銀河歴1234年珍兵器博物館 (完)
作者さま:まいまい
キーワード:SF 兵器 ギャグ シリアス 連作短編
遠い未来、銀河大戦の末に人類が滅びかけている時代。砂の惑星に流れ着いた主人公はとある建築物を見つける。そこは兵器の博物館。少女型の案内ロボから聞かされる、喜劇と悲劇の数々。
感想
1つの兵器についての話は1000文字以下、非常に読みやすい1話完結形式。
いろいろな兵器が登場し、それにまつわるエピソードも多彩! 悲劇的で血みどろの事件から、笑ってしまう大失敗ロボットまで。出てくる物品は実に42個! 作者さまの豊かな想像力を楽しめます。
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「“流れ星”は、敗色濃厚な戦争の末期、負けを悟った星の住人たちが母星を改造して誕生しました。これは惑星を弾丸にして敵対勢力の星に叩きつける兵器として完成したものの再現ホログラムです。ワープ機構を星そのものに搭載するという規格外の兵器で、唯一無二のその性能は兵器マニアの一部の方々から熱狂的な人気を誇っています。莫大なエネルギーは星の核から熱エネルギーを吸い上げることで賄われており、これを撃ち込まれた際の被害規模は想像もつきません」
「成功したの?」
「伝聞によれば」
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「これは?」
「見てのとおりですね。『遠距離と近距離を合体させたら強いんじゃないか?』と」
「そんなわけないだろ」
どう見てもどちらかが邪魔である。
「近接戦闘機として運用された場合は狙撃銃がデッドウェイトになり、狙撃用として運用された場合は剣の方がお荷物になってしまいました」
そりゃそうだ。
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ユーモアがあってリズミカルな文章。兵器と戦争の話なのに軽い読み味。しかし、重くないからこそ悲劇の凄みが増している気がします。
そして、物語としての終わり方もグッときます。展示を見終わったあとに主人公が思ったことは……? 何ともステキ、ここでその言葉が出てくる作者さまのセンスはすばらしい。印象的な一言。そしてロボ少女の反応は?
ただの展示ではなく「博物館」なわけで、兵器と戦争だけでなく「過去と郷愁」もテーマなのかも。
サクッと読み終えてしまえる短編ながら、見事な広がりのある作品です。
状態:完結
文字数:25,270文字
個人的高評価ポイント
◇ アイディアが良い!
作品URL
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