表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/103

[現代妖草紙]鵜野森町奇譚  (完)

作者さま:あきみずいつき

キーワード:ジュブナイル ボーイ・ミーツ・ガール 猫又 悩み 成長


あらすじ

ある台風の日、高校生「朝霧夢路」が保護した傷付いた黒猫は、「サクラ」と名乗る猫又だった!

やがてそれはミステリアスなクラスメート「日野咲」と深く関わるきっかけにもなる。どうやら、彼女には辛い過去があり心に闇を抱えているようで……?


感想

文章力があり、それぞれのキャラクターの存在感が良く出てます。

猫又のサクラがかわいい! たまに人間モードになりますが、基本は猫。モフモフ! 速攻で人間化する作品が多い中、ちゃんと猫をやってるのが好印象。


~~~


「猫又と一口に言っても私は仙狸なのでどちらかと言えば霊獣の部類なのである。霊力全快状態なら悪霊退治もお手の物なのであるぞ?霊格が負に堕ちたただの化け猫と一緒にしないで欲しいのであるな」


 霊獣って言うと、あの狛犬とか稲荷とかの事か?


 いや稲荷は稲荷神だから、あちらはもっと格上か。


「まあ? ご主人は若年故? 妖の者に関する知識はまだまだであるからして? これから私が時間を掛けてお教えしていくのである」


「僕はその手の話は専門じゃないんだ。そんな細かい違いわからないよ。けど……」


 僕は自転車を止めると道端に生えていたエノコログサを三本ばかり引っこ抜いて、カゴの網にくくりつける。


「――む」


「猫を大人しくさせる方法は知ってるぞ」


「む、む、む」


 再び自転車を漕ぎ始めるとブラシの様な穂が風と自転車の振動で細かく揺れ、サクラが右に左に首を振って手を出しはじめる。


「ご主、人、これは、霊獣、に、対して、些か、むっ、失敬では」


「駅前着くまでそれと遊んでてくれ」


 籠の中で喚きながらエノコログサとじゃれつきき始めたサクラをからかいながら、僕は自転車のスピードを少しだけ速めた。


~~~


口では偉そうなことを言いつつ猫じゃらしの誘惑に負ける……かわいい!

口調でキャラの個性を出す、というのはバランス感覚が必要な意外に難しい方法なんですが、この作者はかなり上手いと感じました。キャラごとの区別をはっきりさせてつつも、やりすぎておらず自然な範囲に収まってる印象。


ヒロインである日野さんの言動の変化もしっかり書き分けられている。仲良くなってきて、だんだん素が出てくる感じが見事。

ストーリーは正統派な王道展開。主人公は悩みを抱えていて、日野さんも心に闇を抱えているようで……事件が起きて解決し2人は成長する。

やや定番すぎる感はありますが、キャラの心情が丁寧に描写されていて良い。2人の悩みの原因などもリアリティがありました。

全体的に上手いですね。ボーイ・ミーツ・ガールとして非常にきれいにまとまっている1作です。


状態:完結

文字数:113,346文字

作品URL

小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n1464ea/

カクヨム(おまけあり) https://kakuyomu.jp/works/1177354054883019264

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ