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33/103

落花製魔法少女  (完)

作者さま:さちはら一紗

キーワード:現代ファンタジー 魔法少女 恋


あらすじ

2年前に死んだ姉のあとを継いで主人公は魔法少女となる。物理的・精神的な「落下」をパワーに変換。はたして過去に何があったのか? 恋と愛、そして夢と希望。


感想

儚く悲しい物語。表現力があり空気に引き込まれ、それぞれのキャラクターの思いが強く伝わってくる。


~~~


少女がいた。

 |玉<<ぎょく>>の中に閉じ込められたかのような透き通る青空の下、雲一つない代わりに地のすべてを覆い青空一面に張り巡らされた金網の天井の下、見渡す限りの美しい花畑の中に小さな白い少女がいた。

 そのあどけない可憐さを縛るように、細い両手首には古めかしく大仰な手錠が掛けられている。

 少女が不意に顔を上げる。

 真っ白な長い髪はさらりと流れ、切りそろえた前髪の下、双眸が姿を現す。


~~~


落ちていく。

 冷たい風と冷たい雨。れっきとした現実の景色の中を、ほの明るい光の粒子を撒き散らしながら、わたしが透明な赤色に染め上げられていく。

 膨れ上がるスカートも、風に流される髪も、魔法に掛けられてゆく。ぺたんこだったローファーも踵の高く華やかなものへと変わっていた。

 幻が露と消えていくにつれ、現実が泡立っていく。

 手袋に覆われた指が、空を切った。


 わたしは確かに落ちている。

 いや、落ちていたのだ。

 軽やかに踵を鳴らして、歩道橋の真下、信号が切り替わり停止した車たちの合間に降り立った。

 衝撃ひとつ、骨に響かない。


~~~


う~ん、良い描写です。明るすぎず丁寧で細かい。なんというか「美しさ」がありますよね。

タイトルも内容にあってて見事。ネタバレになるから詳しくは言えませんが複数の意味が重なっているんです。すばらしいセンス。

ストーリー展開も序盤からしっかり考えられており、最終話まで行ってから読み直すとまた味わいが増します。過去のできごとが明らかになっていき、それぞれのキャラクターが覚悟を決める終盤の展開はすごい。けっこう涙腺に来ました……みんな幸せになって欲しい。

文章力のおかげで1つ1つの場面に美しさと幻想性が感じられる作品。読み終わった後には大きな満足と深い余韻があることでしょう。


状態:完結

文字数:104,606文字


個人的高評価

◎ 高い完成度!

作品URL

小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n5532dv/

カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054882768673

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