略 妹様へ (完)
作者さま:斉藤さん
キーワード:ファンタジー バトル 復讐 近親相姦 誤字脱字
あらすじ
優秀すぎる妹が生まれたせいで、両親からも見捨てられ妹のための踏み台にされた男の復讐譚。達人たちがそろう大会はどんな結末を迎えるのか?
感想
文章と空気感に強烈な個性がある。かなり印象に残ってる作品。
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だからさ今も悩むんだ、どうやったら妹を殺せるって、どう考えても一方的な虐殺しかされない、どうやったて妹を俺は殺せないのさ。
あいつは俺よりもあらゆる意味で勝っている、知恵でも策でも何でもかんでも、あれだけ勝てる要素が無いんだ、勝っている部分は間違いなくあいつと反対の卑屈な心だけだ。これだけは間違いなく勝っていると言える。
あとは性格の暗さ、根性が腐ったところか、全部同じだっていわないでくれよ。嵩増しして少しで勝ってる部分を増やしたいんだよ。あいつと違うって事を明らかにしておきたい。
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ここに一人の魔剣と呼ばれた天才剣士の命が尽きた。
いつ剣を放ったかすら分からないその妙技に、もしかすると死体は歓喜していたかもしれない。死体が震わせた痙攣は、武者震いだったのかもしれない。そう思えるほどに、その剣士の意識のある頭蓋からは歓喜の表情が見えていた。
その男は何を突き詰め続けたのか、殺意という目標を消すこともなく、どの境地まで突き詰めたのか。それをきっと死体は問いただしたくて、なによりもう一度剣が見たくてならなかった。もう一度殺してくれと叫ぶように、喜悦にすら変わったその表情は本当に死んでいる存在なのかと言うほど表情豊かであった。
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うーん、文章が濃いと言いますか……
設定・物語・キャラではなく、文章そのものに個性がある。そういう作品は多くないんですが、本作はその1つ。ただし誤字脱字が多いので、そこは減点。
物語として見ても各キャラの生きざま、そして死にざまに迫力があります。個人的には「無双」ザインザイツさんがお気に入り。あと両親の超絶クソ外道っぷりも。でも彼らもある意味では軍神の被害者なんだよなぁ。でも軍神は加害者ではない。
そして主人公である「センセイ」、彼は私の知る限りでもトップクラスに「うらやましくない主人公」です。まったく交代したくならない(笑)とてつもない苦労と、自己否定感。心がぐっちゃぐちゃ。復讐譚としてさえも暗くて後ろ向き。なんともすさまじい。
おすすめ度という点では高くないんだけど……しかし、個人的に忘れがたい作品であるのも確か。決して駄作でも凡作でもない。
好きな人には刺さる作風……とも違う気もします。とりあえず読む人によって印象は大きく変わるでしょうね。
状態:完結
文字数:299,078文字
個人的高評価ポイント?
〇 高い完成度?
作品URL
https://ncode.syosetu.com/n8515x/