異世界食堂
作者さま:犬塚惇平(犬派店主)
キーワード:料理 ファンタジー 異世界 1話完結
あらすじ
洋食のねこや、そこは土曜日だけ異世界につながり不思議な客がやってくる。
感想
ファンタジー世界の住人が現代日本の料理のうまさに驚く物語。基本的に1話完結、客がやってきて料理を食べて帰る。それだけの内容だけど1人1人に事情とこだわりがあって面白い。
毎週の楽しみだったり、たまたま見つけた奇跡だったり。時々の贅沢だったり、人生を変える運命の出会いだったり。種族としても人間、エルフ、リザードマン、ラミアなどなど多種多様。
そして何より、本当に料理の描写がおいしいそうで読んでるとお腹が減ってきます。夜中に読むとつらい(笑)
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(……ああ)
初めて飲む異世界のミソのスープは予想通りに美味であった。
海の草の煮汁にミソを溶いたスープは程よく煮込まれ、スープそのものの熱さも相まって舌の上に染みこむ。
具材に使われた海の草はその旨みをたっぷりと吸って独特の食感があり、小さく切られたトーフはいつも通り柔らかく崩れる。
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表面はカリカリに焼かれていながら中は柔らかな薄いパンからはほんのりとした甘さと上質な小麦の味がする。
それを越えるとその先にあるのは、黒い衣。
どうやら帝国風料理のように衣をつけて油で揚げたものに、たっぷりと味付けをしみこませたらしいそれは、噛みしめるとギュッと味付けがあふれてくる。
酸味と甘み、それからほんの少しのツンとする辛味が含まれた衣の強烈な味は、そのすぐ下にある肉から漏れる肉汁と脂の味で薄まり、ちょうどよい塩梅となるのだ。
一口食べてしまえば、後は早かった。
まるで飢えた犬が久方ぶりにありついた餌にがっつくようにグスタフはカツサンドを口に放り込んで食っていく。
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むぐぐぐ……おいしそう!
最近ではファンタジーグルメは人気の定番ジャンルになってきてますが、この流れを生み出したのは本作なのでは。異世界食堂の大ヒットからweb小説の中でグルメ系が増えた、もしくは評価される作品が増えた印象。
毎回ワンパターンな展開と言えばワンパターン。しかし、ファンタジー・グルメの両面で質が高い。
大人気になるのも納得の作品。ほんと良いセンスです。
状態:連載中
文字数:687,321文字
個人的高評価ポイント
◎ 高い完成度!
作品URL
https://ncode.syosetu.com/n1701bm/