おひとりさまでした。 (完)
作者さま:天那
キーワード:料理 現代ファンタジー? 書籍化作品
あらすじ
「速見誠一郎」29歳。独身、恋人なし。趣味は食べ歩き。そんな彼はある日突然、偶然にも魔界の悪魔を召喚してしまう。アラサー男が悪魔娘と飯を食う、たったそれだけのお話。
感想
サラリーマンが美味そうな店を見つけて、飛び出してきた悪魔と一緒に食べる。あの有名作のタイトルを借りるなら「孤独じゃないグルメ」と言った雰囲気。ご飯を一緒に食べてくれるだけの美少女、確かに男の理想かもしれません……
作者さまの実食を元に書いているのでしょう、味・食感などが非常に細かくリアリティがある。読んでるとものすごく腹が減ります。
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かぶりついた鶏肉が弾け、中からとろりとしたチーズが口の中へと溶け落ちた。鶏肉のなめらかな舌触りをチーズの油分が後押しする。口の中で衣とチーズと肉が混ざり合い、なんとも言えないハーモニーを奏で始めた。
美味い。なんど思うか分からないが、美味い。それぞれにそれぞれの旨さが存在し、そのどれをも味わえる愉しみ。愉悦そのものだ。
「うーん、やはり中入れのチーズカツは最高だな。一番好きかもしれん」
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自分の方のセットに付いてきていた角煮丼を、ぱくりと咥えた。甘辛い味と共に、牛タンの旨味が口に広がる。
こちらは、やや水気を切った感じの美味しさだ。肉の繊維が、はっきりと舌を感じさせてくれる。塩焼きとも、シチューとも違う美味しさだ。
噛みしめる美味さと、口の中で解ける柔らかさ。歯ごたえはしっかりと残しつつ、煮込むことによる美味しさも存在する。
食感的には、ちょうど塩焼きとシチューの中間のような面白さだ。
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ああ……お腹が減る!
状態:完結
文字数:220,295文字
作品URL
https://ncode.syosetu.com/n3473cm/