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幻想グルメ 〜健康で文化的な最低限度の異世界生活〜

作者さま:天那

キーワード:ファンタジー 異世界転移 グルメ 幻想食材 幻想風景


あらすじ

2年前、不幸な事故で異世界に転移してしまった「桂木俊一郎」。異世界での彼の唯一の楽しみは、美味しいものを食べること。知識を使って成功した男がメイドの「シルフィン」と共に各地の料理と食材をめぐる。


感想

作品の方向性が、とっても私の好みです。ファンタジーグルメ系の、食べ物中心の作品自体が好きなジャンルなんだけど、その中でも特にお気に入り。一応異世界転移だけど、チートもバトルも全く無し。

本作と他のファンタジーグルメ系作品との違いは何か。それは食材そのものが非常に幻想的であることです。

輝いているブドウ、宝石のごとき蟹、1000年以上かけて熟成された水のような果実、氷の女神のアイスクリーム、迷わずの森の植物ジュース、空飛ぶ魚、食べられる炎……

食材および料理のファンタジー度が高い! どんな見た目なのか、どんな味なのか、食べてみたくなりますね。次はどんな食材が出てくるのかドキドキワクワク。

私がとっても好きな主人公のセリフがあります。引用すると


~~~


「いいぞ、興が乗ってきた。やはりファンタジーはこうでなくてはいかん」


~~~


そうなんですよ! 120%同意します!

せっかくのファンタジーなんだから! 食材そのものが幻想的で魔法的で不思議で美しい、そういうのも読みたいじゃないですか! 

異世界食堂など、別のタイプのファンタジーグルメを否定するわけじゃありませんし普通に好きですが、食材が現実的だとファンタジー度は減りますよね。


また、本作は食材以外でも幻想度が高く美しいシーンがたくさん出てきます。ガラスに包まれておらず魔法によって作れている純粋な水の球体水槽、魔法使いが夜空に作る炎のカーテン、空飛ぶ島、古龍の背中に生える世界樹、木々の上にある国……次の場所が待ち遠しい。

特に私が好きなのは「水底の森」という聖域の描写。引用させていだくと、


~~~


 巨大な魚。そうとしか言えない存在が、森の空を包んでいた。

先ほどのエイが小さく感じるほどの、圧倒的な大きさで、その雄大な姿が夜空の全てを覆っていた。


ジンベエザメ? それとも鯨? なんと形容するか分からないが、とにかく巨大な生き物が、悠然とソラの大海を泳いでいる。


(これが、ソラ神……)


目を疑った。ソラ神のお腹の辺りに、先ほどのエイが数匹、寄り添うように泳いでいる。

エイだけではない、他にもソラウオの大群や巨大なソラウオが、まるで遊ぶように周りを囲んでいた。


月の明かりを淡く受け、ソラ神は海の色に輝いていた。まるで全てを受け入れるように、ゆっくりと森の上空を通過していく。


~~~


森の上空を泳ぐ巨大な魚! 魚群! 美しい……初めて読んだときは感動しました。現実では決してあり得ない、これぞ幻想的な光景。

小説家になろうタイプのファンタジー作品の多くは、あんまり世界観とか風景にこだわってくれないんですよねぇ。

掘り下げられるのは魔法・モンスター・冒険者・魔王・勇者とか? アクション要素が中心で、それ以外の部分は薄味。


でも、幻想的な光景・感動・美しさ・不思議……こういう部分もファンタジーの魅力だと思いません? こういう部分をしっかり書いてくれる人はすごい好きです。

さらに、この異世界にはどうも人間がいないっぽいんですよ。人型の知的種族はたくさんいるけど「人間」はいない。主人公である桂木俊一郎は耳の短い変わったエルフだと思われてるらしい。これまたファンタジーであり、非現実的ですよね。

つまり、すべての要素のファンタジー度が高い。「やはりファンタジーはこうでなくてはいかん」これは主人公のセリフですが、きっと作者さまの意見でもあるのでしょう。

せっかくファンタジーなんだから、ファンタジーならではの物事を書こう。そういう気持ちが伝わってくる。

グルメ描写だけなく、ファンタジー描写そのものにこだわりを感じる良作だと思います。


状態:連載中

文字数:258,044文字


個人的高評価ポイント

◇ アイディアが良い!

◎ 高い完成度!

☆ 私の特に好きな作品です!

作品URL

https://ncode.syosetu.com/n4940de/


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