会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった
作者さま:エール
キーワード:現代ドラマ web小説 メタフィクション ギャグ 恋愛
あらすじ
入社3年目の主人公は、上司達にいびられる毎日に嫌気が差していた。ある日、ストレス発散のため職場の人々をモデルとしたファンタジー小説を執筆開始。しかし、読者の中に務めている会社の社長や同僚女子がいて!? 明らかになる職場の問題、そこで予想外のつながりが効果を発揮する。
感想
「自分を主人公に投影してweb小説を投稿している作者」を主人公とする2重構造の小説。実際にこういうパターンも割とありそうでリアリティを感じます。
~~~
その日、帰宅した彼は、今日怒鳴られた事を思い出し、翌日も会社に行くことが嫌で嫌でたまらなくなっていた。
(なぜ、あんなに大声で叱られなければならないのだろう……金田課長代理は、自分では全く何もしてくれないくせに……)
理不尽な仕打ちに怒りがふつふつと湧き起こってくるが、怒鳴り返す勇気もない。
(そうだ……自分を主役にして、金田をモデルにしたキャラが登場するラノベを書こう……そこで憂さ晴らしをしてやる……この際、ほかにも気に入らない奴を次々に登場させて、みんな成敗してやるんだ!)
負のオーラ全開の土屋は、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた後、愛用のテキストエディターを立ち上げ、一心不乱にラノベを書き始めたのだった――。
~~~
ここまで極端で分かりやすくなくても
「主人公の行動に自分の欲望を投影」「物語を作って現実のストレスを発散」
こういうのは製作者なら少しはある部分でしょう。分かります分かります。それをあえてメインテーマとして書いてしまうのが良い発想で面白い。
そして異世界召喚された勇者となって魔王と戦う創作パートのストレートな設定も楽しい。
~~~
「そうじゃ。人々は、突如現れたその大妖魔達に恐れ、『ハラスメント四天王』と呼んで恐れおののいておる」
「ハラスメント四天王……なんと恐ろしい響きだ……」
俺はゴクリ、と唾を飲んだ。
「具体的には、『セクハーラ・トウゴウ』、『ヒステリック・モラハーラ』、そして最も恐るべき大妖魔、『パワハーラ・ザイゼン』じゃ!」
~~~
ハラスメント四天王(笑) 直球でナイスなネーミングが多くて笑っちゃいます。
途中から読者に身バレして現実の人間関係も変化していくのも今風で良い展開。現実でも知り合いに発見された話も聞いたこともありますし……
会社におけるハラスメント・創作によるストレス発散、そういったものを実に良いアイディアで上手く書いている作品です。
状態:連載中
文字数:102,062文字
個人的高評価ポイント
◇ アイディアが良い!
作品URL
小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n4703ev/