃなく領民も結構ついてくるだろう」
「じゃあその人たちにはサトウキビ作りに一生精を出してもらおうか」
「それはひどいw…だけどここで農業してるよりはずっと裕福になるさ」
「根来からは?」
「奥重政を誘ってその一族郎党がついてくるよ」
「さすが颯だ。だけど…いいのか?俺の下に付くことになるけど…」
「かまわないさ」
颯、もとい鈴木重朝は立ち上がりつつ答える
「お前は部下だからって人を下に見てこき使う人間じゃない」
「…そのつもりだよ」
ー信頼されてるんだ。応えなきゃね
「重朝には本陣付きになってもらう予定だ」
「わかった」
颯はゆっくりと茶屋から離れつつ言葉を残していく
「お前の天下への道の助けになる土産がいくつかある。明日を楽しみにしてな」
ふとさっきまで彼のいたところを見ると紙がおいてある
どうやら畿内において織田信雄、羽柴秀吉のどちらにも属さない武将のうち紀伊へ逃げ込んだものたちを引き合わせたいということそして先触れに渡してもらっていた武将三名とも連絡がついたとのことだ
ー 例の三名は仕官してくれそう。ただし俺から待遇の言質を取ってから。と言ったところか…
「今もどっt…どうした?」
「いや、何でもない」
統虎はその紙をそっとしまった
翌日 、俺たちを待っていたのは上記三人の歓待だった
書状で送ったとおりの待遇で召し抱えることを確約すると臣従を誓ってくれた
「説得ありがとう、颯」
「説得なんてほとんどしていないから気にするなよ雨和。それより…午後から例の武将たち数人あってもらいたい。それと堺でも一人会ってほしい。少々理由があって潜伏していてね」
「かまわないよ、どうせびっくりするような人間を用意しているんだろう?」
ー 驚く準備はできてたつもりだったけど…
「お初にお目にかかります。私、織田信包と申します。そしてこちらが…」
「津田信澄と申します」
「後ろにいる者達は向かって右手より丹羽長秀、蒲生氏郷、堀秀政、細川忠興にございます」
後ろの4人が一斉に平伏する
ー…全く…やり過ぎだよ颯、ほら!後ろで笑ってるんじゃないよ!紹介してきたのは名目上重秀だけどどうせ推挙するよう進言したのはお前だろ!?
「…あー、信包殿、信澄殿は織田家一門。氏郷殿も奥方様は信長公のご息女であったと記憶しております。長秀様は織田家譜代の家臣、秀政殿は信長公の元近習でしたし忠興殿も相当な所領を拝領されていたはず…この度はいかなる要件で?」
「我々は統虎様へ仕官いたしたく訪問いたしました」
ー ですよねー
「何故当家へ仕官を?織田家や羽柴家ではないのですか?」
「信雄は疑心暗鬼が強い者ですので我々一門が反乱を起こすのではという疑念から誅殺を行います。事実…信張もやられてしまいました…おそらく山崎にて羽柴の味方をしたのも我々を疑う理由でしょう…」
「さらに明智の親族にも厳しくございます。光秀に共謀していないことを誓詞を持って示しましたが信用頂けていないようですね…」
「羽柴家に仕えるという訳にもいきません。奴らは織田を乗っ取ろうとしています。さらに少し前から秀吉は少々お変わりになった。あれはなかなかに信用ならなくなった…」
「秀政殿は?」
「今の織田家は織田家とは言えません。信雄が横柄な政治を進め、烏帽子親のはずの勝家殿も諫められておりません。あのような家にはもはや未練などありません」
ー そうなんだよな…史実では信孝の烏帽子親のはずの勝家が信雄の烏帽子親ときた。織田家には転生者はいないはずだが…そのあたりは自然な歴史変革かな…
「そうして命からがら紀伊へ逃げ込みましたところ統虎殿がいらっしゃっているとのことでしたので仕官させていただこうと思いまいりました」
ー 結果的にみんな登用してしまった…。まあ全員かなり有能だ。何人かは先若丸につけて高橋家に出向させよう
「じゃあ例の三人会おうかな」
「それぞれ別室に待機してもらってる」
「サンキュー」
ー さあ人材集めも佳境だ




