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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- Another Episode  作者: 海道 左近


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78/82

女帝と節制のQ&A

(=ↀωↀ=)<七章一六六話にいつもより疑問点が出ていたようなので


(=ↀωↀ=)<『これをコメント返しで答えても面白くないな』と思ったから


(=ↀωↀ=)<とりあえず書いてきました


(=ↀωↀ=)<久しぶりの深夜不意打ち投稿!


(=ↀωↀ=)<でも読むなら七章一六六話の後でね!

 □■<レストラント・マルクト>


 それは【精霊姫】ミミィ・ミルキィ・ミストルティーがレジェンダリアを抜け出し、カルディナに移籍して間もない頃。

 <メジャー・アルカナ>の一席に”女帝”として名を連ねることになった彼女だが、まだ初仕事も命じられていない。

 なので今はドラグノマドに滞在中。

 今日はシェフの作った料理を「美味しい……美味しいよぅ……」と涙を流しながら食べている。


「昔の料理漫画みたいな泣き方してるな……」


 そんな彼女と同席しているのは、彼女より少し前に<メジャー・アルカナ>に仮加入したカリュートだ。

 コードは“節制”。将来的には【機械王(・・・)】の座に就くと目されている。

 それを聞いたカリュート本人は『あー……ラインハルト陛下死ぬのか』と少しの郷愁と共に思ったものだ。

 立場はまるで違い、会った回数もほとんどない。

 だが、二人とも先々期文明の技術から腕を磨いた技術者でもあったため、少しのシンパシーは感じていた。

 ともあれ、今の彼はカルディナの人間であり、今日は同僚の歓迎会だ。

 ミミィは期待の新人……と言うより現オーナーのザカライア(及び真オーナーのヴォイニッチ)を除けば戦闘班のトップに立つと言われている人物である。

 実際、彼女のバトルスタイルや詳細情報を資料で確認したカリュートも「これはヤバいだろ」と言葉を漏らしたほどだ。

 が、ヤバすぎてよく分からない部分が多々あったので、今回食事に誘うついでに聞くことにした。

 以下がその質問と回答の記録である


 ◇◆


Q1『死んだら確率で精霊にするらしいが、その確率ってどの程度だ?』

A1『私にもわかりません……』


「いきなりクソみたいな回答をするな」

「ひゃう!?」


 真顔で詰めてくるカリュートに、ミミィは涙目で悲鳴を上げた。


「これまでの経験から分かるだろう?」

「じょ、状況次第ですぅ……!」


 ワタワタと手を動かしながら、ミミィは分からないという回答の理由を説明し始める。


「えっと、《祖霊転生》はいつも発動していて、私の近く……一〇m以内?……で死んだ人やモンスター、倒されたガードナーが精霊さんになるんです……けど……」

「けど?」

「相手や状況で精霊になる確率が変わるんですよ……」


 カリュートは「ほう」と息を吐き、続きを促した。


「えっと、ガードナーが一番なりやすくて、次がティアン、なりにくいのがモンスターですね……」

「ふむ」


 その順位になった理由はカリュートにも想像しやすい。

 まず、ガードナーの精霊化はあくまでもコピーのための鋳型生成に過ぎない。魂という不確定要素が噛まない分、容易にはなるのだろう。

 次に、ティアンは何もなくとも魂が遺りやすい。【冥王】の《観魂眼》や、特化した<エンブリオ>による死者との会話は幾つもの前例がある。

 そうした魂を回収して精霊にするのは、分かる話だ。

 モチーフのニライカナイ自体が死したものが祖霊に生まれ変わる場所であるため、ガードナー以上に正規の使い方とも言えるだろう。

 逆にモンスターの魂となると分からない。

 というか、アンデッドモンスター以外のモンスターの幽霊や魂の話はあまり聞かない。

 素材に意思が宿って妖刀化や魔剣化に影響を与えることがある程度だ。それもある意味ではアンデッドだろう。

 また、モンスターは元よりアイテム、経験値、自然リソースなど変換先が多く、そこから魂と呼べるものを回収するのが難しい可能性はある。


「…………」


 そこまで考えて、カリュートはあることに気づいた。


「時に、ガードナーは最初から精霊に転生していたか?」

「いいえ? 上級に進化したあたりで追加されましたよ? それまではバルフォンさん達が頑張ってくれて……」


 バルフォン・サーベラス。

 レジェンダリアでも希少種である幻獣人種獄犬部族の最後の生き残りであり、自らの種族特性を活かした我流武術三頭流を磨いた達人の【獣拳士】として知られた人物だ。

 老齢であったが、末期の一ヶ月ほどはクエストで知り合ったミミィが世話をし、最期を看取ったという。

 その結果、彼はニライカナイでも最古参の精霊に転生し、今も彼女を守護している。


「…………」


 ともあれ、上級に進化するまでは対象はティアンとモンスターのみだった。

 途中からガードナーが追加されたのだろうとはカリュートも気づいていた。

 なぜなら、ニライカナイというモチーフを考えれば、魂なき転生させているのはおかしいからだ。

 となれば、デンドロで日々を過ごす内に『ミミィが無事に生きるには戦力が必要』と考えたニライカナイが在り方を変え、戦力を得やすい形にスキルを進化させたと見るべきだ。


「なるほど、対象については分かった。では、状況とは?」

「えっと、傍で亡くなったときと私やニライカナイが倒したときで違いますね……」

「……当てようか。倒したときの方が転生しやすいだろう?」


 カリュートの問いにミミィは頷く。

 それも分かりやすい話だ。

 元々、倒せば相手のリソースが流れ込む世界なのだ。魂でも鋳型でも、相手との経路があった方が得やすいだろう。


「傍で亡くなった人が精霊になる場合は、バルフォンさんみたいに『まだわたしと一緒にいたい』っていう人がなりやすいみたいで、それ以外は全然……。それに、一緒にいたい人でも絶対じゃありませんでした……」


 何かを思い出したように、ミミィが俯いた。


「…………」


 カリュートはその様子を見て、話の方向を切り替える。


「ところでガードナーが豊富なようだが随分とPKに勤しんでいたようだな」

「してませんよ!?」


 カリュートの発言に対し、ミミィが慌てて否定する。


「だが倒した方が精霊にしやすいと……」

闘技場(・・・)あるでしょう!?」

「あ」


 そこまで言われてカリュートも気づく。

 皇国で活動し、機体の開発に勤しんでいたカリュートはあまり着目していなかったが、この世界には便利かつおかしなものが既にあったのだ。

 しかしそれが意味することは……。


「……いや待て!? 闘技場結界内の撃破でも精霊化が可能なのか!?」

「は、はい……!? 確率は低めですけどガードナー相手なら……」


 魂を核とするティアンや<マスター>ではなく、あくまでも鋳型を取るだけのガードナーだから可能な裏技だ。

 低確率のガチャだろうと、出るまで引けば当たるのだ。

 そして闘技場での戦闘はリスクなく何度でも繰り返せる。

 数多のガードナーのコピーを抱えている理由が明らかになった。


 カリュートは思った。『このバグ戦力、世界の仕様が加担してやがった』、と。


「……合点がいった。その性格で決闘ランカーだった理由がな……」

「はいぃ……。翼神子ちゃんに『それなら決闘に出た方がいいわよ』と勧められまして……。あと『戦術を磨くためにカードゲームもした方がいいわよ』って……」

「後ろ半分はただの趣味だろ」


 なお、天空院翼神子は『このゲームなんて初心者優遇があるし、ストーリーモードの出来が良くてカード以外にも楽しめるわ』と長々セールスしていた。

 初心者を沼に引き摺り込もうとするオタク以外の何者でもない。


 ともあれ、そんなこんなでミミィは決闘ランカーになり、多くのガードナーを精霊としてコピーした。


「それ、ガードナーの<マスター>は嫌がらなかったのか?」

「嫌がる人もいましたけど……たくさんの人が『同キャラ戦やってみたかったんだよ! ミミィちゃん2P側な!』って……」

「決闘ランカーだな……」


 国は違えどバトルジャンキー共である。


「あと、お金が沢山入るようになってからはあると助かりそうなガードナーの<マスター>さんにお願いして模擬戦でコピーさせて貰ってました」

「ああ……闘技場を使うならノーリスクか。コピーを許諾できる者なら構わんだろうな」


 オンリーワンを侵害されたくない者もいるだろうが、そうでない者が応じれば問題ない。

 なお、このカルディナに来てからも、ニアーラという<マスター>の<エンブリオ>を有料でコピーさせて貰っていた。

 ランカー以外のガードナーをコピーしているのはそういうお願いをしたケースか……偶々ミミィがPKの被害者になったときである。

 正確には、被害者になった後の防衛戦モードでぶちのめしたときだが。

 そこでふと、カリュートはあることを思い出した。


「……ん? そういえばさっき私やニライカナイが倒したときと言っていたな」

「はい」

「だが、闘技場ではニライカナイの暴走モードは出てこないだろう」


 ニライカナイが戦うのは、今こうしている見かけ上のミミィ……フュージョンラビリンスの外壁のHPがゼロになり、尚且つミミィが【気絶】している状況のみだ。

 決闘はHPがゼロになった時点で結界が解けて状況がリセットされるので、ニライカナイは出てこない。


「……その、レジェンダリアを出たときみたいなこと……です」

「あぁ……」


 ミミィは【弓神】率いるティアン集団に拉致目的で襲われて、全員を暴走モードで返り討ちにしたのだ。

 多くの敵がいた状況だったために暴走モードが長続きし、そのダメージが長続きして今も完調とは言い難い。


「それで、その……ニライカナイが暴走して倒しちゃったときは、ティアンの人を精霊化してしまうケースが多いみたいです……。多くても一度の暴走で一人ずつですけど……」

「…………」


 なぜそうなるのかはミミィにも分かっていない。

 カリュートも、まだ推論を述べられるほどの情報は持っていなかった。

 ともあれ、一つ目の質問は完了した。


 ◇◆


Q2『<UBM>を精霊化したと聞いたが、どうやった?』

A2『色々あったんです……』


「色々じゃ分からん」

「かくかくしかじか……」


 『それで分かる訳ねえだろ』とカリュートが睨むと、ミミィは震えながら話し始めた。


「あれは冒険者ギルドの緊急依頼でした……。ランカーにも召集が掛かって、ある<UBM>を倒しに行くことになったんです」


 ミミィは「わたしはまだその頃は成り立てだったんですけど……」と言いながら、話を続ける。

 まだ【高位精霊術師】だった頃のミミィも、バルフォンやコピーしたガードナーと共に戦いに臨んだ。


「わたし達の討伐目標は【朽木魔獣 イルハーベスト】、いるだけで周囲の樹木の生命力を吸い取るUBMでした……」

「自然豊かなレジェンダリアでは恐ろしく強くなるだろうな」


 条件特化型の古代伝説級である。

 討伐部隊は奮戦したが、【イルハーベスト】は強力かつ高い再生力を持ち、苦戦に陥った。

 それでもミミィをはじめ多くの<マスター>が諦めずに戦い続け、相手の手の内を探りながら五分の勝負に持ち込んだ頃……。


「……マイアさんが出てきて瞬殺しました」

「…………」


 『<超級>ってそういうところあるよな』、とカリュートは思った。


「【イルハーベスト】もすごく苦悶した死に方をしていて……わたしも見ていて気の毒になるほどで……」

「何やらかしたんだレジェンダリア<超級>」


 ともあれ、それまでの討伐部隊の奮戦もクソもなく特典はマイアに渡った。

 討伐の協力で金銭的な報酬は国から貰えるが、当て馬とか威力偵察要員に使われたようでモヤモヤする者も多かった。

 が、このミミィはそれどころではなかった。


「戦闘後、【イルハーベスト】の魂が精霊になってニライカナイの中にいました……」

「……理由は?」

「モンスターの言葉がわかるガードナーに通訳して貰ったら、『アイツ嫌い。貰った力はあっちに行くしかなかったけど、自分はこっちに行けたからこっち来た。よろしく』って……」

「…………」


 どうやら倒し方がクソ過ぎた結果、マイアは【イルハーベスト】の魂にソッポを向かれたらしい。

 それでも本来ならば魂ごと特典になっていたのだろうが、その戦場で奮戦した者の中にミミィがおり、彼女がモンスターの魂を精霊にする力を持っていた。

 まだ素直に頑張って戦っていた相手の方がいいと、【イルハーベスト】は自らの強い意志で絶対に嫌な奴から魂だけ逃げ出し、精霊になったのだ。


「<UBM>が精霊になったのは【イルハーベスト】だけでしたね……」


 様々な要因が絡んでいるため、恐らくはレアケース中のレアケースだろう。


 ちなみに、【イルハーベスト】は古代伝説級だった頃からは見る影もないほど弱体化していたものの、<UBM>になる前の元々の特性も良かったのか精霊として育っていった。

 今ではミミィの精霊の中でもそれなりの戦力となったのである。

 こうして、二つ目のQ&Aも示された。


 ◇◆


Q3『ニライカナイってどっちかというとフォートレスじゃないか?』

A3『でもフュージョンラビリンスって書いてありますし……』


「防衛戦状態のお前の映像を見たが、あんなに外に戦力展開して内部特化(ラビリンス)なのが不思議でな」


 やってることが古巣のオーナー(フランクリン)の<エンブリオ(パンデモニウム)>と変わらんぞあれ、とカリュートは思った。


「いや、まぁ、内部に入ってお前本人を倒さないとどうにもならないからラビリンス要素もあるのは分かる。だが、それならどっちつかずのキャッスルでも良かっただろう、フュージョンキャッスルで」

「ふえぇ……そんなこと言われても……」


 ミミィは涙目だが、カリュートもカリュートで何だか据わりが悪いのだ。

 レアカテゴリーにしても、何か要素がズレているか気がする。

 そんなとき、不意にミミィが「ふぇ!?」と驚きの声を上げる。


「どうした?」

「えっと、バルフォンさんが説明したいって……」


 バルフォン。今回の話にも度々出ている最古参精霊の元ティアンだ。


(なるほど、ミミィには分からずとも内に住んでいる精霊自身ならば分かるかもしれないな)


 そう思ってカリュートが実行を促すと、ミミィは「《アドベント》」とスキルを発動した。

 すると、一人の老人が店内に出現する。

 犬系人種のようだが、彼には三つの頭があった。

 ケルベロス、というよりは阿修羅像のような姿である。……手足は二本ずつだが。


「バルフォン・サーベラス氏ですか?」

『『『うむ。まぁ、今は嬢ちゃんの中で隠居した精霊モドキにすぎんよ』』』


 頭は三つあれど人格は一つなのか、三つの口は同じ言葉を発する。


「バルフォン氏には、不可解なカテゴリー区分の理由がお分かりに?」

『『『むしろ我々からすれば、何が不可解か分からん話ではあるな。ほれ』』』


 バルフォンはそう言って、ミミィを掌で指し示す。


「ひぃ、ふぅ……」

『『『嬢ちゃん、ちょっと疲れておるだろ?』』』

「そうですね」

『『『これは縁も縁もない場所に儂を顕現させとるからさ。魔力の消耗が大きいのだ。獣の精霊である儂を呼ぶならもっと森の中が良いだろうな。砂漠の、それも竜の上では無縁も無縁よ』』』

「……ふむ」


 それは召喚モンスターと精霊の顕現の差だ。

 召喚モンスターならば、媒体があればどこでも同じMPで呼び出せる。

 だが、精霊は場所が消費値に大きく関わる。

 特殊な獣人且つ達人とはいえ、上級職相当の相手の顕現で超級職のミミィに疲れが見えるほどに、それは無視できない。


『『『精霊が形を成すのは大きく力を使う。ゆえに、自然の精霊はそうそう形にはならん。嬢ちゃんがドワーフ共を普段使いしとるのはアイツらが弱いが便利だからだ。口は悪いが使える奴らよ』』』


 少なくともバルフォンとは天地の差があるらしいなと、バルフォンの顕現で膝が震え始めているミミィを見たカリュートは思った。


『『『アイツらより強いなら、縁のある場所で呼ぶか、顕現ではなく消費の軽い精霊魔法……単発の現象で済ますべきであろう』』』


 そう。それが【精霊術師】の基本だ。

 それゆえに、縁のある土地での防衛戦でこそ【精霊術師】は真価が発揮される。


『『『だが、儂らはニライカナイの中でなら何も消耗しない。ずっと顕現し続けておる。なぜなら、儂らのために作られた儂らの魂の棲家。縁というなら外界のどこよりも縁深い』』』

「…………」

『『『ラビリンス、フォートレス、キャッスル。専門用語が正しいかは分からんが、あんな場所を用意することにこそ重点を置いているなら、ニライカナイは間違いなく内向き(ラビリンス)だろうさ』』』


 住んでいる当人の所感を聞き、カリュートは少し納得する。


『『『ただな、一つ例外がある』』』

「例外?」


『『『嬢ちゃんに『穴』が空くと、嬢ちゃんの周りも同じになるのよ』』』


「!?」

『『『その範囲は傷がないときの最小の穴ならば、さっき嬢ちゃんが言っていた……そう一〇かそこらだろう』』』


 それは、《祖霊転生》の効果範囲と同じということか。


『『『しかし外傷……穴が大きければ大きいほど、範囲は広がる。レジェンダリアから出るときは、それはそれは酷くなった……』』』

「…………」

『『『そして、ニライカナイが暴走しているときは、範囲が広がり続ける。それこそ、水槽の中の水をぶちまけるようにな』』』


 レストランに置かれた金魚の泳ぐ水槽を見ながら、バルフォンはそう述べる。


『『『溢れた水の中を金魚(儂ら)は流れて外に出るが、それも長続きはせん。戻されそびれた金魚が死ぬこともある。そして、溢れた水の分だけ水槽は狭くなる。元通りに水が満ちるまではな』』』


 バルフォンが感覚的に言わんとすることを、カリュートは察した。

 本質的にニライカナイは内向きの存在(ラビリンス)なのだ。

 ミミィと共にいたい相手()を収め、ミミィを守る手段(ガードナー)を収め、収めた精霊の棲家を作り出す<エンブリオ>だ。

 しかし、ミミィが損なわれる危険に晒されたときは、手段を選ばない。

 転生させた精霊達と共に、ミミィを損なうモノを殲滅する。

 自らの中身を溢し、損なうリスクがあったとしても、だ。

 フォートレスとして在ったならば、そんなリスクは負わないだろう。

 ゆえに、ニライカナイはラビリンスなのだ。


「……これまで、『穴』が空いたことで中の精霊に影響は?」

『『『……何人か消えたな。だが、仕方のないことだ。どの道、中にいる嬢ちゃんが死ねば儂らの棲家も崩壊して、より多く消えるだろうからな』』』


 ニライカナイから離れられないのが転生精霊達だ。

 ならばニライカナイが『穴』どころではなく、完全に破壊されてしまえば、彼らはどうなるか……言うまでもない。


「…………」


 転生した精霊の世界が抱えた、死のリスク。

 これも、彼女の力の背景ではあるだろう。

 仮に内部の精霊の存在が絶対に維持される仕様であったならば、上限数が厳密に設定されていたはずだ。

 だがそうではなく、抱えきれないほどの存在を抱えるからこそニライカナイは強く、重く、脆い。


「…………ふむ」


 思ったより抱え込む性格をしているのだろうかと、カリュートがミミィを見ると……。


「ひゃうぅ……みゃうぅ……」


 なんか奇声を上げながら倒れていた。

 バルフォンの顕現で消耗し過ぎたらしい。

 さっきまでのお爺さんの大事な話聞いてなかったの?


『『『ファッファッファ、無理をさせたな嬢ちゃん!』』』


 バルフォンは笑い、ミミィの頭を一撫でして消えていった。

 同時に、少しだけミミィの血色が良くなった。

 でもまだ床ペロ中である。


「……適した土地以外での精霊顕現(アドベント)ヤバいな」


 ここまで消耗するのかよと戦慄する。

 むしろこれでよく決闘の上位ランカーになれたなと感心すらした。

 ともあれ、三問目も終わり、これ以上の質疑応答は無理そうだ。


(いや、最後に一つ……)


 ◇◆


Q4『何かデザートでも頼むか?』

A4『チぃズケぇキぃ……』


 珍獣の鳴き声みたいな声音での回答に笑いながら、カリュートはシェフに注文を出した。

 こうして、今回のQ&Aは四問目まででお開きとなった。


 To be continued

○ミミィ


(=ↀωↀ=)<ちなみに本編だとわりと好戦的だけど


(=ↀωↀ=)<その理由の九割は決闘ランカーに染まったのとバルフォンの影響だよ


(=ↀωↀ=)<『触れられる前に殺せ』が合言葉



○バルフォン


(=ↀωↀ=)<孫みたいな娘を可愛がるお爺ちゃん


(=ↀωↀ=)<丸くなったけど、上記の合言葉のように昔は拳の鬼だった


(=ↀωↀ=)<そのせいか誰とも無縁のままひっそり寿命を終えようとしていたけれど


(=ↀωↀ=)<人生の終わり際になってミミィと出会い、一生懸命看病してくれた彼女をとても大切に思っている


(=ↀωↀ=)<なお、今回のミミィの消耗は土地が無縁過ぎるのもあるけど幻獣人種なのが理由


(=ↀωↀ=)<本編で言うとゴゥルと同じというか


(=ↀωↀ=)<『ジョブとかなくても生まれながらに強い肉体持ったティアン』の代表例が幻獣人種


(=ↀωↀ=)<ちなみに本編のミチザネはあの状態の皇都でもまだ縁がある方だったから


(=ↀωↀ=)<精霊魔法として使う分には問題なかった

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― 新着の感想 ―
この子もそうだし、クラウディアとかもそうだけど救われて欲しいと思う子が出てくるとレイに何とかして欲しいなと考えてしまう。 王国と皇国2つともレイに落とされてしまえば問題は解決しないかな?
ならばニライカナイが『穴』どころではなく、完全に破壊されてしまえば、彼らはどうなるか……言うまでもない。 >>ミミィの本体も死んだらその時点で今まで貯めてた精霊も全員消えるということでしょうか。
なんか、クラウディアの死予言に騒いでる椰子多いけど、戦争開始前に「あのハイエンドの最期のあがき」って言ってたのと同じだろ! まあ、もう何年も前だけど。
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