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51/103

僕は僕の書いた小説を知らない  (完)

作者さま:Q7/喜友名トト

キーワード:日常 前向性健忘症 小説 恋愛 苦悩 書籍化作品


あらすじ

1日ごとに記憶がリセットされ、新しいことを覚えられないという症状を抱えた小説家の「俺」。経験も出会いも眠るとすべて忘れてしまう。そんな状況のなかで小説を完成させられるのか。過ぎていく日常のなかで足掻く男の生活。


感想

文章力・構成力がとても高い。新たな思い出が作れない苦悩と恐怖が強く伝わってくる。


~~~


 寒気を覚えながら開いたテキストファイル。その一行目には、こうあった。


〈まずは落ち着け。大丈夫だ。お前は、いや俺は、つまり岸本アキラは、その状態でもう二年ほど生きている。混乱してバカなことをしないでくれ。例えばこのPCをぶっ壊すとかそいうことはするな。それやったら色々大変だから……落ち着いたか? いや、知ってる。お前はとりあえずこのファイルを全部読むはずだ〉


~~~


全部忘れて、明日の朝目覚める。それは、今日の、今の俺が死ぬってことなんじゃないのか。


 記憶の連続性が途切れた人間は、同じ人間として生きていると言えるのか。


 それに、こんな生活を本当に続けられるのか。今日見た通帳ではまだしばらくは大丈夫なのかもしれないけど、減り続ければいつかは破綻する。


 記憶力の無い人間。さっきとは別の意味で、生きていけるのか。


 そして俺は、今こうして脅えていることを明日には忘れて、同じように明日も脅えるのか。


 怖い。怖い怖い怖い怖い怖い。


 タフでいたいと思う。逆境でも軽口を叩くハードボイルドがカッコいいと思う。


 でも。


 眠れない。死にたくない。忘れたくない。


 明日の俺と、繋がっていたい。


~~~


この迫力と臨場感……! とても表現力がある。序盤からグッと引き込まれちゃいますね。

小説という形で記憶を受け継いでいくアイディアも見事。消えていく記憶、書き溜められていく作品。良い構図でしょう。

普通には働けない状況の中で残された最後の希望。必死に物語を積み上げて姿はすごく応援したくなります。

そして、自分の書いた物語なのに「読者として新しく読める」、というある意味では製作者にとって理想的な状況。実に味わい深い。

また筋としては真面目でシリアスだけど、ユーモアのセンスもあり笑えるシーンも多数。

キャラクターたちも描写が上手く、それぞれ良い存在感あり。ヒロインの翼さんは本当に魅力的。終盤の展開もしびれる!

すべての要素がハイクオリティな作品です。



状態:完結 

文字数:108,299文字


個人的高評価ポイント

◇ アイディアが良い!

◎ 高い完成度!

作品URL

小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n7248el/

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