玉編みと彫金師 (完)
作者さま:七ツ樹七香
キーワード:ファンタジー 工芸 ギンギツネ シリアス
あらすじ
彩玉師、それは様々なものから色と力を吸い上げ美しい玉を作る特殊な職人。相棒となるギンギツネの導きによって腕を磨いていくのだが……
主人公の少女「リト」は、半人前の彩玉師。ある日、急逝した祖母が領主との契約を残したまま他界したことを知らされる。納品できなかったら、違約金に加えてリト自身も拘束されてしまう!? 逃れる方法はただ1つ。幻の彩珠『嘆きの青』を編むこと。
感想
彩玉師とギンギツネを中心とした世界観がいい感じ。玉の描写および制作シーンが美しい。
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手のひらを上蓋に、底にもう片手を当て、あの青い花と絡めるように水晶の種石を器の中で回していく。
チリチリという、引っ掛かりのある音が、やがてジーっと器の底をなめるように動き始める。
歌うようなギンギツネの呼びかけにこたえ、時折は動きを止めながらリトは同じ動作を繰り返した。
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小指の先ほどの小さな玉。
それは確かに青い花の色を宿していた。
澄んだ青の彩玉だ。
裏腹に残された枯れ花が、その命をあまさず玉に分けたことを物語っていた。
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ギンギツネの声を聞きながら物事から色を集めて玉にする……実にファンタジーでステキ!
ギンギツネのサポートが必要なのが良いですね。人間だけでできちゃうと「技術」って感じだけど、ギンギツネと一緒に作ることで神秘性・幻想性が増している。
本筋のストーリーはやや定番すぎる気もしなくもない。田舎から出てきた少女が、都会で一癖ある青年と出会い、2人で旅をしていき、仲良くなり、危機におちいり……王道でしょう。
しかし、最後の落ちは予想してなくて感動しちゃいました。なんとも美しく、見事です。分かる人には分かるんでしょうか。私は推理小説とかも読まないからなぁ。
読みやすい分量でしっかりとまとまった作品です。
状態:完結
文字数:169,346文字
個人的高評価ポイント
◇ アイディアが良い!
作品URL
https://ncode.syosetu.com/n6249do/