SS 『ロボータの冒険 序列編』
(=ↀωↀ=)<直前に修正してたら投稿遅れました
(=ↀωↀ=)<五月一日発売の漫画版14巻掲載SS
(=ↀωↀ=)<……の没案を投稿いたします
(=ↀωↀ=)<14巻にはまた別のSSが載るのでお楽しみに
(=ↀωↀ=)<このSSの時系列は、漫画は漫画でもクロレコ四巻直後くらいですね
□【群狼王 ロボータ】
吾輩はロボータである。名前は狼。
……違った。吾輩は狼である。名前はロボータ。
でも吾輩は種族【群狼王 ロボータ】なので間違ってもいなかったかもしれないのである。
『そもそもボスって本当に狼なんですか?』
狼であるが?
この威厳あるフォルムで一目瞭然である!
見るのである! 人類すら傅くこの姿を!
『ヘッヘッヘ』
「このワンちゃん、かわいいですね」
「最近ギデオンで評判の放し飼い犬っぽいですよ?」
「へぇ。最近は王都の方にいたから知らなかったねぇ」
『……人間に撫でられて仰向けに転がる姿を『威厳ある』と言うならそうなんでしょうね』
まぁ魅力も力の内である。『力』って文字入ってるし。
ちなみにお外でお茶会とか女子会してる女子集団に近づくと「カワイー」と言われながら揉まれて沢山ご飯貰えるというのが最近のライフハックである。
『それやっぱり犬のライフハックだと思うんですよ。しかも可愛い寄りの』
なんだっていい! ご飯を貰うチャンスである!
「それにしても姐さんって犬好きですよねー」
「イヌ科が嫌いだったら犬耳アバターにも狼桜にもしてねえだろう?」
「それはそうですね」
「ワンちゃん……クッキー食べられる……?」
『わふーん♪』
でっかい人の耳に親近感を覚えて女子四人の女子会に潜り込んだのであるが、狙い通りにお菓子も貰えて満足である。
「しかしまぁ、久しぶりのギデオンだったけど色々変わってたねぇ。この犬もそうだし、ジュリエットやチェルシーは死音とつるむようになってたし、そこに見覚えある顔も加わってたしさ」
「マックスとは私も天地で会った気がしますね」
「結構天地から渡ってくる人多いっぽいんですかね?」
この<マスター>達は別の国から王国に来たのであるな。
天地……名前だけは聞いたことあるけどよく知らんのである。
…………外国の珍しいお菓子とか持ってないであるか?
「どうだろうねぇ。あたしらもダーリンがこっち来てなきゃこなかっただろうし」
「……天地の上位陣が頻繁にやってきたら怖すぎます」
「まぁ、沙希や重兵衛や桔梗が来るケースは考えたくないねぇ……」
耳の人が溜め息吐いてるけどそんなに怖い人間がいるのであろうか?
「あ、あの……、今さらですけど天地って怖い女性ランカー多すぎませんか……?」
「鈴蘭、どうしてあたしを見ながら言うんだい? アイツらに比べればあたしは優しくて頼り甲斐のあるいい女だろう?」
「ひぇ……」
まぁでっかくて頼れそうではあるな。
頼もしさ的に大きさは正義である。
『……なるほど、まずこの人間くらいにはサイズアップすべきと』
ん? 部下一号? なんかメモ取ってるである?
『お気になさらず。今後の指標が増えただけです』
よく分からないけどそう言うなら気にしないのである。
「そもそも女性ランカーが怖いのは天地に限らないっぽい? バトルバトルしたゲームで上位に入れる女性が可愛いだけな訳ないってゆーか?」
「それはファラの言う通りね。……王国に来る途中で観戦した黄河の決闘ランカーもそうでしたし」
「あー……あの頭痛くなりそうなトンファー使い……何て名前だったかねぇ」
「撲殺少女ファナティック・パイ……ですね」
「「「それ」」」
え? それ人名? <UBM>の銘とかでなく?
「半世紀は前の魔法少女みたいな格好しときながらやってるのがあたしもビックリの残虐ファイトだったからねぇ……」
「そもそも【拐姫】ってトンファーの武器超級職らしいけどあれトンファー使ってるって言うんですかね……?」
「トンファーキックはトンファーの伝統的な技っぽいですよ?」
「トンファーキックっていうかあれは……まぁいいですが」
聞いてるだけだとさっぱりであるな。
どんな奴なんであるか、撲殺少女ファナティック・パイ。
「そもそも黄河は女性決闘ランカートップの迅羽があの通りのゲテモノだからね。変なランカーも多いんだろうさ」
「そういえば迅羽って王国への遠征中の決闘どうするんでしょう?」
「ランキングは落ちるんじゃないか? あっちの連中なら上位の不在は突くだろうしね」
耳の人がそう言うと、他の三人はなぜか表情を曇らせたのである。
「……オーナーもログインしなくなってかなり経ちますけど大丈夫でしょうか……」
「リアルが忙しいらしいからしょうがないさね」
「ホームステイでしたっけ?」
「それはもう終わって今はお祖母さんのいる田舎に行ってるらしいねぇ」
「まぁそれだとどっちにしてもデンドロのハードは持って行きづらいですよね」
何の話であろうか?
「でも、これだとオーナーのランキングは……」
「それも心配いらないさね」
不安そうな女子に対し、耳の人はそう言って笑ったのである。
「たしかにあたしらランカーは下位の挑戦をこっち時間で月に一度は受ける義務がある。けど、決闘三位以上の最上位ランカーに挑戦できるのは一つ下の奴だけだからね。ダーリンに挑戦できるのはジュリエットの奴だけさ」
ジュリエット……さっきも名前出たけど、吾輩にオヤツくれる子達の一人であるな。
ここの伯爵と同じく顔馴染みである。
何言ってるか分からないけどよく食べ物くれるから好きである。
「いや、あの中二病ちゃんに挑戦されたら不戦勝で三位取られるっぽいんじゃ……」
「それはありえないねぇ。アイツなら掠め取るんじゃなくて正面から勝ちに行こうとするだろうさ」
耳の人はまたニヤリと笑ったのである。
……よく笑うであるなぁこの人。
吾輩も真似して笑ってみるである。
ニヤリ。
「あ、このワンちゃん笑ってるっぽいですよ!」
「犬って表情分かりやすいですよね」
「こっちのチーズ、食べる……?」
『わふーん♪』
チーズおいしい!
笑う門には福来たるって奴であるな!
「……まぁ、ともかくだよ。あいつはダーリンの不在を狙うようなタイプじゃないってことだ。それに、心配なら五位のアタシが四位のアイツに勝っちまえばいいだけさ。今回のイベントのリベンジもあるし、申請はしておこうかねぇ」
おお、なぜか気合入った耳の人がなんかすごいオーラ出してるのである。
逃げたくなったけどまだ食べ物欲しいから踏ん張るのである。
『踏ん張りどころ間違えてますよ?』
これが吾輩の戦いである……!
「そういえば、不戦勝でのランキング移動ってこっちでは前例があるのでしょうか? 天地では野試合で先に結果を決めて本番は不在というケースがよくありましたが」
「アタシらが王国に来る少し前にあったらしいよ。例のグローリア事件の直後は決闘三位を筆頭に結構な数のランカーが引退や移籍で抜けたからね」
「あー、やばかったっぽいですね。人もモンスターもパタパタ死んだとか」
グローリアって何である? お菓子? 食中毒事件でも起きたのであるか?
吾輩も気をつけないとダメであるな……。
「そのときの三位ってどうなったんですか?」
「三位だった【剣王】のクランに所属してたライザーが当時四位で挑戦しないまま踏ん張ってたけど、一回他の奴に負けて四位を持ってかれたらしいさね。で、その奪った奴がそのまま三位になったけど、トムには勝てず三位止まり。で、そうする内に【剣王】は四位から急速にランキング落ちていってランク外さ」
「やっぱり不在だとそうなっちゃうっぽいですね……」
「その後はどうなったんですか?」
「特訓したライザーが三位を奪い返して、さらに四位に落ちたそいつをビシュマルがさらに倒した。その後はライザーとビシュマルが三位争いする形になったけどどっちもトムは抜けず……そうする内にダーリンとあたしらが王国に到着して、チェルシーも来て、ジュリエットが準<超級>になって……今のランキングだね。ちなみにライザーに三位逆襲された奴はもう王国にいないらしいよ」
「へぇ……」
「今さらですけどめっちゃ詳しいですよね姐さん」
「ランカー同士の世間話で聞く範疇さね」
人間もランキング争いは熾烈なんであるなぁ……。
『そうですね。まぁ目に視える序列があった方が群れの活動もスムーズになりますし』
であるな。
……ところで部下一号。
『何でしょう?』
最近、他の部下が部下一号のことを『ボス』って呼んでるの見たんであるが……。
『新入りでしょうね。教育しておきます』
……吾輩、ボスに見えないであるか?
『…………』
沈黙って時には何よりも雄弁な答えであるなぁ……。
『自分も含めた古参勢はボスがボスだと分かってますよ?』
ふふ……優しい言葉が目に染みるであるなぁ……。
…………それ、新入りはみんなボスって分かってないってことじゃん。
「あ、このワンちゃんプルプルして泣いてるっぽいですよ」
「犬って表情分かりやすいですよね」
「こっちのチョコ、食べる……?」
『わふ「チョコは犬には毒だからやめな!?」ーん……』
美味しい匂いがするもの食べようとしたら止められたのである……。
あ、でも代わりにお肉くれた……。
耳の人、優しいのである……。
美味しい食べ物で傷心を癒やす今日この頃である……。
Episode End




