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祇園守紋を掲げよ 〜立花家戦記〜  作者: ワールド
九州の争乱と主家の行方
15/35

三倍の差をはねのけろ! 〜義父上の策略〜

「鎮幸!無事か?」


「そう簡単には負けませぬよ」


統虎と誾千代は中央先陣まで出てきている


「そのまま一気に攻めるぞ」


「だそうだ」


「かしこまりました奥様」


統虎と目を合わせると苦笑しながら答えた



「よ、義久!敵に押し返されているぞ!?」


「そのようですな」


「どうするのだ!?」


「とりあえず落ち着いてくだされ」


(賭ける相手を間違えたか…)


島津兄弟はこの一戦に勝利すべく軍を動かしていたが総大将今泉新助が戦闘中に身辺を固めるため前線に出ていた部隊を引き戻したりするなど軍をひっかきまわし邪魔していた


「おかげでこっちは大苦戦だ…」


ボソリとつぶやく


前線へは家久と忠元が向かった

彼らが立て直せないと判断すれば引くしかないだろう




「これはひどい…」


家久と忠元は騎馬隊に蹂躙される見方を見て嘆く


「当家の兵をほとんど義弘兄上に預けたのは正解だったな」


「このような戦ぶりでは大損害を被っていたでしょうな」


そんな中と一組の騎馬武者が目に入る


「男女…夫婦か?」


「あれは…立花統虎と誾千代では?仲睦まじいことでも武勇に長けていることでも有名です。統治も得手だとか」


「素晴らしい主君と言ったところか」


「ですな…打ち合いますか?」


「ああ、もし倒せれば一気に逆転できるかもしれない」


通常指揮官が前線に出ることはない

統虎が前線へ出るのは婿養子という立場故だった

婿養子で入ってきたものの家臣たちや領民たちからいい目で見られることはない

様々な功績やその有能さからすでに当主として認められているが自ら戦う姿勢を見せることが彼らへのアピールとなる

もうしばらくは前線に立たなければまとまるものもまとまらない

そう考えるのも無理はなかった

そしてそれ故に危機に陥る



「誾千代。疲れてないかい?」


「この程度では問題ない!」


二人目を倒した統虎とその後ろですでに四人を倒し無双する誾千代

そこへ二騎の敵が現れる


「新納忠元、いざ参らん」


「鬼指武蔵か…仕方ないか」


備前長光で忠元の槍を払う


「統虎!」


助太刀しようとする誾千代の前に一人が躍り出る


「島津家久見参!姫君のお相手仕ろう」


普段軍師として控える家久が誾千代の相手を務める


ここに二組の壮絶な一騎打ちが始まる



「うおー!」


「くっ!さすがだな…」


小柄ながら力強さを見せ槍を振るう忠元を前に防戦一方となる統虎

余り余裕がない


何とか弾くと久しぶりの反撃に入る

弾いた槍では間に合わない速さの一閃

忠元は籠手ではじく

統虎は読んでいたかのように一度馬を引かせ刀の切っ先を忠元へ向ける


「くそ!」


忠元も無傷ではない

籠手は壊されたうえに守り切れず痺れる

しかしそれを感じさせない動きで攻撃を再開する

冷静に守り反撃を重ねる統虎

しかし統虎も危なげないとはほど遠い戦いだ


ー 危なかった…今の槍を防げたのは完全にまぐれだ…


反撃しようとした矢先の攻撃を辛うじて弾き反撃につなげたが歴戦の猛将を相手に押されていく

戦いは厳しくなっていく


逆に誾千代と家久の戦いは誾千代が圧倒している

家久も決して槍働きは下手ではないが猛将忠元を相手に防戦一方ながら戦えている統虎と互角のの人間を相手にするのは難しかった


そんな中道雪の策が成功する



「大殿はさすがだな…若殿達の危機を想定し手を打っているのだから」


「貴殿の主君殿は優勢のようだな」


「ええ、このまま敵後陣へ突撃し勝ちを決めます。お力添えを」


「任せてくだされ」


「この力お貸ししましょう」




「伝令!」


「どうしたというのだ!?」


今泉本陣へ伝令が入り込んでくる


「後方より兵3000旗印は蒲生、江里口、成松です」


「龍造寺から兵を借りてきたか!!」




混乱する龍造寺家だったが史実では戦死した江里口信常、成松信勝の帰還で多少の落ち着きを見せた


そんな中道雪より氏郷の兵が派遣されてきた


今まで戦っていた両者だが話し合いたいというよう


当時の龍造寺は混乱は家内での分裂を起こし正当後継者にして実際すでに当主の龍造寺政家


隆信の異母兄弟で縁の下の力持ち龍造寺信周



の二派に別れた

鍋島直茂は政家を支える

また、江里口と成松は政家の器量は不足しているとして後者の陣に降った


信周は過去に大友の人質になったことがあるため接触しやすかった


地侍からの指示を取り付けるため大友と協力して島津を追い出せるかもしれない状況を受け四天王の生き残り両名を派遣した


大友との同盟を選んだのだ


「本陣が襲われているぞ!」


「敵襲だ!!」


「逃げろー」



後方から軍が出現し混乱する今泉軍


「忠元!」


「かしこまりました」


二人とも離脱を始める

ぎりぎりの戦いだった統虎は一息つく


「何とか凌ぎきったか」


「お主の策か?」


誾千代が槍を下ろしながら問う


「いや、俺じゃない」


「大殿です」


すぐ後ろに鎮幸につきそわれた正恒がやってくる

そして道雪による信周との同盟締結が伝えられた


「義父上のほうが何倍も上手のようだな…」


戦は立花軍勝利に終わった

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