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傭兵少女の異世界生活記  作者: 永遠の42歳時雨上等兵
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プロローグ

 とある中東の紛争地帯


 その街での戦闘は終わり、辺りには静寂が訪れていた。

 廃墟が並び、政府軍や反政府軍、傭兵の死体が所属関係なく等しく鳥や虫にたかられる。

 戦車の残骸や墜落した武装ヘリ、戦闘機などはその役目を終え、死体と同様静寂を保つ。


 「…っ!」


 そんな死と破壊の街に1人、動くものがいた。

 デザートタンの迷彩服を着たその少女はよろよろと立ち上がると崩れかけたコンクリート製の建物に近づいた。


 「…っ!」


 歩く毎に腹部が痛む。

 少女の腹部からは少しづつ血が出ていた。

 痛みを堪えながら崩れかけの建物に近づき、その壁にもたれ掛かるもう1人の少女に近寄る。


 「…ん。麻子(まこ)、か?」


 もたれ掛かる少女はうっすらと目を開けると近づく少女を見てそう言った。


 「(まい)…」


 「ふふっ。麻子も、やられたか」


 舞と呼ばれた少女はゆっくりとした動作でポケットから紙巻煙草を取り出すと口にくわえる。

 別のポケットからオイルライターを取り出すも、オイルライターは銃弾で撃ち抜かれ、穴が開いていた。

 オイルライターを仕舞い、代わりにマッチを取り出すと、煙草に火を着ける。


 少女はゆっくりと紫煙を燻らす。

 麻子と呼ばれた少女は舞と呼ばれた少女の横に座ると、隣に座る少女と同様に紙巻煙草を取り出した。

 しかし、その煙草は血に濡れ、吸えなくなっていた。


 「くそっ…。…舞、煙草ある?」


 「これが最後の1本。…煙管(きせる)も折れてる」


 舞と呼ばれた少女はうまそうに煙草を吸う。

 半分ほど吸うと、くわえていた煙草を指で挟み、隣に座る少女に渡した。

 麻子と呼ばれた少女は少しの間煙草を見つめると、煙草をくわえる。

 その頬は心なしか少し赤くなっていた。


 『こちらハウンドドッグ・1(ワン)!西崎だ!誰かいるか?応答してくれ!オーバー!』


 舞と呼ばれた少女が、少女が煙草を吸うのを見ていると、突如、無線が入った。

 少女は無線のボタンを押すと、話始めた。


 「こちら、ファントムラビット。槇下(まきした)。ハウンドドッグ・1、どうした?オーバー」


 『ファントムラビット!悪い知らせだ!現在その場所に政府軍爆撃機隊が向かっている!そこに出張っていた空軍系PMCがへまこいたせいで現在そこのエアカバーは喪失中だ!現在戦闘機2個小隊が急行中だが恐らく間に合わない。直ちにそこから撤退してくれ!オーバー!』


 少女は自分の体を見た後、隣に座る少女を見た。

 少女は煙草をくわえたまま、頷くだけだった。


 「…ハウンドドッグ・1。ファントムラビット残存兵員は現在撤退中。ここに残ってるのは死人(しびと)と、重傷者のみ。恐らく撤退は間に合わない。オーバー」


 『くそっ!なんとかなら無いのか!』


 「無理だ。無傷の者、軽傷者は既に撤退。ここに残ってる奴等では、撤退は難しいだろう。それそろ、私も、休むとするよ」


 『くそったれ!いいか!なんとしてもその爆撃を乗りきれ!必ず迎えのヘリを寄越す!それまで持ちこたえろ!』


 「もう、いい、ハウンドドッグ・1。この傷では長くは持たん。ならば、そのヘリは別の部隊に使ってやってくれ。油と弾を無駄にするな」


 『…了解した。だが、これだけは言っておく、ファントムラビット、最後まで生き残る努力をしろ、以上だ。オーバー…』


 「ふふっ。了解した。アウト」


 少女は無線を切ると、煙草を燻らす少女に向き直った。

 半分ほどあった煙草も、間もなく燃え付きようとしている。


 「最後まで生き残る努力をしろ、か」


 ポツリと呟く。

 師匠は、今の私を見てどう思うだろうか。

 少女がそんなことを考えていると、隣の少女が吸い終わった煙草を指で弾き、少女に話しかけた。


 「…舞」


 「…ん?なに?」


 「…今まで、ありがとう」


 「いきなり、どうしたの?」


 「…最後なら、伝えておきたい。舞」


 「なに?」


 隣の少女はそこで言葉を区切った。

 辺りに轟音が響く。その轟音は徐々に大きくなり、爆撃機が近づいている事を示していた。


 「私は、貴女の事が」


 独特の風切り音が響き、遠くで爆音が響く、爆撃が始まる。


 「     」


 爆音と倒壊の音が辺りを覆い尽くす。あまり大きくない少女の声は爆音と倒壊の音に紛れ込んだ。

 最後に想いを言えた少女は少し頬を赤く染め、満足そうな顔をすると、少女の後頭部に腕を回し、額を併せた。

 そして、2人の少女は同時に目を瞑る。

 その直後、付近に250㎏の航空爆弾が降り注ぐ。

 2人の少女は建物の瓦礫に押し潰されるその時まで、ずっと目を瞑っていた。

 お久しぶりでございます!はい、新作です!楽しんでいただけたらこれ幸いです!

 すいません!他の続きも書いているのですが少しスランプ気味…。しばらくはこの小説を更新していくことになるかも?

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