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一億分の一の小説  作者: 成瀬諒太
一章 『此処から』
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8話 『懐かしさと驚きについては』




「見よ!俺の光り輝く大剣、ダークネスサンダーミラクルハイパーソード!!」



おもちゃの剣をシンは暖かく照りつける太陽に向けて勝ち誇ったかのような顔をしながら言い放った

それも高々に宣言して


剣と言ってもおもちゃで、しかもプラスチックだからなんの脅威でもない。

でも二人の少女には効果抜群の代物のようだ



「そ、それは古代より封印されていたダークネスサンダー以下略!なぜその剣がシンの元に!?」



「ほ、本当です!私もなんでシンにダーク以下略があるのか気になります」



ニーナとメルクが厨二ちっくな剣の名前を連呼する。

もちろんシンがつけた名前だ。

将来使うであろうトゥールウェポンに憧れでも持ってるのだろう


シンが苦笑いして、その笑いをすぐさま悪徳な笑みに変えて



「どんどん略されているのは気に触るけど、なぜだかそんなに知りたいのか?このダーク以下略のことを」



シン自体も長ったらしい剣の名前を言うのをめんどくさく感じたようだ。

なんとも見事なフラグ回収だろうか、まるで漫才を見ているようだった



「なら教えてやろう、この剣は今まで俺の強大な力を隠していたが故に手元になかっただけなのだ。力を最大限にまで開放した俺に引き寄せられこの剣、ダー……」




庭で遊んでいる三人と少し離れたところ、ミツキは腕を組んでそこにいた


厨二キャラにへ着々と歩みを進めているシンを見て、ミツキは表情は変えずに内心ほのかに苦笑いをした


三人の姿を見ていると昔のことを思い出す。シャルにレーンにあいつに、いつもの四人組で楽しく遊んだものだ

それが今になってあの三人を見ていると変にぶり返してくる



「変な名前なんかつけやがって」



ミツキは少し離れた場所でそう言い放った


もちろん三人の見える範囲にはいるの

だが、邪魔にはならないような場所にいる。

昔の自分たちを思い出すとそんな邪魔なんてことできるはずもない、そもそも動機もない


まぁ、いざとなったらすぐに行動がとれるように体制は整えているのだが


三人のやり取りしている場所はそれなりに遠いのだが、なんとなく会話や行動は見て取れる

だてにこの家の最年長をやっているわけでもないのだ



「……ふん」



そうやって息をふかして、また三人のやり取りを見守り始めた



「つまりだな…この剣、ダーク以下略は俺の力に引き寄せられ磁石のS極M極のように出会い……」



「よし、なんとなくわかったぞシン」



内容がイマイチ理解できなかったのかニーナはどうでもよさそうにそう言った

もちろん全く分かってはいない



「なら良い、さぁかかってこい!」



そしてニーナとシンの戦いが始まった



「馬鹿野郎」



二人の頭をぐーパンで押さえ込んだ

二人は当然痛がってうずくまった



「遊ぶのはいいがいきすぎたものはやめろ。後々面倒だ」



ミツキはうずくまる二人の姿を見ながらそう言った。その言葉の裏にはそこそこの心配があった



「ミツキのやろう!テメェまた殴りやがったな!!」



「お前が馬鹿だからだろうが」



そう言ってみつきは無慈悲にもう一発ぐーパンをおみまいした



***********************************************







「よし、今日はいい天気だからよく洗濯物が乾きそうね」



日差しを浴びながらシャルが洗濯物を干してそう言った。

確かに今日の天気を見ると雲ひとつない快晴だ。こんな日だと憂鬱な気分になる家事仕事も楽しくできている気がする


爽快な気分で額から流れる汗をぬぐって清々しいまでに嘆息した



「それにしても、レーンったら……かなり女の子らしい下着つけてるのね…。とても可愛いし……」



レーンの下着は先ほど干した。洗濯バサミにぶら下げられたそれをシャルはまじまじと見てそう言った

薄紫がベースのブラとパンツをかわいらしい下着だと彼女は称して


そして、シャルはついつい気になる欲望を抑えきれずに下着に手を伸ばした

もちろんその先にあるのはレーンのブラだ


恐る恐るタグを覗き込む



「え、レーンってBもあるの!?」



シャルは大声で驚きの声を上げた

幸い周りには誰もいなかったので大きな声と言っても誰にも届きはしなかった


まさかと思っていたがそのまさかが起こってしまったのだ。そうでもない限りシャルは驚きの声なんてものは上げない


まさか自分よりも大きいなんて思いもしなかったからだ

レーンはおとなしい性格だし、あまり喋らないし、なんていう偏見から成り立っていたものが今崩れ散ったのだ


驚くのも無理はないだろう



「そ、そんな……やっぱり大きいほうがよかったりするのかな……」



自分の胸元を見てシャルはそう言った

自分で言うのはなんだがなんかパッとしない、それに考えるのも恥ずかしい


洗濯物を干していてこんなことを考えてしまうとは思いもしなかった



「やっぱり大きかったらあいつも……」



と、言いかけた時すっと耳に入ってきた声に言いかけていた言葉は肺の奥へと逃げ込んで行った

そして、そのかわりに驚きというものが噴き出した



「シャルー!」



「!?」



やってきたのは紛れもなく大和だった

手を大きく振っていつものように楽しそうな笑みを浮かべてこちらへと向かってきていた


なんとも間抜けな顔なんだろう、なんてシャルは思った



「レーンに聞いた通り、庭で洗濯物干してたんだな。」



「……あ、あ、そ、そうよ……。」



先程までレーンの下着のことで頭がいっぱいでついつい行動に移してしまったところを見られてはいないか、シャルはそれだけが心配でしょうがなかった


その気持ちのせいでたどたどしくなる言葉は当然違和感を覚えさせる



「どうしたんだよシャル。なんかいつも見たいじゃないぞ」



「そ、そんなわけないわよ。ほら、ただ洗濯物干してだけだもん」



「洗濯物干してるやつが洗濯物干してだけだもんなんていうのは違和感しかないぞ」



「げっ」



こういう時に限って鋭い感を持っているのは本当にどうにかならないのだろうか、とシャルは心から思った



「ま、そんなことよりもだよ。シャルやミツキ、それにレーン、この家の最年長三人に話したいことがあるんだよ」



大和はいつものように笑いながらそういう。それでも、言葉とともに乗っかっていく感情に矛盾を生じているような変な違和感を覚えた


シャルは頭の中を一回リセットさせて大和の話を聞くことにした



「話?」

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