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東方シリーズ

エイプリル騒動

掲載日:2019/04/01

「ユイさん。私と…結婚…してくれませんか?」

「はぁ!?」

俺は竜人のユイ。

今日この頃、妖夢に婚約を迫られました。

いやいや、どういうことよ?

思考すること約3秒。

結果的にそんな短い時間で答えなど出るはずもなく。

顔が熱くなっていくのが嫌でも理解できる。

理解したくねえ。

「えっと…」

「ダメですか?」

「そういう訳じゃない。」

「じゃあなんでお返事をいただけないんですか?」

「俺なりにも少し時間が欲しいというか…」

「じゃあいいです。」

「はい?」

「破談ですね。」

「あぁもう! そういうことじゃないって!」

「じゃあどういうことですか?」

「それは…」

俺はじっと妖夢の顔を見た。

俺から見て目がやや右上に向いている。

顔も赤い…

なんとなく察しがついた。

「はぁ…」

俺はため息を吐くと妖夢を引き寄せて抱きしめた。

「きゃあ!」

妖夢が悲鳴を上げる。

「恋人にそんな意地悪な嘘はどうかと思うぞ。」

俺は不愛想に言う。

「だって今日は…エイプリルフールっていう日で嘘をついてもいい日だって。」

「過激すぎるわ。」

そういうと俺は軽く妖夢の頬をいじる。

「そうは思わないかい、白玉楼の主さんよ?」

障子の陰からひょっこりと幽々子が出てきた。

「お前さんがこれを考えたな?」

「えぇそうよ~。」

「意地が悪い。お前さん自身で実行しろ。」

「亡霊に告白されてもうれしくないでしょ?」

「半人半霊を恋人に持っている時点で今更なんだよなぁ。」

「そう? 実は私…」

「遅いわ。」

「最後まで言わせないなんて酷いわ~。」

「よく言うぜ。」

俺は笑った。

その時胸が突かれる感覚がする。

見ると妖夢が顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。

「そろそろ…離していただけませんか?」

「ん? 悪い悪い。」

そういうと俺は妖夢を解放した。

しかし解放しても妖夢は離れない。

それどころか俺に抱き着いてきた。

「これが…私の嘘です。」

妖夢がにやりと笑ってこっちを見る。

「こりゃ一本取られたね。」

俺は笑うと妖夢の頭をガシガシと撫でた。


----------


「こんなところに呼び出して何の用だ、正邪?」

「実は…話があってな…」

「俺も授業の休み時間の間に出て来てるんだ。早く言ってくれ。授業に遅れる。」

「実は…お前のことが…好きだ。」

「…はい?」

俺は猫辰。

今日この頃、正邪に告白されました。

いやいや、どういうこと?

たっぷり思考すること約10秒。

分からん。

正邪のことだ。

天邪鬼の思考ではこれは嘘ともとれる。

しかし忘れてはならない存在が1つある。

4月1日。

そう、忌々しきエイプリルフールだ。

更にひっくり返った場合これは本当になる。

嘘の嘘は本当?

いや、さらなる嘘の可能性もある。

それとも天邪鬼の性能だけを考えた場合普通に嘘という可能性もあるだろう。

これは…どう答えればいい?

仮に本当の告白だったとしよう。

現在告白されているのは路地裏。

恥ずかしいことをバレずにいるにはこの上なく絶好の場所だろう。

しかし正邪、てめーが問題だ。

天邪鬼。

これほど厄介な相手に告白されるとは…

更に考えること約10秒。

先生、答えが出ません!

俺が先生じゃねえか。

どうしたものか…

「早く返事をくれよ。」

「そうはいってもなぁ…お前さん、今日が何の日か知ってるか?」

「今日…何の日なんだ?」

あの様子からすると本当に知らないのか?

いや、伊達に危ない橋は渡っていないだろう。

はったりや2枚舌の可能性だってある。

まて、これ授業のせいにして授業中に考えた方が得じゃないか?

「すまん、そろそろ時間だから次の休み時間に…」

「今、答えが聞きたい。」

「どうしてもか?」

正邪は顔を赤くして頷く。

……。

考えることを放棄したい…

素直に今そんな気持ちだわ。

だぁぁぁぁぁ!

恋したことはあっても告白されたことなんてないからどんな反応していいのか分からん!

恥ずかしさで三途の川を渡りそうだ!

…本当にどうしよう?

俺は考えに考えた。

そこである結論に至る。

ある妖怪に化けることにした。

(あぁくそ! 悪戯でもこんなことするんじゃなかった! うぶすぎる反応にこっちが恥ずかしくなってくるじゃねえか! 4月1日のエイプリルフールだから天邪鬼の種族も含めてあいつの悶絶する様子が見たかったのに…こんなんやるんじゃなかった!)

オーケー、把握した。

俺が化けたのはさとり妖怪。

第三の目は見当たらないが心は都合よく読めているようだ。

てめえのウソには引っかからねぇぜ!

てなわけで言ってやる。

「そうだね…お前さんと付き合うのもやぶさかじゃない。…嘘じゃなければね。」

「なっ!」

途端に正邪が慌て始める。

「何を…」

「まぁ、今回は相手が悪かったと思いな。『化ける程度の能力』侮るなかれ。」

そういうと俺はいたずら心を起こした。

そっと正邪を抱きしめるとそのまま寺子屋に戻る。

(なんで抱きしめた? えっ? こいつのやったことはなんとなく分かった。さとり妖怪に化けたんだろ。でもどうして私を抱きしめた? なんでだぁ! 猫辰!)

心の中で悶絶する正邪をひっそりと笑いながら俺は路地裏から出た。

そして授業の終わりに今度は偶然来ていた妹紅さんに呼び出された。

「なぁあんた。あんたってさ…今、気になってる奴っているか?」

少しばかり顔を赤くした妹紅さんが俺に聞いてくる。

「そうですね…慧音さんは尊敬してますし、正邪とも仲良くしてますし、妹紅さんとも少し遊んでもらってますし…」

「あんた、私のところは咄嗟に言っただろ。」

「あはは…バレてましたか。」

「お前と遊んだことなんてなかったからな。」

「すいません。でも妹紅さんにも少なからずお世話になってますよ。いい友達です。俺が生まれる前の話とかも新鮮ですし。」

「友達か…でも、私が思ってるのはお前さんとは少し違う。」

「そうかもしれませんね。あなたは不老不死の蓬莱人。いずれは別れる日が来てしまいます。」

「そういう感じじゃなくてだな…つまり、私が言いたいのは…」

そういうと妹紅さんはなぜか咳払いをした。

その顔はもんぺと同じくらい赤くなっている。

そのとき、思いもよらないことを妹紅さんにされた。

頬にキスをされた。

「私は…こういうのを伝えるのはあまり得意じゃないんだ…だから…察してくれ…」

はい?

俺の鼓動はとんでもない程に早鐘を打っている。

まて、これは嘘の可能性だってあるんだ。

舞い上がるな。

さとり妖怪に化けて心を覗くんだ。

落ち着け俺!

なんとか頭だけを冷静に保ち妹紅さんの心を読む。

…マジじゃないですか!?

俺の覗ける範囲では少なくとも妹紅さんは本気だ。

でも…

「妹紅さんの気持ちはすごく嬉しいです。俺も、妹紅さんのことはすごい好きです。でも…俺はあなたの悲しむ顔を見たくはありません。できれば、友達でいてくれませんか?」

妹紅さんは衝撃を受けたような顔をした。

(失敗した!?)

オッケー。

妹紅さん、あんたは手強かった。

俺が「化ける程度の能力」を持っているのを見越して心の中でもそう思っていたんだろう?

しかし甘かったな!

予想外の結果だっただろう?

俺が振るなんて結果は。

もちろん本気で告白されたとしても同じように返すだろう。

俺の死に際に妹紅さんの悲しむ顔が見たくないのは正直な気持ちだ。

だが、今回のあんたのそれは嘘だった!

だからこそ、衝撃で心に隙が生まれたところを見計らって強引に心を読ませてもらったぜ!

「…あちゃ~。こりゃ一本取られたね。」

そういうと妹紅さんは顔を上にあげ額に手を当てた。

「あなたのスペカに、滅罪『正直者の死』っていうのがありましたよね。嘘つきでもやられるときはやられるんですよ。」

「みたいだな。」

「ちなみに結構強引に心を読んだので確信は持てませんが、この案は慧音さんが考えたんですか?」

「正解だ。」

慧音さんも意地が悪い。

「慧音、バレてるってさ。」

妹紅さんが俺の後ろに向かって言う。

「むう、バレてたか。」

「それでも妹紅さんは強敵でしたよ。」

「そうかそうか、心理戦にも長けた妹紅を選んだのは正解だったな。」

俺はため息を吐く。

遠慮をしないといけない相手を負かすのは大変だなぁ。

こうして俺はエイプリルフールの騒動を何とか凌いだのであった。


----------


このことを俺(達)は後に「エイプリルフール騒動」となずけることにした。

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