秋葉原発! ヘリカルコイラー∞フューナ (完)
作者さま:山鳥はむ
キーワード:SF 原子力 核融合 ブラックコメディ バトル
あらすじ
小学五年生の「柏崎冬奈」は、テレビで取材をうけたことをきっかけに核融合親善大使に任命される。そして、送られてきたのは科学の粋を結集した変身ユニット!? しかもそれを悪用して嫌いなものに核制裁を実行!? 同時に謎の存在が不穏な動きを始め……魔法少女ならぬ科学少女バトルコメディ。
感想
敵味方ともにゲスいやつが多い(笑)。重要なことを雑に判断したり、責任を丸投げしたり、戦いから逃げたり、嫌いな物を問答無用でぶっ壊したり……コメディだけど内容は割とブラック。主人公もかなりのクズっぷりを発揮するのでそこは注意かも。
原子力を使った戦闘場面はダイナミックで爽快感たっぷり。そして大惨事。
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「ああ! よく似合うじゃない、冬奈ちゃん! いや、これからはもう、核融合親善大使ヘリカルコイラー∞フューナだね! 如何かな、フューナちゃん! 現代の最先端技術と五〇億ドルの開発費を投じて製作されたヘリカルステッキの使い勝手! それにヘリカルコイラー専用の特注エナジースーツの着心地は?」
ヘリカルコイラー∞フューナは、姿見の鏡の前に立ち、自分の変身した姿をしげしげと眺めます。
「センスないわね……。何? この腹巻みたいなのは?」
「ああ!? 大事に扱ってよ! それが核融合炉の心臓部、ヘリカルコイルなんだから!」
だぶだぶと余裕のあるコスチュームのお腹周りには、ねじくれたコイルが輪を作っていました。
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腕章が光り、『劣化ウラン弾装填』の文字が浮かび上がります。
「撃て! 劣化ウラン弾だ!!」
ネプニムの合図に従って、ルミナちゃんは劣化ウラン弾を自衛隊の戦車に向けて発射しました。放たれた劣化ウラン弾は戦車の装甲を容易に貫くと、持ち前の焼夷効果を発揮して、装甲を溶かしながら車体に穿った穴を大きく広げていきます。
「すっごーい! 劣化ウラン弾って強いんだねー……。一発で戦車に穴が開いちゃった」
ルミナちゃんはその貫通力に心底感心しながら、劣化ウラン弾を雨の如く撃ち続けます。この攻撃に、機械歩兵部隊は不利を悟ったか、慌てた様子で撤退していきます。
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女子小学生が核融合炉付きのコスチュームに変身(笑) 劣化ウラン弾を撃ちまくる(笑) いや~、インパクトありますね。
しかも地の文が絵本みたいな優しい口調なのが、内容のヤバさを引き立てている。良いセンスです。ほのぼのに見せかけて普通に人が死んでるし放射能汚染も起きてるんだよなぁ。
核融合に関連する言葉の解説も多いけど、「女子小学生にも分かるように説明する」という形で工夫してあり読みにくさはあまり感じないはず。
タイトルもなかなかに上手い。「秋葉原発!」は、~~~からという意味の「秋葉原・発」と、原子力発電所という意味の「秋葉・原発」のダブルミーニング。ほんとセンスありますね。
2重3重にも危ないネタを毒気たっぷりに書いている。作者さまの個性が光るSFブラックコメディです。
状態:完結
文字数:96,835文字
個人的高評価ポイント
◇ アイディアが良い!
作品URL
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