家臣の迷い 〜統虎が見る未来〜
ここは秋月城北の詰め城
軍議の席で立花山へ残っている鎮久と一豊からの報告を受けた後、各将は自分の担当の砦へと戻る
留守役に残っている武将も多いのでここに来ている武将は一部だけだ
その中に盟友の吉弘統幸を見つけると彼の元へ走って行く
「統幸!」
「どうした?親次」
天正の楠木と呼ばれた名将、志賀親次は疑問があった
それを親友にぶつけたかったのだ
「立花家は裕福だしその統治も素晴らしい。それは認めよう」
「ああ、とても素晴らしい。年貢の割合が少なくても上手く徴収していて裕福だ」
「だが当主が二人というのがわからない」
現在立花家では二頭制となっている
「道雪殿の娘で、武勇にも優れ、内務もできる、少々無茶をしすぎる点は難点だが…立花の跡継ぎとして申し分ない誾千代様。それを支える冷静で策略家、武勇、内務も完璧で強情だと聞いていたあの誾千代様にも夫として認められ、上手く制御して見せている紹運殿の息子、統虎様。どちらも仕えるに値するお方だ」
「そうではない!なぜ統虎殿は不満に思わぬ?腑抜けなのか!?」
「統虎は腑抜けなんかじゃないさ」
驚いて声をした方を振り向く二人
そこにいたのは重朝だった
統虎を呼び捨てで呼ぶ彼を咎める者はいない
統虎公認なのだ
「統虎は誾千代様とともに立花を大きくしようとしている。一人ではできないと思っているのさ」
「あのお方なら我々が支えれば問題ないだろう?」
「本人はそう思っていない。誾千代様がいるから冷静でいられると言っていた」
「変わったお方だな。自分を天才だと思っている無能はたくさん見てきたが、無能だと思っている天才は初めて見た」
「あいつは二人で成し遂げるつもりだ。おまえたちも力を貸してくれないか?」
「一つだけ聞かせてくれ」
「どうした?」
親次が問う
「統虎様の目指しているところはどこだ?」
「…」
「「…」」
「…あいつは自分の幸せを守りたいだけだ。そのためなら戦いを選ぶ」
「そうか…納得はできないが理解した。そのうち自分にもわかると思う」
「そうだと思うよ。あれの考えはすぐには理解できないがいずれわかる」
「さて、持ち場へ戻ろうか」
吉弘が明るく話しかける
裏切りを疑っていた訳ではない
ただ家臣のメンタルケアは彼の仕事であるから統虎のフォローをして彼らを納得させるよう尾行して話をしたのだ
ただ…用がなかったわけではない
「その前に見てもらいたいものがある」
「「?」」
秋月の包囲は始まったばかりだ…




