遥かなる渇き 転
(=○ω○=)<七月十五日はデンドロのサービス開始日
(=○ω○=)<修羅場中ですがなんとか書けたので更新……
( ꒪|勅|꒪)<なぁ、前回まで前編とか中編だったよナ?
(=○ω○=)<1.5話分書いても足りなかったので起承転結になりました
○関係ない話
(=ↀωↀ=)<スパロボ30にナイツマとグリッドマンと覇界王参戦
(=ↀωↀ=)<エルガイムの久しぶりの参戦も含めて楽しみ過ぎる
(=ↀωↀ=)<バッシュが手に入ったらフル改造しよう……
( ꒪|勅|꒪)<ちょうどその頃に17巻発売だゾ
(=ↀωↀ=)<ちゃんと仕事しなきゃ……
□■彼女について
ゼタにとって幸運だったのは、偶然にも彼女を助けた人物がバルタザール・グランドリアだったことだ。
海に落ちた彼女を助けた老人はグランバロアにおいて有数の権力者であり、世話焼きでもあった。
「冷えたままだと体壊すぞ」
海に落ちてずぶ濡れになり、体温も低下してろくに動けなくなったゼタ。
そんな彼女はバルタザールに抱えられて海賊船団の施設へと連れて行かれた。
バルタザールはゼタを女性の団員に預け、施設の大浴場に放り込んだのである。
この間、ゼタはされるがままであった。
「…………湯」
そうして半ば強引に勧められた入浴だが、これも彼女には初めてだ。
湯を沸かして浸かるという行為は無駄が多い。火星の設備は極力、水の使用を抑えながら清潔にする方向に技術の粋を凝らしている。
対して、グランバロアの水源は周囲に豊富にある海水であり、魔法で濾過や加熱が可能なので真水も湯も簡単に作れる。
環境のギャップ。
それ以上に、環境に対する捉え方の違いをゼタは感じている。
大浴場には他の利用者もいるが、誰もこの環境に疑問を抱いていない。
「…………」
だが、彼女の心は根底から違和感を訴えている。
震えているのはきっと、身体が海水で冷えていただけが理由ではなかった。
初めてのログインに続き、これが二度目。
そして今後もゼタが体験していくことである。
「……うぅ」
自分の中の整理のつかない感情に整理をつけようとして、考えて、……結局彼女は茹だるまで風呂に浸かっていた。
風呂でのぼせるのも、初めてであった。
◇◆
「随分と温まったな。大丈夫か?」
「…………肯定」
顔が真っ赤になるまで風呂に浸かっていたゼタだが、付き添いの女性団員が「これ危ないんじゃない?」と心配して引き上げたので大事にはならなかった。
頭は少しボーッとしているが、会話には支障ない。
「なら、話をしよう。お前、何か予定や目的はあるか?」
「否定」
「なら海賊船団に入れ」
バルタザールの言葉は単刀直入だった。
「……?」
「何も目的がないなら、それが定まるまではうちに籍を置いておけ。飯と寝床と仕事は世話する。読み書きや法律が分からないなら、付属の学校で学べるから通え。それでも飯と寝床は用意するし、小遣いくらいは出る」
「…………」
要するに、ゼタを彼の傘下にある組織の従業員、あるいは学校の生徒として迎え入れるということだと理解した。
しかし疑問だった。
「……何故。私は何もしていない」
なぜ、溺れていたところを助けられただけの自分の面倒を見るのか、と。
そんなゼタの当然の疑問に対し、バルタザールは「フン」と息を吐きながら答える。
「目だよ」
「……目?」
「海賊船団でよく見る目だ。親とはぐれた子供みたいな目をしてやがる。放っておくには、ばつが悪い」
「……………………」
バルタザールはゼタの素性など何も知らないはずだ。
母親達を失ってからの日々を、誰もいない星で孤独に過ごしていたことなど知るはずがない。
だが、それが目を見ただけで分かると言うのならば……。
ゼタは……その両目にどれほどの孤独と寂しさを滲ませていたのだろう。
「……疑問。私があなたの言うような人間であっても……何故あなたは助けるのですか。海賊、なのに」
彼が口にした言葉は慈善家のそれに近い。
本の中の海賊とはそういうモノではなかったはずだ。
ゼタが抱いたある意味で当然の疑問に、バルタザールは頬杖を突きながら答える。
「儂の家……グランドリア家は由緒正しい海賊だ。まぁ、『賊』とつくもんに由緒正しいもないもんだが、ご先祖様が頑張った結果にケチをつけることでもねえ」
グランドリア家の祖であるマシュー・ドリアは、かつて初代大船団長バロアと共に大陸一周を果たした中心人物であった。
今、彼の子孫であるグランドリア家は四大船団長家の一つであり、グランバロアでも屈指の名家となっている。
「だが、儂みたいな輩が海賊船団の全てじゃない。他の国でまともに暮らせない奴や、他の船団の輪に入れなかった奴も大勢いる」
譜代の家臣とも言うべき者達もいて船団の中核を担っているが、それ以外の人員は他から流れてきた者だ。
他の船団出身で馬が合わなかった者や他国の港で食い詰めていた者、そして人間やモンスターとの闘争で親を亡くした孤児などである。
海賊船団はそれらの人員を受け入れて、仕事を与えていた。
それは『海賊に仕立て上げる』ということではない。
『はぐれ者を彼らに適した形で社会に戻す』ということだ。
四大船団にはそれぞれ異なる役割がある。
貿易船団は自国内での店舗運営や他国との商売、アイテムの生産。
冒険船団は未知の領土の開拓や<遺跡>の探索、海中からのサルベージ。
軍事船団は大規模なモンスター討伐や素材集め、稀に他国との海戦。
そして海賊船団の管轄は、他の船団から少しだけズレた仕事……隙間の仕事だ。
他の船団のいずれとも近い活動をするが、よりフットワークの軽い集団と言える。
業種も多岐にわたり、中には領海におけるグランバロア非所属船舶の取り締まりや不法行為の調査といった『警察』業務までもある。
人手はどれだけあっても困ることはないため、はぐれ者もよく受け入れている。
なぜそうなったかと言えば、初代海賊船団長の時点でそのような気風の人物だったからである。
それが海賊船団のスタンス。『海賊』船団などという名前を使い続けているのも、祖先への敬意からである。
「海賊船団ははぐれた奴らを見てきたし、受け入れてきた。建国からずっとだ。そんでまぁ……ゼタもその一人だな」
「…………」
「『親代わりになってやる』なんて上から目線の物言いはしねえ。『飯と寝床と仕事をくれる変な爺』くらいに思えばいいさ」
そうして、バルタザールは海から引き揚げたときと同じく、ゼタの頭をくしゃくしゃと撫でた。
ゼタも、その行為が不快ではなかった。
きっと人に触れられること自体が……久しくなかったからだろう。
◇◆
その後、ゼタは一度ログアウトして、どうすべきかを考えた。
海賊船団に属するか否か。
そもそも、<Infinite Dendrogram>を続けるか否か。
火星からログインできた時点で、このゲームは尋常なものではない。
それに、必ずしも心地よい体験を与えてくれるものでもない。
<Infinite Dendrogram>は夢のゲームと人は言う。
だが、あまりにも環境と常識の異なる世界は、『悪夢』と言うのだ。
地球人にとっては良くとも、火星人にとってはパニックを引き起こすほどに違い過ぎる。
あるいは、精神衛生を考えれば、もうこのゲームに触れないことが正解かもしれない。
だが……。
「時間。それに消費量……」
時計を見れば、内部で過ごした時間の三分の一しか進んでいない。
加えて、眠っていた彼女の消費した資源は少ない。
精神的に成長するための知見を深めるにも、施設の備蓄を温存するにも、ログインしていた方が都合は良い。
それに……。
「…………」
ゼタは、バルタザールに撫でられた頭にそっと触れる。
アバターとリアルで肉体は違うが、形は同じで……感触も思い出せる。
人と触れ合ったことなど、母親達が死んでからついぞなかったことだ。
「……そう」
あの世界は異世界で、悪夢に近いものかもしれない。
けれど、人はいる。
火星にはない、火星から失われた、人の温かさはあるのだ。
それから暫し静かに考えて……ゼタは<Infinite Dendrogram>の継続と海賊船団への加入を決めた。
◇◆
<エンブリオ>が孵化したのは、再び<Infinite Dendrogram>に足を踏み入れてすぐのことだった。
彼女の<エンブリオ>は、『大気操作』を能力特性とするウラノス。
空気を動かし、組成を変え、局所的なテラフォーミングも可能とする。
パーソナルに由来して千差万別の形態をとるのが<エンブリオ>だ。
自らのウラノスがそんな能力を獲得するに至ったことを、ゼタは疑問にも思わなかった。
空気の重要性を誰よりも知るのがゼタであり、母親達が命懸けで礎となったのが火星のテラフォーミングである。
ゆえに、ウラノスの能力はそれが理由だと、その頃のゼタは考えていた。
◇◆
海賊船団に属したゼタは宿舎で寝泊まりしながら、自分よりも幼い子供達と一緒に学校で常識を学ぶ生活を送ることになる。
それらは『海賊』の名からは意外と言ってもいいほど、しっかりと社会復帰を目指せる施設だった。
そうして学校に一月ほど通い、最低限の社会常識を身につけた後のゼタは……驚くほど『普通』のプレイヤーと同じだった。
ジョブに就き、海賊船団発のクエストを重ね、レベルを上げる。
これについては、海賊船団に限らずこの世界の常識だったこともある。
特に疑問もなく彼女は勧められた仕事をこなし、空いた時間では資料室で<Infinite Dendrogram>の常識を学んでいた。
その研鑽は社会常識に留まらず、ジョブやモンスター、アイテムの性質なども調べていた。
後者に関しては、より効率的に生活することを幼少期から続けてきたためでもある。
呑み込みも早く、<マスター>ゆえにレベルや適性の縛りもない彼女は、すぐに一人前の人材へと成長していく。
そうして海賊船団に属してから内部時間で三年と少しが過ぎた頃。
普通のプレイヤーと同じように<Infinite Dendrogram>で過ごしていた彼女は、
――<超級>になっていた。
◇◆
「かんぱーい♪」
「乾杯」
その日、ゼタは海賊船団の友人と二人で食事をしていた。
ゼタが<超級>になったお祝いであり、今日一緒に受けたクエストの打ち上げでもある。
「いやー、捕り物のはずが上位の海竜が乱入してくるとは思わなかったよね。一気に海洋パニックムービーになったし」
「違法。あの船が違法に運んでいた物資の中に、一部の海竜を誘引するアイテムがありましたからね」
「あいつらが捕まる前に船壊したせいで、海に撒かれちゃったからね。余計な仕事増やしてくれちゃってさ。まぁ、ドロップは美味しかったけど」
お互いに少女の容姿であるため、いささか物騒でミスマッチな話ではある。
だが、多くの者は彼女達の左手の紋章で<マスター>だと確認し、さらにその顔を見れば納得するしかない。
海賊帽子の陽気そうな少女は決闘ランカーとして知られる【大海賊】チェルシー。
そしてミイラのような装いの少女は討伐ランカーにして<超級>となったゼタ。
海賊船団の<マスター>の中でもトップクラスの二人が揃っているためか、店内はどこか畏れ、彼女達の周囲の席は空いていた。
「まぁ最終的にゼタの核の方がヤバかったけどね。あれ放射能とか大丈夫だよね?」
「安全。ちゃんと処置を施した上で使用しています」
話は物騒だが、二人の様子は楽しげでもある。
グランバロアにおける<マスター>の男女比はさほど変わらないのだが、海賊船団に関しては<マスター>の女子が明確に少ない。
暑苦しい海の荒くれが多いことや、他の船団ほど懐が温かくないこともある。
そんな中、共に海賊船団所属の女性ランカーとして名を連ねるゼタとチェルシーは、それなりの交流を持つ友人だった。
「すごいよねー。前から便利だったけど進化してからは万能で最強じゃん」
「……適所。使える場所が多いというだけで、環境と条件次第では最強たりえませんよ」
「まぁね。醤油さんと水中戦とかしたくないしねー」
「…………」
ゼタは物言いたげにチェルシーを見たが、言及はしなかった。
醤油抗菌は液体を爆薬に変える上級の猛者であり、決闘においてチェルシーとも競っている男だ。
しかし、その彼よりもランキングで上にいるのは目の前の童顔の女性である。
「まぁ、あたしのランキングもそろそろ順位が落っこちそうな気がするよ」
ゼタの視線で言わんとしたことを察したのか、チェルシーは苦笑しながらそう述べた。
「……超級職」
「そ。<マスター>でも超級職取る奴が増えてきたからね。カンスト止まりだとそろそろきついんだよねー。……あとミリタリーバカのサトミ達が船の性能まで上げてきてるし」
サトミ・ヤマモト。グランバロア最大のメガフロート型<エンブリオ>を所有する男であり、<GFRS>という造船クランのオーナーでもある。
最近は<Infinite Dendrogram>における造船の勘所を掴んだのか作られる船舶の性能向上が目覚ましく、決闘ランキングにも影響を与えていた。
「それに決闘ランキングでも<超級エンブリオ>持ちが出てくるはずだからね」
「…………」
チェルシーは第六形態止まりであり、超級職も取れていない。
今は戦術で優位に立てているが、<超級>に純粋なスペック差を突きつけられれば遠からずランキングも落ちていくだろう。
「第七形態への進化のコツとかってあるの? うちのポセイドンはモンスター倒しても全然進化してくれないんだよねー」
世間話のようだが、既に到達したゼタから少しでもヒントを得ようという意思は感じられた。
それを察せる程度には、ゼタもこの三年で人間に慣れたとも言える。
「……不明瞭。断定できるような要因はありません」
「そっか。じゃあ仕方ないね」
ゼタの言葉に頷き、チェルシーはそれ以上突っ込んで聞いては来なかった。
『隠してる』と疑うこともなく、『不明瞭』の内訳を根掘り葉掘り聞こうともしない。
それをしても意味がなく、ゼタとの交友が切れる要因になりえると……冷静に分析しているのだろう。
実際、海賊船団内でもしつこく聞いてくる者達はいたし、結果として疎遠にもなっていた。
「…………」
この友人は人をよく見ている。
それを示すように、健啖家のはずが今夜は……ゼタの前ではあまり食べない。
ゼタと同じ程度の……小食と言っていい範囲に留まっている。
同席するゼタが『無駄に食べる』行為に不快感を示すと察しているからだ。
「まぁ王国やレジェンダリアの<超級>の情報集めても、特に共通項とかなかったしね。宗教の教祖様だったり、指名手配犯だったり、プロレスラーだったり。んー、こうして見ると色物多い?」
「…………」
「ゼタは色物ってより可愛いから大丈夫だよ。包帯はカラフルだけど」
「ふふ」
ジョークを交えて話す姿も、どこまでが計算でどこからが素なのか。
体感でもう二年以上も友人関係をしているゼタでも判別はつかない。
適切な関係を保ってくれる友人。今も頻繁に気にかけてくれているバルタザール老に次いで、ゼタと親しい人間かもしれない。
ゼタとて、そんな彼女に進化へのヒントを与えられるならば与えたい。
しかし、特別な何かをしたことなど本当に一度もない。
行動量で言えば、チェルシーの方がよほど活発と言えるだろう。
強いて人と違う点を挙げるならば……『境遇』と『心境』か。
ウラノスの本当の理由を自覚したからこそ、<超級>としての彼女がある。
そしてもう一つ思うことがある。
察しがよく付き合いが長いチェルシーが相手とはいえ、他者に今の自分の内面を悟られる。
それはゼタにとって……そろそろ限界ということを示していた。
◇◆
チェルシーとの食事がお開きになった後、ゼタは一人で都市船の甲板を歩いていた。
あの日、<Infinite Dendrogram>に入った日に見上げた青い空は、今は夕日の赤へと変わっている。
「…………」
赤い夕陽は、彼女の世界の常識とは異なる。
火星の夕焼けは大気成分の違いにより、波長の短い青い光が散乱する。
この時間の色も、かつての彼女にとっては未知のものだった。
海賊船団での三年間の生活は、ゼタにとって未知の連続だった。
火星の居住設備とはまるで異なる環境。
それまでの人生で出会った人間の千倍以上の人間。
泳ぐどころか身体を動かして跳ね回る……酸素と水分を無駄に消費することさえも彼女にとっては未知の行い。
しかし間違いなく、彼女が体験した未知の中には充足もあった。
それに、バルタザール老やグランドリア家の人々、チェルシーといった数名の友人達。
一度は失った人との関わりも含めて、欠けていたものが埋まるのを自覚していた。
「…………ふぅ」
しかし、彼女の中に満ちるものが必ずしも温かく、良いものだけとは限らない。
彼女は街を歩きながら、商店や屋台に視線を向ける。
そこには様々な商品が並べられ、当然のように値札もつけられている。
記載された額面の通貨を支払えば商品が手に入る当たり前のシステム。
かつての彼女にとっては……そうした通貨システムも未知だった。
価値の数値化行為も今まではデータの中にしかなく、実践したこともなかった。
彼女が感じた最も大きな衝撃はそれかもしれない。
たとえば火星で彼女の命を繋ぎ、母親達が命懸けで守ったプラントが産出している水と空気。
その二つは……市場では著しく低い価値で取引されていた。
通貨の数字は、この世界での価値を示す。
自分が火星で必死に得ている水は、価値がとても低い。
生死に直結する空気など、値がついてすらいない。
食料がない国はあっても、スキルがあるために水と空気に困ることはそうそうないだろう。
だから、この世界の人々は当たり前のようにそれらを享受し、無駄にして、汚してもいる。
水や空気以上の価値をつけられた様々なものでも同様だ。
彼女からすればありえないことでも、この世界では常識の範疇だ。
そして、地球のほとんどの国での常識でもある。
人の欲に限りはないし、価値の浪費は止まらない。
彼女が海賊船団のクエストで取り締まっている違法な商人達のように、より多くを求めて競い、奪い、そして消していく。
最小の価値のモノすら、掛替えのない生き方をしてきた者のことは知らぬまま。
「…………」
ゼタは、そっと自らの左手の甲の紋章を見る。
テラフォーミングを可能とする自らの<エンブリオ>。
けれど、この世界ではテラフォーミングの必要などない。
在って当然のものを苦労して得る必要などないのだから。
その事実と常識に対し……ゼタの心中で静かに積もるものがあった。
それこそが、彼女の『境遇』から生じた『心境』の変化であり、その心の正体を自覚したときに彼女の<エンブリオ>は第七形態へと進化していた。
「…………」
学び、自分の世界と異世界の常識を比べ、そして理解したのだ。
自分が本当は何を望んでいるのか。
胸の内に静かに積もる感情は、いつ溢れるのか。
彼女は賢く、早熟であり、そして既に『自覚』している。
そして彼女以外に気づく者はいる。
チェルシー、それにバルタザール老は気づいているだろう。
だからこそ……あとはタイミングの問題でしかなかった。
「…………不明」
あの日のように、ゼタは空を見上げる。
そこに既に青空はなく、黒と紺の夜空が広がっていた。
その空に、彼女の星は見えない。
◇◆
彼女が一つの決意を決めた翌日。
グランバロアに凶報が届き、激震が走った。
――<SUBM>出現。
――試験航海に出ていた軍事船団の艦隊が壊滅。
――<SUBM>【双胴白鯨 モビーディック・ツイン】はグランバロアへ侵攻中。
グランバロア全船が混乱する中、ゼタはその報を……一つの区切りと見定めた。
これが、自分を拾ってくれたバルタザール達への恩返し。
そして……自分のグランバロアでの最後のクエストになるだろう、と。
To be continued
(=ↀωↀ=)<来週更新できるかは現状不明です
(=ↀωↀ=)<今はFGO二部六章後半とモンハンストーリーズ2を封印して17巻執筆中
(=ↀωↀ=)<ふふ、この修羅場
(=ↀωↀ=)<17巻に大小合わせて十数回もバトル盛り込んだ奴誰だよ。作者だよ
(=ↀωↀ=)<そんな訳でもう少々お待ちください




