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祇園守紋を掲げよ 〜立花家戦記〜  作者: ワールド
九州の争乱と主家の行方
12/35

九州の争乱 〜主家のための闘争前夜〜

立花山城評定の間


「義父上、申し訳ありません。私が至らなかったために兵を引かざるを得ませんでした」


「援軍を出すためには引くしかなかった。勝てたとしてもあそこで被害が大きすぎたなら毛利への抑えを削るわけには行かないから援軍を出せなくなっていたであろう。よき判断だ」


現在上座には統虎が中央に、すぐ横に誾千代、右端には道雪がいる

紹運、春門は与力であるため下座の一番上座に近い位置にいる


「一時的に領民達は返しました。もともと種まきも近かったですし」


立花家は統虎の婿入り以降人口が増え続けていた

畿内での人材集めの後も定期的に船を出し畿内での流民保護を行っていた

治水と新田開発を進めているため人手はあるだけほしい。高橋領でも同じだ

それによって両家は領民兵は志願制にしている

職業武士は別で集め騎馬と鉄砲の訓練をさせている


ちなみに筑紫家に残った550人は全員職業武士だ

家の規模を考えるとあり得ないともいえるが今泉家からの援助金で浪人たちを雇い入れていたそうだ

それにしても多いからさしずめ流民を安くかなり雇ったのも混じっているだろう



「いち早く援軍は送るべきでしょうな。広門や種実のせいで陸路は難しいですが海路が使えます」


父を広門と呼び決意を示す春門

現在五ヶ山城の城主として、そして筑紫家当主として家中を引っ張ってその有能さを見せている


「吉岡宗歓殿、臼杵鑑速殿の二名を失ってから大友は宗麟様を諫める事ができるものはいません。しかし…道雪殿ならあるいは?」


紹運が道雪に発言を促す


「うむ。やはりわしが行こう。騎馬隊の精鋭を500。それ以上動かすのは悪手だろう」


「いえ、義父上に府内館へいってもらうのは賛成ですが今回は守りに出るつもりはありません」


統虎が言い放つ


「統虎、それは…」


「大丈夫だ誾千代。策は立てた。うまくいくかわからないけどね」


周りを見渡しつつ下知を下した


「義父上は海路を持って府内館へ向かっていただきます。そして…春門殿は筑紫家の兵と与力として、竹中半兵衛、由布惟信、薦野増時をつけます

小倉城へ行き毛利対策をお願いします」


「心得た」


「父上は高橋家の軍とともに秋月対策を与力には幽斎を」


「わかった」


「龍造寺攻略部隊がこちらとの国境へ向かってるとのことだ」


いきなり緊張が走る


「私は残った戦力を集め出撃する。長秀!無理せず用意できる領民兵は?」


「いくらでも可能…と言いたいところですが他戦力を除くと6300ほどなら種蒔きに影響を出さずに集められます」


「では集めてくれ、留守居役は信包、補佐に連直だ。鎮幸、連貞、信澄、長秀、重秀、昌長、忠興、支度を。」


さらに続ける


「正明は各方面への諜報活動を強化」


正明は無言で平伏する


「本陣には鈴木重朝、奥重政、山内一豊、楠木正恒の4名を補佐役に置く。また本陣の後ろぞなえは米多比鎮久が担当せよ。副将には家忠に来てほしい。隠居の身を引っ張り出して申し訳ないがやれるか?」


「孫と我が三男が留守居となっている今、安東家の代表としてでれるのは私程度でしょうな。お気遣いなく」


安東家忠。立花四天王にも数えられる名将だ

道雪からも「武勇絶倫の猛将」と称されている

道雪の姉を娶っており史実では1582年に死去している

しかし、なぜか生きており最近は重朝の診察により往年の元気を取り戻している


長男を亡くしており長男の子、すなわち孫の連直を当主に後見は家忠の三男連忠が担当している

連直、連忠共に文武両道であるところを示し家老職をきちんとこなしている

また連直は統虎と同い年

信頼している家臣であると同時に同い年の友のような関係でもある

留守居の補佐を命じるほどだ


家忠を連れて行きたいとしたのは老練な武将を手元に置いておきたかったからだ

彼の側近重光も老練ではあるが兵の指揮をとることには向かない

できるのは小姓の取りまとめくらいだ

これは完璧にまとめ上げる

仕事は執事なのだからまとめる仕事はそれだけで十分だ


「武吉、義父上を府内へ運んでくれ。それと三島村上へ連絡し毛利水軍がこちらへ来そうなら援軍をと伝えてくれ」


「御意に」


「以上、諸将自らの持ち場にて奮起せよ」


「私は?」


評定の終了間際誾千代が声を上げる


「本当なら留守居を頼むんだけど嫌がるだろう?」


「当然だ」


「俺と来い」



翌々日、立花統虎は主力6300を連れ出陣

志願兵を募ってからの出陣としては異例の速さだった


また各方面軍も出撃する


そして統虎は日本一大番狂わせの上手い一族、島津家と相まみえることになる


そして道雪と彼の連れる騎馬の精鋭達もまた壮絶な戦いを強いられることになる




「兄上、なぜ大友領の方へ?」


「龍造寺は放っておいてもすぐには立ち直れない。鍋島がいるがまだ帰っていないそうだしな。有馬の軍だけで十分だ」


今回の龍造寺征伐では今泉家の征伐軍だけでなく有馬家も参戦している


「立花と一戦交えることになります」


「そうなってもかまわないさ。いや…むしろそうすべきだということだ」


「新助殿は?」


「立花とはやり合いたくなさそうだな。しかし秋月、筑紫が寝返った以上多少手助けしなければならん。たとえふりでもな」


「…兵の気合を入れ直すべきかも知れませんな」


「忠元、頼んだぞ」



決戦は近くまで迫っている

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