3話
目からビームでも出す気なんじゃないかと思う程俺を凝視してくる勇者と兵士たち。
気にせず飯を食う幼馴染みと妹。
俺を見たり勇者を見たりと挙動不審の両親たち。
中々にカオスだ。
あ、俺は気にせず飯を食ってるよ。せっかく作ったのにあの2人にしか食べないなんて嫌だ。だった
ら俺が食べる。
「ジャックって言うのは
「ルカ、テメェ食い過ぎだ。父さんたちの分が無くなるだろうが。」
残念ながら勇者の話を聞く気はしない。何を言うのかわかんねーがこの2人を連れてサッサと出てけ。
「そんなに沢山食べてないわよ!」
お前のそんなには信用できねぇから言ってんだよ。
「それに私たちの為に作ってくれたんでしょ?だったらいいじゃない!」
違う。
「違うよ。私の為に作ってくれたの。」
それも違う。
「…僕の為かい?」
「ちげぇよ!何で知らない奴の為に俺が作んねぇといけねぇんだよ!!」
あ、反応してしまった。
「ふぅ、やっと反応してくれたね。僕はいつのまにか幽霊にでもなってしまったのかと心配になってたんだ。」
「俺はアンタに用は無ぇからな。話さないなら黙ってるだけだ。」
「貴様!勇者様に向かってその口はなんだ!!」
「チッ!うっせぇな。……それで勇者様は平民な俺に何の用なんですかねー?」
勇者が手を挙げると兵士たちは黙る。まぁ、こっちを睨むのはやめないみたいだが。
「あまり喧嘩腰で話さないでほしいな。…魔王が復活をするというお告げが最近出たのは知ってるだろう?その為に今、僕たちは魔王討伐のパーティーメンバーを探してるんだ。」
「知ってるよ。だからこの村にも来たんだろ。」
「そして今日、剣聖や賢者といった上位職の2人を見つけた。魔王復活にまだ時間があるらしいから、2人には学園に通いながらギルドでクエストとか受けて戦えるようになってほしいと思う。」
うん、だから?それを俺に言う意味がわからない。
「けどこの2人は君がいないならこの村に留まると言うんだ。……だから君も付いて来てほしいと思ってね。」
「……馬鹿か!!!何で俺がそんな面倒……ゴホン、職業が最底辺の荷物持ちには魔王討伐なんて無理!という事で俺は絶対に行かないね!!…そもそも厄介事が起きたのを対処する為に兵士や貴族がいるんだろ。そいつらにやらせとけよ!」
けど2人は連れて行ってね。
「うーん、そう言われたら困るなぁ。けど、兵士とか世界の強者には幹部を相手してもらう予定だよ。……そうだ!学園にいる間の生活費とかは国に出させるし、魔王討伐の時は戦わなくていいからさ!」
「戦闘中に何があるかわかんねぇだろ。流れ弾で死ぬかもしれねぇし。…魔王の実力も知らねぇのに絶対に守るからなんて台詞言われたとしても信用できねぇしな。だから断る。」
後、報連相はしっかりとな。後ろの兵士たち初耳なんだけどって言う顔してんぞ。
「あまりこう言うのは好きじゃないんだけど……これはお願いじゃなくて命令だよ。ジャック君、君は王都に来てもらう。魔王を確実に討伐できるように、ね。」
チッ!最悪だ。力押しで歯向かったらここで生活が出来なくなる。世捨て人になるのは論外。どっかの国に行くのもなぁ。
そもそもあの2人。行きたくないからって俺をダシに使いやがって。
「…生活費だけじゃなく、小遣いとかも出せよ。学園も行くだけで単位とか気にしねぇから。クエストは付いてくだけだ。……荷物持ちとしての仕事は最低限はする。
最後に魔王討伐の時は王都にいる。討伐には向かわない。これが条件だ。」
ポジティブに考えよう。クエストとか受けて自分が戦闘してるのに戦わない奴と皆を引っ張って前線で戦う奴。これで勇者へ好感度が上がるようになる。魔王討伐してる頃には良い感じになるんじゃねぇか?
よし!これだ!!俺は後ろを振り向かない、前を見る男なのだ!