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祇園守紋を掲げよ 〜立花家戦記〜  作者: ワールド
九州の争乱と主家の行方
10/35

統虎の突破口 〜名将はこうして生まれゆく〜

お待たせしました

戦闘が始まってから四半刻(30分)


統虎が率いる楠木衆は少数での戦い方をしっかり心得ていたため損害を抑え見事に戦っていた。しかし少しずつ数は減っていく

乱波の中でも戦闘では日の本一を自負するものの圧倒的数を超えることは出来ていない


そして後方はさらに混戦している

全員残弾は残りわずか、試しに持たせていた焙烙玉は使い切り弾切れのものは刀で応戦している

すでに50のうち13人が討ち取られている

損害がここまで少ないのは秋月軍が油断していたため士気が振るわないことと重朝の見事な鼓舞と指揮によるものだ


限界の近い統虎軍についに援軍が到着した


「馬を止めるな!そのまま敵歩兵を引き倒せ!!」


連れてきていた騎馬隊だった

統虎が戦っていた後方部隊はその突撃力に恐れをなし敗走した


「誾千代、助かったよ」


「よく耐えた。立花ならそのくらいしてもらわなければな。指揮を統虎に預ける」


「御意に」


苦笑しつつ答える


そして後方にも同時に援軍が敵を蹴散らす


「我こそは小野鎮幸。剛の者達よ、こぞって挑め!」


「見事な騎突だな。さすがは立花の双翼、一射して後退!」


後方で横槍を入れた小野以下200の騎馬隊が敵二陣を蹴散らした結果裏崩れを起こし先陣が後退

その隙を見逃さない重朝は一射させて後退を始める


「歩兵隊は?」


「幽斎に任せてきた」


「そうか…」


兵をまとめさせつつ思案をめぐらせる

騎馬隊の突破力を使って敵を一時的に潰走状態に持ち込みはしたがその数の多さを考えればすぐに復活してくるだろう




「邪魔が入ったか!!しかし今度こそ奴らを討ち取る好機だぞ!」


「申し上げます」


再度攻勢を仕掛けようとしたときに斥候が飛び込んでくる


「高橋軍が着陣とのことです」


「間に合いやがったか…攻勢中止!筑紫家と合流する!」




「…というわけで作戦は以上となります」


「統虎。こんな策謀を張り巡らせているとは意外だな」


「大人になったということか」


「しみじみとしないでくださいよ父上。まだ成功もしていませんし」


統虎、誾千代、紹運を中心とした軍議が行われている


ちなみに統虎は義父の道雪から「紹運殿こそ本当の父である事実は変わらない。今後も敵味方に分かれぬ限り父と呼んで差し上げなさい。それに紹運殿と敵味方分かれるなどあり得ないだろうな」との発言により父上と呼ぶように戻っている


立花高橋連合軍3300に対して秋月と結び今泉に寝返っていた筑紫家が加わり秋月筑紫連合軍9200

名将揃いの立花高橋連合なら損害も大きくなるだろうが勝つことは難しくないだろうしかし…


「…しかしこの作戦がうまくいけば戦力を失わずに済む。そうすれば大友本隊への援軍も差し向けられるという訳か」


「はい。戦力を失うことは大友家への援軍が出せなくなることですから」


「しかし、このような策を用意していたとはな…伝令は送ったのか?」


「ええ」


「しかしそれでは立花が負けたことになるのではないか?」


「この数じゃあ勝つのは難しいさ。無理とは言わないけど。だが勝てても損害が大きくなる。大友家へ援軍が送れないのでは意味がない」


「我々の戦ぶりを見せつけつつ引き、改めて軍を発するというわけですか」


「ああ。まあ策の根幹を作れたのは半兵衛と幽斎のおかげだけどね」


「と言いますと?」


「それがしと半兵衛殿がほぼ同じ作を献策したのです。それが本策です」


「ほう…」


「両名があらかじめよしみを通じて対策していてくれていたおかげだな。楠木の情報などから推測していたのだろう?」


「秋月はさすがに予想外でしたが…」


苦笑しつつ幽斎が答えて続ける


「この一手はそれなりに効くでしょうな。千若丸殿のおかげでさらに完璧でしょう」


「我が弟も大変な役回りを押しつけられたものだ」


周りを見渡しつつ下知を放つ


「それでは策通りに行く」


各々同意を示し準備に取りかかった




「やはり誤報だったか…」


秋月の陣では大友援軍が後方より接近中との噂を受け真偽を探るためこの2日間動けずにいた

当然これは楠木に命じてあらかじめ秋月城下で商店をさせていたものなどに流させた噂だ


「道雪が来る前に倒さねばならん。急ぎ兵を進めよ」



「殿、敵が動きましたな」


「統虎の策通りに行くぞ」




「秋月の力を見せつけよ!かかれ!!」


「筑紫家は今泉に賭ける。者ども進め!」



「来ましたな…」


「幽斎、我々の歩兵はおまえに預けるぞ。細かな指揮は苦手だからな」


「御意に」


「例の部隊は?」


「私が準備を終えさせている」


「さすがだね」


前方を見る


「さて、始めようか」


秋月筑紫連合と立花高橋連合が衝突

乱戦になってから1刻半が経過

当初圧倒すると思われていた秋月筑紫連合の思わぬ苦戦が続く

そんな本陣へ凶報が届く


「伝令!申し上げます!!」


「どうした!?」


「昨日…五カ山城が陥落しました!」


「なに!?」


五カ山城、筑紫家の居城である


「どうしてだ!?晴門を残してきたぞ!?」


「千若丸殿率いる2000が攻撃を開始、それに伴い加弥姫様、春門様が大手門を開きました」


「わが子達が寝返ったというのか!?」




「成功したか…正明!潜り込んでいるものに大声で伝えさせろ。これより撤退戦を行う。父上に引いて頂け」




この報を大々的に言いふらした結果筑紫家の士気が低下した

この瞬間を見逃さない紹運、幽斎は撤退を開始

入れ替わって後方に待機していたものたちが突入する


「軍議の席で決めたとおりだ!右翼に鎮幸、左翼に氏郷、俺の後ろは秀政に任せる!一気に崩せ!」


そして…立花が後世に名を残した強みの一つ騎馬隊が猛威を振るうことになる


「えいとーーーう!!」


「「「「「「えいとーーーーーーう」」」」」」


当時の日本人が見たこともない大きさ、速さの馬が槍にも恐れず突っ込んでくる


「なんだ!?あの馬たちでかいぞ」


「しかもすごく早い!?」


「鎧までつけてる!槍が刺さらない!」



猛将たちをそろえただけあって圧倒的な力を見せつける立花軍

秋月筑紫連合は混乱を極めた

統虎自身も刀を持って3人近くを切り捨てた


立花の猛撃は一瞬で敵を1里近く交代させた

そして…


「頃合かな?引け!」


騎馬隊は一斉に後退を始める


「逃げるか!追え」


「離しすぎるなよ!」


適度な距離を保ちつつ逃走する騎馬隊

その先には別働隊が待っていた


「奥方様、準備できました」


「こちらも終えました」


「一豊、重朝、ご苦労。重秀と昌長のことだ。両翼も問題ないだろう」


寝返りの報を受けた立花軍はすぐに出兵できる雑賀衆を援軍に出していた

その数300

大将鈴木重秀、副将的場昌長、山内一豊

前日夜に着陣すると新たに統虎が作らせたスコップで穴を掘っていた


もともといた3300の部隊とは違い敵に未だ補足されていないこの部隊は全員鉄砲を持っていた

中央に大将として誾千代、副将に重朝と一豊

両翼には重秀と昌長

今回の撤退戦での殿部隊の一つだった


「構えよ」


静かに言い放つ



「追え!追うのだ!奴らは大きな馬に乗ってはいるがもはや疲れている。もう少しで追いつけるぞ!!」


鼓舞しつつ追撃の指揮を執るのは秋月軍先鋒内田四郎右衛門

彼は自ら先頭に立ち鼓舞しながら追撃していた

故に策にはまる


「撃て!」


鉄砲が一斉に放たれる


「くっ…」


しっかりと発砲音に慣れさせていた立花軍とは違い彼の馬は発砲音に驚き暴れだす


「落ち着け…落ち着くんだ!」


何とか制御しようとする

しかし…


「残念」


刀が突き刺さる


「馬はきちんと御さないと」


統虎は備前長光を引き抜きつつ下知する


「鉄砲組は堀から出て騎馬組と相乗りしろスコップやその他置いていた物も忘れるなよ!」


相乗りを命じるとさっと誾千代の元へ向かい手を差し伸べる


「はい」


「ああ」


警戒を緩めず後ろへ銃を向けつつ回りを見渡す

一豊は誾千代の補佐をするため援軍とともに駆けつけていた妻の千代を乗せている

秀政は氏郷と共に両翼へ散ってゆく

鎮幸は殿を務めるべく隊列を組み直す


「全軍撤退!立花山まで引くぞ」


騎馬隊の機動力を使い敵を引き離した



第一次秋月虎口の戦いは立花高橋連合の撤退により秋月筑紫連合軍の勝利に終わった

…と言っても秋月軍は結果的に言いようにやられ撤退されてしまった

また、筑紫家の本城を失い勢力を弱めた


立花高橋連合軍戦死者530

秋月筑紫連合軍戦死者700


立花軍、高橋軍共に武将クラスの戦死者はなかった

また撤退時の戦死者の多くが領民兵であったため専任武士のみで構成されていた鉄砲隊や騎馬隊にほぼ損失はなく当時では斬新とも言える兵科ごとに分けた部隊に損失は出ていないが襲撃の際統虎の護衛をしていた部隊は超精鋭ともいえる部隊

その部隊は50人中28名戦死、13名重傷のうえ復帰不可能という状態

小さくない被害を受けた

「亡くなった領民兵の家族への年金の書類処理以上に俺の護衛の再選出に悩まされそうだ」などと統虎が愚痴るほどの被害だった


それに対し秋月家も家老内田実久の次男内田四郎右衛門が戦死するなど痛手を被った


さらに五ヶ山城の喪失による被害は大きくなっていく


初めて前、後書きを書きます


この作品は基本的に一日に一回以上出したいと思っています

ここ数日は体調不良で出せていなかったのですがここからはきちんと進めます



ちなみに平行で不定期の小説も進めたいんですが日本の戦国時代をベースにした別のお話、空想世界の王国のお話、前者に亜人などの設定を追加した話


どれがいいですかね?

転生がいいかそうでない方がいいか含めてご意見お待ちしています



ちなみに次回は統虎達から離れて五ヶ山城攻めをお送りします

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