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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- Another Episode  作者: 海道 左近


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47/80

17巻発売記念SS 天地の決闘

(=ↀωↀ=)<17巻発売記念SS


(=ↀωↀ=)<前書きというか注意書き


(=ↀωↀ=)<今回は全編書き下ろしの17巻を読了必須の内容です


(=ↀωↀ=)<内容自体が17巻の補完・後日談がメインであり


(=ↀωↀ=)<17巻の致命的なネタバレ前提で構成されるので推奨ではなく必須クラスです


(=ↀωↀ=)<先に17巻をお読みいただくかこの話を飛ばしてください


(=ↀωↀ=)<また、もしもこれだけ読んでも『話とキャラが分かりません』とか『17巻読んでないけどそうだったんですね』みたいな感想を送るのは避けてください


(=ↀωↀ=)<それと注意書きに合わせてのお知らせですが


(=ↀωↀ=)<以前活動報告でお伝えした『メッセージで直接質問を送るのは避けてください』を守られない方がかなり増えたのでそちらもご注意ください

 □■二〇四五年五月上旬 天地・刀都(とうと)


 天地の中心である刀都にその『闘技場』はあった。

 他国の闘技場と同様に決闘の結界を発生させる舞台はあるが、しかし趣は異なる。

 他国では舞台に合わせて『闘技場』の施設を建造している。

 しかし天地の『闘技場』の舞台は屋外にあった。

 舞台を囲むのは建物の壁ではなく戦場に置かれるのと同じ陣幕であり、陣幕の内側と結界の間に敷かれた茣蓙(ござ)に多くの人々が座っている。

 観客席が簡素なのは、天地における武芸の立ち位置ゆえだ。

 この国では優れた武芸者は尊ばれる。

 ゆえに、有象無象の観衆が彼らの真剣勝負を『見下ろす』ことを許していない。

 畏敬と喜捨を以て『見上げる』ことのみが許される。

 例外は刀都の代表的建造物……刀都城の天守より見下ろす【征夷大将軍】や高位の武家・公家くらいのものだ。

 この日の決闘は上位ランカー同士の仕合。

 観客達はこの国でも指折りの猛者同士の仕合が如何なるものになるかと心躍らせ、他の武芸者は少しでも相手の強さの秘密や手の内を探ろうと意識を集中する。


 しかし結論から言えば、この日の仕合は瞬く間に終わった。

 試合開始の呼びかけと同時に両者が動き、そして一方がバラバラ(・・・・)にされたのだ。


「しょ、勝者! 【阿修羅王】華牙(かが)重兵衛(じゅうべえ)!」


 圧倒的な実力差と共に勝利した決闘四位のランカーの名を、審判が若干の狼狽と共に宣言する。

 勝ち名乗りを受けた人物――肩口から四本の追加義腕(<エンブリオ>)を生やし、自身の周囲に複数の武器を滞空させた女修羅――は、決闘終了で復元したもののまだ何が起きたかまだ理解しきれず呆然としている対戦相手に一礼した後、観客にひらひらと手を振った。

 その仕草に、観客も遅まきながら歓声を上げ、勝者を讃えたのだった。


「…………えっぐぅい。やっぱりこわぁい…………」


 そんな会場と舞台上の様子に、最前列で見ていた一人の<マスター>は青い顔をしながら正直な感想を漏らした。

 頬が引きつり、チャームポイントのワンポイントフェイスペイントまで歪んでいる。

 彼女の名前はアルト。

 リアルの名前は夏目高音(ソプラノ)

 椋鳥玲二の大学の同級生であり……今しがた対戦相手を斬殺した修羅の暫定パートナーだった。


 ◇◆


 アルトが重兵衛と遭遇(・・)したのは先月の二十日に行われたイベント、<アニバーサリー>でのことだった。

 レイ、ジュリエットとチームを組んで挑んだアルトは、参加者であった重兵衛と激突。

 レイのファンだから(・・・)殺し合いを望むという、アルトにとっては理解不能な恐ろしい存在だった重兵衛。

 だが、イベントでは紆余曲折の末にレイが勝利し、アルトも賞品をゲットした。

 しかしアルトの受難はそこからだった。

 重兵衛がこのイベントを経て、以前よりも輪をかけてレイに惹きつけられたのである。

 さらに天地に住まうアルトが王国出身のレイと組んでいたことから、リアルで二人に接点があると気づかれた。

 そこから始まったのが、重兵衛とアルトの追いかけっこである。

 そして内部時間で約一ヶ月に及ぶ逃走劇の末にアルトは観念し、『レイについてリアルの情報は教えないが伝言は受け付ける』という約束をする羽目になったのだ。

 途中、我慢できずに切り札である【試製滅丸星鎧】を出してしまったことと、その右腕を切り落とされた(・・・・・・・)ことがトドメだっただろう。

 徹頭徹尾、『あ、これはどうしようもない。逃げられない』と理解させられたのである。

 切り札の使用で自分の秘密がバレてしまったため、口止めも兼ねて約束するしかなかったのだ。


(ま、まぁ、聞くのは住所とか本名じゃないし……。『十年くらい前に兄弟で交通事故に遭いそうな女の子を助けなかったか』ってよく分からない質問するだけなら大丈夫だと思うけど……まさかこれが何かの陰謀に繋がっていてレイっちがとんでもないことになるんじゃ……うぅあぁん……)


 引き受けたものの、思考がネガティブに偏ったアルトは胃が痛い思いをしていた。

 なお、本来なら電話ですぐ聞けるものを『ご、ゴールデンウィーク明けたら大学で聞いてみるね!』と引き延ばしている。


 ちなみに重兵衛の方は自分の提案――アルト視点:脅し――を受け入れてくれたアルトに感謝しており、新しい友人だと思っている。

 それゆえ、今回もお礼の一環として自分の参加する日の決闘の最前列チケットを送った。

 決闘の最前列チケットは天地の武芸者が欲するモノの上位に位置する。強者の手の内や技術を知りたがるのが彼らの常だからだ。

 なお、他には優秀な武具や強敵が人気のプレゼントになる。

 やはり修羅の国だった。


 ◇◆


「血みどろだし……中身がボロリしてたし……」


 が、アルトは修羅の国にいるが修羅メンタルではないため、怯えるだけであった。

 『じゃあ来なければよかったのに』と言うのは酷である。

 チケットを送られて、『行かない』と選択できる度胸が彼女にあればこうはなっていない。

 そして臭いが届きそうな距離で繰り広げられた惨劇に、アルトは放心寸前だった。


(ていうか、イベントのときや追っかけられてたときより強すぎない?)


 上位ランカーを瞬殺した彼女の姿に、アルトも余計に引いた。

 しかし、これこそが本来の重兵衛。

 重兵衛のビルドはアシュラと【阿修羅王】による武器の多重装備。

 そして装備するのは数多の特典武具と、常人であれば致死級のデメリットを負う妖刀の数々だ。

 重兵衛はそれを相手に合わせて(・・・・・・・)使い分ける。

 対戦相手の情報、戦う日時が揃っていれば、【阿修羅王】の《修羅道戦架》は相手に合わせて装備をセッティングできる。

 あらゆる相手に対応できるように装備の方向性を広げていた<アニバーサリー>よりも、日に一度の決闘と事前に定められた対戦相手という条件下でこそ真の恐ろしさを発揮する。

 決闘に特化した修羅。それこそが【阿修羅王】華牙重兵衛。

 より多くの挑戦者と戦うため四位に居座っているが、準<超級>ながら三位や二位の座も狙えると言われている猛者である。

 今回の決闘ではその実力が遺憾なく発揮されたと言えるだろう。


 ただし、実力ではなく嗜好としてのバトルスタイルは、普段の彼女と異なっていた。


「凄いけどあっという間に終わって残念だぜ。久しぶりの上位同士の決闘だったんだけどな」

「普段の“重ね阿修羅”なら、もっとお互いの手札を出し合う戦いをするはずだが……」


 アルトの近くの観客達が言うように、今日の重兵衛は少し様子が違った。


(今日の決闘の重兵衛、もしかして決着を急いでたのかな?)


 アルトは一ヶ月も追いかけられたのだ。重兵衛の趣味や嗜好はある程度だが掴めている。

 何より、きっかけとなったイベントでもレイの力を引き出しながら殺し合いを楽しんでいたのが重兵衛だ。

 その重兵衛が上位ランカーという上等な相手に何もさせないまま瞬殺するというのは、アルトから見ても違和感がある

 ともあれ、本日の決闘が全て終わったことで会場から順々に人々が捌けていく。

 外側から順に退場していき、アルトは最前列だったので最後の方になる。

 決闘が終わったら重兵衛と会うことになっているが、正直なところグロ映像に気が滅入ってたのでログアウトしたかった。


「うぅ……まだ気持ち悪い……、んぇ?」


 せめて遠いところでも見て気持ち悪さを消そうとしたとき、視界の端に独りの人物が目に入った。

 線が細い体、中性的な顔立ち、艶やかな黒髪、色素の薄い肌といった形容が思い浮かぶが、突き詰めれば美青年という一言で済む。

 しかし印象が薄く、周囲に紛れてしまいそうでもあった。

 アルトが彼を見つけられたのも、一種の偶然だろう。


(綺麗な人だなぁ……)


 <Infinite Dendrogram>はアバターをメイキングできるので美形も珍しくはない。

 ただ、その人物の雰囲気はそういった美とは少し違った。

 人間であるはずなのにとても自然な……『風景』を見ているような気持ちになる。

 よく晴れた澄んだ空を見上げたような、気づいて初めて綺麗だと知る美しさだった。

 決闘で気分を悪くしていたアルトは乗り物酔いのときに遠くの景色を眺める感覚で青年を見つめていたが、彼はそのまま人の波に紛れて会場から去っていった。


 綺麗なものを見たアルトはスプラッターで滅入った気分が少しだけ和らぎ、それから数分後には彼女も会場を出た。

 そのタイミングを見計らったかのように、重兵衛から待ち合わせの連絡が入る。

 内心で『重兵衛に呼ばれるといつでもどこでも和製ホラーな気分になるなぁ……』と思ったものの、アルトは待ち合わせ場所に向かうのだった。


 ◇◆


 決闘終了から三十分後。

 アルトと重兵衛は人気のない神社の裏で待ち合わせていた。


「アルトさん。今日の決闘はいかがでしたか?」

「いやまぁ、あはは……」


 『グロくてきつかった』という正直な感想を言いづらかったので、目を泳がせながら愛想笑いで誤魔化そうとするアルト。


「よろしければ今後は決闘にも参加を……」

「やらないよ!? 怖いもん!?」


 だが、流石にその後の打診には全力で拒否反応を示したのだった。


「うふふ。そうですか。また今度、もっと楽しめる決闘のチケットをお送りいたしますね」

「も、もう決闘はいいよ! アタシ、観戦の時点で向いてなかったみたいだし!」


 アルトは天地の<マスター>だが、元々決闘の類には参加していない。

 最前列で観戦したのも初めてであり、感想は『想定よりも精神的にきつい』だった。


(ホラー映画とかレイっちの悪魔イーター動画はわりと見れたんだけど……。やっぱり臭いがアウトなのかなー……)


 本人にネタを擦っただけあり、その動画は何回か見ていたアルトである。


「あらあら。あんなにも戦闘に秀でた<エンブリオ>と特典をお持ちなのに、勿体ないですね。将来は良い決闘ランカーになると思っているのですが」

「へ?」


 残念そうな重兵衛の言葉に、アルトはキョトンとした顔をする。

 それは『もしかして決闘ランカーとして育成するために決闘誘ったの?』という驚きと、『アタシが戦闘に向いてるって何の冗談?』という戸惑いのミックスだ。


「ホロ……あの子はともかく、ゴルディアン・ノットは使えないよ?」


 アルトの<エンブリオ>、【複雑回機 ゴルディアン・ノット】。

 そのスキルである《ギフテッド・クイズ》は相手にランダムな問題を出題し、相手が正解を口にするまで動きを封じる。

 ただし、正解を口にした場合は全ステータスが倍になるというバフスキルでもある。

 味方に使うにも敵に使うにもリスクがある<エンブリオ>である。


「動きを封じている間に攻撃すればよろしいのでは? ほら、あの威力に秀でた『ぱいるばんかぁ』がありましたでしょう?」

「あのガチャ武器ねー。でもアタシ、《ギフテッド・クイズ》を使ってる間は武器持てないからね」

「ああ、言われてみればそうですね」


 ゴルディアン・ノットの目立たない制限の一つである。

 《ギフテッド・クイズ》の使用中はアルトの手にしたゴルディアン・ノット――金色のあやとり紐に相手の幻影が拘束されているが、それはアルトの両手の拘束も意味する。

 そして、そちらの拘束も相手の拘束が解除されるまで継続するのだ。

 システム的に言えば武器スロットの使用禁止。指は動くのでログアウト処理や撮影アイテムの操作くらいはできるが、戦闘は難しい。


「ならば、拘束中に仲間が攻撃すればよろしいのでは? 私の趣味ではありませんが」

「あー、ダメダメ。敵が攻撃されるとその時点で拘束解けるの。しかも倍化のおまけつき。ちなみに味方の場合は攻撃されても拘束されっぱなしね」


 あのイベントにおいて、レイに説明し損ねていた部分でもある。

 イベント中は敵も味方も被弾前に正解を口にしていたので関係なかった話でもある。

 【ホロビマル】に関しては、人気のない夜にアルト一人でやったからこそ拘束が解除されず、ギブアップに至ったと言える。

 もっとも、一対一で完封された時点で【ホロビマル】は敗北を認めただろうが。

 どの道、【ホロビマル】にとって敗北は終わりではなく、次の段階(・・・・)に移るだけのことだ。


「その敵と味方は何で区別しているのですか? パーティか否かですか?」

「え? 何だろう……敵は敵だし、味方は味方だから……としか……」

「そうですか」


 元より《ギフテッド・クイズ》の問題自体がアルトの知識を元にしている。

 ゆえに、敵味方の識別自体も彼女の認識に依っているのだろうと重兵衛は推測した。


「……つまり、倍化する前に一撃で仕留められるならば問題ない。それに記憶操作で敵味方の認識をいじれば……たしかレジェンダリアの<超級>にそのような手合いがおりましたね」

「怖いこと言ってるぅ?! だ、だけど<マスター>は精神保護あるから無理だと思うなぁ! 無理だと思うけど試さないでね!?」


 アルトは自分の頭を守るように押さえながら、重兵衛より数歩後ずさった。

 重兵衛は『冗談ですのに』と思ったが、そういうことを本当に言いかねない人物だとアルトに限らず認識されているので仕方のないことだ。


「と、ところで! 何であんなに決着急いでたの! バトルを楽しまないとかキャラ違わない!?」


 記憶操作の検証を続けられても困ると、アルトは話を強引に切り替えた。


「私としても惜しかったのです。けれど、観客席に困った相手がいたもので……」

「え? 迷惑なお客? それとも重兵衛のストーカーとか? どんな人?」


 重兵衛の返答に、アルトは純粋な疑問を覚えた。

 なにせ、重兵衛は“無敵”と称される相手にも笑顔で斬りかかった女である。

 その重兵衛が『困った』などと言う相手が気になったのだ。


「そうですね。……観客席で『風景』のような雰囲気の男性を見かけませんでしたか?」

「あ、その人なら見たかも。黒髪で色白で中性的な透明感美形でしょ?」

「ええ。それ(・・)ですね」


 アルトは重兵衛のぞんざいな言い方が気になったが、ともあれ話を促す。


「彼も決闘ランカーで、あまり手の内を見せたくない相手です」

「えぇ?」


 重兵衛の言葉が、アルトには本当に意外だった。

 なにせ、眼前の彼女はイベントの際、アルトがレイ達に重兵衛の手の内を説明するのを黙って待っていたのである。

 双方ともに手の内を知り合い、その上での斬り合い殺し合いを楽しむタイプだ。

 そんな彼女が『手の内を見せたくない』とは普通ではない。


「彼には初見殺ししか(・・)通じません。一度見せれば、上位ランカーの戦法でも完全に対応されます。手の内を見せるほどに、戦いが成立しなくなります(・・・・・・・・・)

「えぇ……」


 アルトの脳内に昔のバトル漫画の『同じ技は二度通じない』と断言するシーンが思い浮かんだが、然もありなん。

 そして、殺し合いが好きな重兵衛が手の内を明かしたくない理由も理解できた。

 明かすと殺し合いができなくなる(・・・・・・)からだ。


「それって、そういう<エンブリオ>なの?」

「いいえ。恐らく<エンブリオ>ではないのでしょう。ジョブでもありません。あれは……ただの常識の埒外です」

「…………」


 あの重兵衛が、常識が通じない修羅の中の修羅が、『埒外』などと口にする。

 その時点でアルトはあの美形を脳内の『絶対に関わってはいけない危険人物』リストに入れた。

 もっとも先に入れていた重兵衛とはこういう付き合いになっているので、入れるだけ無駄かもしれない。


「そんなに強いんだ……。あれ? じゃあ何でホロ……うちの子は倒されてなかったし?」


 アルトの持つ切り札、かつて【ホロビマル】と呼ばれていた首無しの大鎧は天地の砂浜で挑戦者を待ち続けていた。

 何度でも挑戦できたし、手の内も変わらない。

 ならば、初見殺ししか通じないというその人物ならば勝てたのではとアルトは考えた。


「武器が通じなかったからです」

「武器?」

「彼の愛用する武器は強度や長さが変わるだけのシンプルな代物ですが、肝心の強度がスキルによって変動しますから」

「あー……」


 それではダメだとアルトでも分かった。

 大鎧の保有している力は《奥偽殺し(アンチ・スキル)》。

 触れたもののスキルを生物であろうとモノであろうと一定時間封じてしまう。

 強度自体がスキルに依るならば、触れた時点で失われてしまう。


「だから倒すためにスキルの伴わない武器を作成していたそうですが、得物が得物で相手が相手なので満足いくものが作れず、そうする内に……そうなった(・・・・・)のでしょう」


 重兵衛がアルトのジュエルに視線を向けたため、彼女にも理解できた。

 要するに準備中に先んじてうっかりMVPになったのがアルトということだ。


「……もしかしなくてもアタシってば恨まれてる?」

「恨んではいないでしょうが、性格的に満足するまで生き試し……もとい仕合を挑まれますね。彼だけでなく天地の武芸者全員に言えますけれど」

「絶対言わないでよね!? 約束だよ!?」


 アルトの本気で泣きが入った懇願に、重兵衛は「うふふ」と微笑で応える。


(あ。これはこっちが約束守らないとダメな奴だぁ……)


 『ゴールデンウィークが明けたら絶対にレイっちに聞いてこよう』とアルトは決意した。


「……で、結局あの美形ってどこの誰なの?」


 暫定的に危険人物リストのトップになった人物について、より詳しく聞いておこうとアルトは考えた。

 しかしそんな彼女の思考は、



「――――“技巧最強(・・・・)”」

 ――――重兵衛の一言で完全に停止した。



「アルトの見たあれ(・・)が天地決闘一位。東方最強の男です」

「……………………へぇぁ」


 何とも間の抜けた声を出すことしかできなかったアルトだが、『そっかー。アタシの秘密ってバレると“最強”に付きまとわれるんだー』と理解した。

 同時に、秘密を知る重兵衛との付き合いも長くなりそうだと観念したのだった。


 To be continued

(=ↀωↀ=)<17巻で省いたものを色々集めた話+“技巧最強”初出回でした


(=ↀωↀ=)<この後の更新予定は休載しつつ何回かに分けてコメント返しして


(=ↀωↀ=)<それが終わったら本編再開です


(=ↀωↀ=)<……コメント返しめちゃくちゃ溜まってるなぁ



〇重兵衛VSホロビマル


(=ↀωↀ=)<どうやって右腕を切り落としたか


(=ↀωↀ=)<バフ効果のある装備を多数使いながらそれらには触れられないように注意し


(=ↀωↀ=)<攻撃には『単純に強度・武器性能の高い刀』だけを使って


(=ↀωↀ=)<斬り落とせるまで斬り続けた


( ꒪|勅|꒪)<かなり脳筋じゃねーカ?


(=ↀωↀ=)<レベル(ステータス)を上げて物理で殴るのが正攻法だから……


(=ↀωↀ=)<あと“技巧最強”の【ホロビマル】戦について武器が通じなかったって言ってたけど


(=ↀωↀ=)<かつての重兵衛もバフ武器が足りなかった(・・・・・・)から倒せなかったタイプです


(=ↀωↀ=)<ちなみに斬り落とされた腕は翌日には自動修復で直りました


(=ↀωↀ=)<そして鎧は今後も重兵衛のトレーニングで度々呼び出されます


( ꒪|勅|꒪)<何デ?


(=ↀωↀ=)<部位破壊までのタイムで自分の成長を計るそうです


( ꒪|勅|꒪)<……<SUBM>でRTAすんなヨ



〇“技巧最強”


(=ↀωↀ=)<とてもシンプルな<エンブリオ>でジョブも戦闘ステータスが低い


(=ↀωↀ=)<なのに直接戦闘で最強の一角に立つ理解不能な人物


(=ↀωↀ=)<一回新技見せると次会ったときには完封してくる


(=ↀωↀ=)<なんなら体の動かし方の癖まで含めて攻略してくる


(=ↀωↀ=)<戦いを見られただけで対処される確率上がるので、重兵衛はさっさと終わらせた


(=ↀωↀ=)<『何でこの条件で勝てるか分からない』と度々言われる規格外ならぬ埒外の手合い


(=ↀωↀ=)<セキュリティ担当に弾かれない系ジャンル違い


(=ↀωↀ=)<本編での出番はまだ先

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― 新着の感想 ―
[一言] 技巧最強 読み直すとまるでルークの説明聞いてるようだった あと作者の説明だと普通人ぽいのに修羅メンタル持ってるのが意外
[気になる点] あれ?ギデオンの休日でのマリー曰く闘技場の結界はにおいを通さないのでは?
[気になる点] 17巻を読んでいてふと思ったのですが、クロレコで登場した古代伝説級UBM【外竜王 ドラグメイル】について一つ質問があります。 作中ではシオンがMVPになって【Q極きぐるみしりーず ど…
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