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第86話 エンカウント

本日二つ目です。

注意してください。


「〈岩石突ロックスラスト〉」


重厚な地響きを立てて突進してくる、盾のような頭を持ったトリケラトプスもどきに向けて地面から、槍の形をした岩の魔法を放つ。

見て分かるように相手の頭の守りは堅い。馬鹿正直に攻撃をしても効率的ではないだろう。

だからこそ俺が使った〈岩石突ロックスラスト〉は真上に向かって突きだし、そのあごを跳ね上げた。

顎への衝撃によって突進の速度が落ち、なおかつふらついている中で仰け反った喉を切り裂くことは容易い。苦も無く切り捨てると、レベルアップを告げるファンファーレの音が脳内に鳴り響く。


「次」


その声を追い越すように固まった魔物の集団に勢いよく飛び込む。

着地と同時に地面に魔力を流し込み間髪入れず〈岩石突ロックスラスト〉を放つ。

それぞれの真下から放たれた岩石突に打ち据えられ、浮き上がった体にライム達からの攻撃が飛んでくる。屈んだ状態から正面の魔物に剣を振り上げたことで近場に生き残った魔物は居なくなった。

と、同時に再びレベルアップを告げるファンファーレが鳴り響く。


「ふう」


構えた剣を下ろして一息。


ヤバい。超楽しい。

さっきからレベルアップが止まらない。

ダンジョン脱出時にレベルがリセットされたおかげで、信じられない速度でレベルが上がり続けている。

ダンジョンに居た同種よりもレベルが高い事がそれに拍車をかけている。

おそらく嵐域テリトリーが連れ去った魔物を使っているのだろう。

このトリケラトプスもどきは俺が出会ったときよりレベルが50は高かった。

あのスッカスカだったダンジョン内にこいつらが闊歩していることを考えると、再踏破するのは現状の俺でもかなり厳しいと言える。途中で体力とか魔力とか色々尽きる。

奇しくもダンジョンマスターであるジーバの『ダンジョンは本調子では無い』と言うジーバの言葉が証明されることとなったわけだ。

まあこのままレベルが上がり続ければ話は別かもしれ無いが。


それにしてもおっちゃんも冒険者やってたんだな。

レベリング祭りとばかりに狩りまくってたら、ちょうどおっちゃんを助けられたからな。

ナイスタイミング俺。この一週間泊まっていたから、知らない仲って訳でもないし。


さて、現状俺達がダンジョン産の魔物を狩っていったので、かなりの数を減らしている。

他の冒険者も通常の魔物なら問題無いらしく、徐々に盛り返していっている。

この分だと問題はなさそうだな。後は少し残っているダンジョン産の魔物を狩ったら終わりかな。

ただそれでも怪我人は出ている。特にダンジョン事件で仲間を失った連中にそれは顕著に表れていて、無謀な突撃をしている姿も見かける。それでも死人は出ていないのが凄いところだ。

現に今もオーガに吹き飛ばされた冒険者に救護班が助けに入った。


運んでいた担架を地面に下ろし、二人がかりで怪我人を乗せていく。


「クソッ……!まだ……やれる!!」


「無理だ。それ以上は死んじまうぞ!」


「うるせえ……!俺はあいつの敵を取らないといけないんだ!!」


「馬鹿野郎!そんなことをしても天国のおっかさんは喜ばねえよ!!」


「何で勝手に殺してんの!?生きてるんだけど!?」


どうにか説得しようとしたが失敗したようだ。

ある種、意識を逸らすことはできたようだが。


「天国のおとっつぁんも悲しむぞ!!」


「さりげなく両方殺してるんじゃねえよ!?両方生きてるからな!?ピンピンしてるからな!?」


どうやら話を聞かない人だったようだ。

しかも被害者を増やした。これは酷い。


「……それ以上喋るなァ!傷に障るぞ!!」


「お、おい。何す……ガボッ!?」


悉く説得を外した男は何を思ったのかポーション瓶を無理矢理口に突っ込んだ。

物理的に口をふさいだんですね。分かります。


「ゴアアァァァァ!!!」


「邪魔だア!!」


「ゴヒュッ!!?」


哀れ。再び襲いかかろうとしたオーガは救護に来た男に吹き飛ばされた。

あの拳が八つ当たりだな。

願わくば安らかに眠ることを、南無。

ちなみにオーガが軽々と男に吹き飛ばされるのを見ていた冒険者の目は死んでいた。

そして何事も無かったかのように後方にあるテントへと冒険者を運んでいった。


良いのかこれで、救護班。

……………。まあ、死んでないし良いか。


「シオン。これからどうしますか?」


遠い目をしていた俺はサリーの声で現実に引き戻された。


「そうだな……」


ダンジョン産の強力な魔物にターゲットを絞って狩っていたおかげで、被害は少なく、既にその姿はまばらだ。

これなら五人で固まって一体の討伐速度を求めるよりも、分かれて各個撃波を狙った方が早い。

ライムとデニス、フィラムとサリー、で俺と別れるか。


「よし、それじゃあ……ッ!!」


方針も決まり指示を出そうとしたところで、危険察知が反応した。

咄嗟に〈蒼炎の槍《ブレイズランス》〉をその方向へと放つ。

俺の魔法とドス黒い槍の様な魔法が激突し――俺の魔法が押し負けた。

嘘だろ!?


「チィ……!ライム!!」


このままだと黒槍は俺達を貫く事になる。

急いで横に居るライムに指示を出すと、頼られるのがうれしいのかライムは嬉々としてその指示に従ってくれた。


「任せて!」


そう言って唸りを上げ迫り来る黒槍に向けて一歩踏み出した。

するとど真ん中一直線だった黒槍が徐々にライムの方へと曲がって行く。

そしてライムに着弾すると、何事も無かったかのように消え去った。

もちろん俺達に被害は一切無い。


黒槍が消えたのは暴食のスキルによるものだが、引き寄せた力は別の物だ。

ライムが受け取っていた黄金の籠手、『掴把の籠手《かくはのこて》』の力の内の一つ。

正確に言うと吸収してしまったので既に籠手だけの力ではなくなっているのだが。

それはさておき、打ち出された魔法を自分の元に引き寄せる事ができる。

ただし、90度カクッと曲げることや、魔法の発動地点を変えることはできない。

効果があるのはあくまで打ち出された魔法で、誘引力も大きいとはいえないが、それでもライムの暴食とのシナジー効果もあって、かなり強力な効果と言えるだろう。


「助かった」


「うん。でもあれ……」


「ああ、分かってる」


黒槍が飛んできた方向。

そちらから現れたのは、紫髪に紫眼を持ち、背中に翼を生やした――話に聞いた魔族そのままの――男の姿だった。

その男が忌々しげにこちらを睨み付けてくる。


「ったく、やってくれたな人間。俺様の初陣を潰してくれやがってよぉ!!」


怒り心頭なのか語気も荒く言い放つが早いや拳を思いっきり握りしめた。


「おかげさまで追加投入だクソがッ!!」


魔族の背後から黒い渦が多数出現し、その中から魔物あふれ出す。

新たな魔物達が地を震わせるほどの雄叫びを上げた。



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