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第85話 暴威

お久しぶりです!生きてますよ。

大変遅れまして申し訳ありません。大学は楽だと思ってたのですがそんなことはありませんでした……。

どうやらそれは文系だけらしいです。あの英語教師ェ……。

しばらく連続投稿します。と言うわけで1話目です。

覚えてない方にあらすじも置いときますね。


~あらすじ~

遂にダンジョンから脱出した主人公の紫苑達。

王都に戻って、ギルドマスターのガザルとパーティーメンバーの獣人少女サリーとエルフの少年デニスに一部を隠して事情を説明。

後日、最終試験を受けることになる。

試験中に悲鳴を聞き駆けつけると、オーガの集団にエルフの少女が襲われていた。

無事助け出し、試験の報告と一緒に伝える。無事合格。ランクアップする。

エルフの少女は違法奴隷だったことが判明。本人の希望もあり紫苑が保護することに。

ちなみにオーガは生息地域がかなり遠いらしく、出現するのは普通ならあり得ない事だと説明された。

それは魔族が起こすスタンピードの前兆らしく、ガザルの勧めもあって旅立ちを伸ばし、スタンピードが起こるのを待つことになった。

ついでにめんどくさい汚物を消毒(笑)。

そして遂にスタンピードが起こる。←今ここ




「ドラッシャアァァァ!!」


気合い十分に巨大な剣を振り下ろし、宵闇亭の亭主であるおっちゃんは眼前に立っていた魔物を切り伏せた。

元冒険者であるおっちゃんは、足りない稼ぎを補うために最近はスタンピードでこうやって魔物を狩って生活の足しにしていた。

ちなみにパーティーを組んでいるのは宵闇亭に泊まっている古なじみ達。

全員全盛期とは言いがたく、昔のように満足には動けないため最前線から一歩下がったところで討ち漏らしを狩っている所だ。


「ったく、体が満足に動きやしねぇ」


「ははっ、まあ仕方ないだろ。俺達ももう歳だ」


「おいおい、老いるのは歳を気にしはじめてだって言うぜ」


「はっはっは!違えねえ!」


いつも通りに動いていつも通りに狩る。軽口をたたき合う余裕さえあった。

今までと変わらない慣れた作業。

だからこそ俺達は油断していたんだろう。


「おい!強いのがそっちに行ったぞ!!」


最前線から聞こえた声に警戒をするがそれは意味が無かった。そいつは空からやって来たからだ。

いきなりの上からの奇襲。反応できたのは奇跡としか言い様がない。


「ぬおおぉぉッ!!」


上段からの攻撃。

咄嗟に剣を振り上げ、緩みきった空気を切り裂く巨大なカマキリのような魔物の一撃をどうにか弾くことができた。

しかし良くも悪くも咄嗟の反応だったせいで胴ががら空きになる。


「ぬッ!?」


そこに追い打ちをかけるように振るわれたもう片方のカマに万事休すかと冷や汗が流れたが、どうにか仲間の大盾使いが入り込んでくれたおかげで安堵した、がそれも一瞬だった。


「おい……嘘だろう!?」


――カランカラン……


その音が盾の堅さに負けた相手のカマが砕け、落ちる音だと信じることができたらどれだけ楽だっただろう。

だがそれは逃れられない現実となって視界に入り込んできた。


まっぷたつ。


それがこれまで何度も自分達を支えてきてくれた大盾の姿だった。

幸いにして使い手の方はなんともないようだがそれも時間の問題だ。

現に今もああやってカマを振り上げて――

そこまで認識したところで体が動いていた。


「やらせっかよぉっ!!」


カマキリと仲間の間に入り込み大剣を掲げることで、魂までもを刈り取ってしまいそうな鋭い一撃を、どうにか防ぐことに成功した。

だが……


「ははっ、こいつもか……」


じわりじわりと大剣を断ち切ってカマが進んでくる。


何を考えているのか分からないがもう片方のカマを動かす気配はない。

力を見せつける為なのか、いたぶる為なのか。

どちらにしろ後ろの仲間からの魔法による援護も期待できない。

巨大なと言っても姿はカマキリそのもの。

それ故にその体は前後に長く正面からでは的を絞りづらい。

その正面に自分が被っているのであればなおさらだ。

このカマの進行速度では、仲間が横に回り込んで有効打を与えられるようになるよりこの身を切り裂かれる方が格段に早い。


皮肉な事に近くで見たことによってカマに魔法で風のような物を纏っているのが分かった。

これがカマの鋭さの理由なのだろう。

今更それが分かったところでどうしようもないのだが。


死を覚悟したそのとき――。


カマキリが宙を舞った。


「……は?」


いきなりのカマキリの狂行に流石に思考が停滞することになる。

そのまま背中から倒れ伏したカマキリはジタバタともがく様子を見せる。

それは決して演技などではないように見えた。


そして気づく。

さっきまでカマキリが居た場所から土でできた槍の様な物がつきだしていることに。

なるほど、これがカマキリを吹き飛ばし自分の命を救った物だと何故かすんなりと理解できた。

しかしいつの間にこれ程の土魔法を使えるようになったのだろうか。

確か土魔法のスキルは持っていない筈だったのだが……、と後ろの魔法使いを見やればブンブンと首を横に振っていた。

では一体誰が……。


「あれ?おっちゃんじゃん、なんでこんな所にいんの?」


それはこの場にそぐわない暢気な声だった。

いつの間にかすぐ後ろに、最近宿に泊まっている坊主が居た。

人をおちょくってはニヤニヤと実に楽しそうに笑う腹立つヤツだ。


「ああ、ちょっと追加で稼ごうかなと……ってそうじゃな――」


「ああ、閑古鳥鳴いてるもんな」


「ぶっ飛ばすぞ!?」


こいつ人が気にしていることをド直球で言いやがった!?

一回シメてやろうか!!?


「ッ!!おい!下がれ!!」


無駄に言い合っていたせいでせっかく倒れていたカマキリが体勢を立て直してしまった。

坊主はと言えば、カマキリの脅威が理解できていないようで危機感もなく見上げるまま逃げる様子も無い。

クソッ!せめてこいつだけでも逃がせれば……!!

いくら腹が立つガキだろうと若い命が目の前で散らされるのを黙ってみているなんてのは、歳を食った俺達には忌むべき事だ。


そう、たとえ会う度に人をおちょくり、ニヤニヤと楽しそうに笑った挙句、店の現状を見て閑古鳥がどうのこうのと言うような……。


………………。ほっとこっかな……。


「……は?」


気がつくとカマキリは目の前まで迫っていた。

どれもこれもアホみたいな葛藤のせいだ。一生の不覚。


凍結壁アイシクルウォール


――ガキィィィイン!!


しかしそれは命の危険には至らない。

目の前には振り下ろされた鎌。そしてそれを防いでいる氷の盾。


本日二度目のフリーズ。

まるでカマキリの攻撃を防げる盾をこいつが作り出したかのような……。

しかもその本人はなんの障害もないかのように悠然と進んでいく。

そこでようやく硬直が解けた。


後々思い起こしてみると冷静に考えてみれば簡単に思い至ることだった。しかしながら、そのとき冷静でなかった俺は思い至ることができなかった。


先ほどカマキリを見ても坊主が冷静だったのは、脅威度を理解していないのでは無く――脅威に感じていないだけだったのだと。


だからこその言葉だった。


「おい!危ねぇぞ!!」


必死の制止。

しかし少年はのも進む。


「ああ、これくらいなら」


――何も問題無い。


そう、楽しそうに笑って。


うっすらと青く透き通った水晶のような黒剣を携え、一気に巨大なカマキリに接近する。

そこからは圧巻の一言だった。

俺の忠告などあざ笑うかのように、相手の攻撃を許すこともなく、あの凶悪な切れ味を誇った鎌を両方とも難なく切断。

目にもとまらぬ早さで走り抜けると同時に剣に巨大な氷を纏わせ、回転切りをするとヤツの脚は全て切り落とされていた。

後は何が起きたのか全く理解できていない様子のカマキリの頭を落とすだけで終わりだった。


まるで相手になっていない。


いくら一線を退いたとはいえ、俺達は五人がかりで苦戦していた。

それをこいつは1人で、しかもあっさりと倒してのけたのだ。

いくら目の前で見せられたからと言って今の光景を早々に信じることができなかった。

それほどの衝撃だったのだ。


「お前、そんなに強かったのか……?」


「あ?まあ、それなりにな」


「それなりってお前……」


ごくごく自然に、まるで当たり前の事をしたかのような答えを返してきた坊主に、思わず絶句してしまった。

虚勢を張っているようでもなく、それは心の底から当たり前のことを終わらせたかのような顔だった。


「ご主人、先に行きすぎだよ!!」


「悪い悪い、じゃあ俺達は次に行くから」


後ろからも他のパーティーメンバーらしき人影が慌てたように走って来た。

話の内容や現在の状況から推測すると、どうやらこいつだけが単独行動を取ってここに現れたようだ。

まさか俺達が危険な状態だったから……?


「おいおっちゃん」


気がつけば仲間の方に歩いていた坊主がこちらを向いて真剣な表情をしていた。

……なんだ?


「閑古鳥が鳴いててもめげんなよ」


良い笑顔でぐっと親指を突き出す。


「余計なお世話だッ!!!」


ないない、やっぱりこいつが俺達の危険を察知して助けに入ってきたとか。どうせ偶然通りかかっただけだろ。


……ただまあ。感謝はしとくよ、クソやろう。




それからも紫苑達のパーティーは、冒険者が普段相手にしている魔物とは比べ物にならないくらいの強さの魔物に対して快進撃を続けた。

その様は圧倒的で。


さらにその中の黒剣使いの戦い方は荒々しく、まるで暴力の嵐のようだった。

近づけば剣によって切り裂かれ、囲まれれば暴風で吹き飛ばし、集えば炎でもって蹂躙する。

その様は実に楽しそうで。その後の行動と合わせ、凶悪な笑みを浮かべたままの姿に、やがて誰かが言い始めたた呼び名が広がることになる。


暴力の化身、『暴威』と。


面白かったらブクマ・評価お願いします。

評価方法はよくわかんないです!(^_^)ゞ

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