第67話 美化のしすぎにはご注意を!
お久しぶりです!時間が出来たので書いてみました。
これからちまちま上げていく予定です。
文章力が低下しているかもしれませんが、どうか温かく見守ってください。
5人で依頼を受ける
↓
ゴブを狩る
↓
悲鳴を聞いて駆けつける
↓
オーガをジェノサイド
↓
エルフ少女を拾う←今ここ
第67話 美化のしすぎにはご注意を!
ここは、どこでしょうか……。
周囲には色濃い闇が居座るばかり。
暗い。
……暗くて、寒くて、凍えてしまいそうだ。
――ここには居たくない。
誰か、誰か居ないのか。
必死なって周囲に首を向けてみるも、視界に入るのは底の見えない闇ばかり。
――嫌だ。
ついに耐えきれなくなり暗闇の中に足を踏み出す。
走っても走っても周囲を埋め尽くす黒は、途切れる事無く迫ってくる。
「――あっ!?」
わき目も振らずに走っていた私は何かに躓いてこけてしまう。
とっさに手をついて、顔から突っ込むことだけは防ぐことができた。
「ははっ、疫病神はどんくさいな!」
「ほんとほんと。病気がうつるからこっちに来ないでよ」
「えっ!?」
ぶつけられた誹りの言葉に驚いて顔を上げると、自分のことを小さな子どもたちが見下ろしていた。
そしていつの間にだろうか、体を支えている手の下にあるのは闇ではなく草原になり変わり、自分の身長も、子供たちと同じくらいまで縮んでいる。
「ここは……」
――自分が住んでいたエルフの村だ。
「おい!無視すんなよ、疫病神!」
「疫病神のくせに生意気なんだよ!」
「あっ」
――ビシャリ
訳も分からなままに混乱していると顔に何かをぶつけられた。
子供たちはどこから取り出したのか、手に泥団子を携えている。
一人だけ手が空いているのでその子が泥団子を投げ付けてきたのだろう。
「くらえ!」
「えい!」
――ビシャリ
「う……や、やめて下さい!」
――ビシャリ
次々に飛んでくる泥団子から、せめてもと腕で顔を庇うが、それはやはり意味を為さなかった。
なすすべもなく泥団子をその身に受け続けていると――
「ゴアアアァァァァアアア!!!」
子ども達の後ろに大きな圧迫感を持った存在が現れた。
「オ、オーガ……」
しかも普通とは異なり体の色が黒い
少女の顔に明らかな怯えの色が混じる。
いきなり現れたオーガは大きな地響きをあげながらこちらに迫ってくる。
しかし――
「なんで……逃げないのですか……?」
目の前の異常事態に思わず声を漏らす。
子ども達は、黒いオーガの咆哮などまるで無かったかのように、泥を投げつけてくる。
まさか、気づいていないのか。
地の底から響いてくるような足音を立てているオーガに。
もしそうなら後数十秒もすると、オーガは子ども達の所までたどり着き、そのまま丸太のような足で吹き飛ばしてしまうだろう。
そんなことになれば小さな子ども達がどうなるかは容易に想像できる。
一瞬の逡巡。
そして――決断する。
この身に備わっている力を使うことを。
自分が疫病神と蔑まれる原因の一端になった力を。
しかし――
「ッ!?使えない!?」
肝心な時になって、力が使えなくなっていた。
勝手に出てくる事だってあるのに。
「なんで!なんでですか!?……うっ!」
迫るオーガに焦るも泥団子は飛んでくるのをやめることはない。
子ども達はオーガの事など気にも止めておらず、目の前の自分にだけ注意識を向けているのだから。
そうこうしているうちにオーガが子ども達に迫り、そしてその足ではね飛ばす――事は無かった。
「……え?」
蹴り飛ばすかに見えたオーガの足が、子ども達に当たるその瞬間、まるで幻のようにかき消してしまったのだ。
煙のように消え去った子ども達に呆然としていると、オーガの足が目前まで迫っていた。
咄嗟に顔を腕で庇い、目をぎゅっと瞑って、これから襲いかかるであろう痛みに耐えようとする。
しかし、いくら待っても痛みはおろかぶつかったりした感触すらしなかった。
おそるおそる目を開けるとそこは――
「私の……家?」
少し前まで自分が住んでいた場所だった。
懐かしい。
自分の部屋に視線を巡らせ、そう思ってしまった。
この村から追い出されて、そんなに時間は過ぎていないはずなのに。
村の人たちから嫌われていても、家族での時間が唯一の癒しだった。
「――――」
自分の部屋を見て懐かしんでいると何処からか声が聞こえてきた。
「……誰かいるのですか?」
声を頼りにおそるおそる進んでいくと。
「お母さんの……部屋?」
たどり着いたのは自分の母親の部屋だった。
ドアを開けようとして……途中で止める。
村から追い出された自分が、どんな顔をして会えばいいのかわからなかったから、怖かったから。
「――――」
しかしそんな考えも一瞬で消え去る。
中から誰かのすすり泣く声が聞こえたから。
「お母さん!!……え?」
バタンという大きな音を立ててドアを開けると、驚きに目を見張ることになる。
母はいつものように窓辺の椅子に座っていた。
だがその膝の上には小さな子どもが顔を埋めており、私の母が優しくその頭を撫でていた。
あれは――
「……私?」
幼い頃の自分だった。
小さな私は泣いているのか、時おり嗚咽が漏れている。
……確かこのときは生まれてくるなとか言われたんでしたかね?
当時はすごく堪えました。
「……お母さん、私は生まれちゃいけなかったの?」
「そんなことないわ。あなたはお母さんとお父さんの大切な子どもよ」
「ほんとう?」
お母さんは私の黄金色の髪を手櫛でゆっくりとすいていく。
柔らかな微笑みを浮かべたままだ。
「ええ。私も、お父さんも、あなたが産まれたときは嬉しくて泣いてしまったのよ?」
母が窓の外に顔を向け、柔らかな太陽の光に目を細める。
「私達にとってあなたは、まさに太陽のような存在なのよ。
居なくてはならない大切な存在。
お母さんとお父さんの心を温めてくれる大切な娘。
だから生まれて来ちゃいけないなんて心配、しなくても大丈夫。
お母さんとお父さんは何があってもあなたの味方よ」
「ほんとう?」
「もちろん」
私は必要とされている。
そう言ってくれるのは素直に嬉しかった。
「それでもね、お母さんとお父さんの力が足りなくて、どうしようもなくなったら、あなたの英雄を探しなさい。きっと助けてくれるはず」
「えいゆー?お母さんのえいゆーはだあれ?」
「それはもちろんお父さんよ」
頬に手を当てて恥ずかしそうに母は告げた。
見ている内に懐かしさがこみあげ、声をかけようとした。
「お母さ……うぅっ!?」
すると、どこからとも無く強風が部屋の中に吹き込んで来た。
強風はやがて嵐のようなものに変わっていった。
「お母さん!お母さん!」
暴風の中、母に声をかけるも返事はない。
風で巻き上げられ、飛んでくるものに対して腕で顔を庇い、必死に前に進んでいく。
一瞬。
風に隙間が出来た。
椅子に座ったままの母の姿が目に入る。
母は優しく微笑みながらこちらを見て、口元を動かした。
風のせいで声は聞こえなかったが、確かに「がんばって」と。
そう、言われた気がした。
気が付くと草原に立っていた。
どこまでも平野が広がり、隠れる場所など何処にもないほど――――――。
――ズシン。
地の底から聞こえてくるような地響きの音に振り返ると、案の定あの黒いオーガがいた。
いくら予想ができていたとは言え、あまりの威圧感に思わず後ずさりそうになる。
何時も肌身離さずに持っている首飾りを握りしめ、弱気な自分を叱責する。
周りには平野が広がっているだけだ。逃げる場所は無いし、逃げるつもりもない。
お母さんが私にがんばれと言ってくれたんだ。
ならば負ける事が出来るだろうか。
できない。できるわけが、ない。
眼前の巨躯を見上げて精一杯睨みつける。
「おまえなんかには、負けません。絶対に負けないのです!」
スキルの使えない自分はただの子供だ。力で勝てないのはわかりきっている。
それでも心だけは負けたくなかった。
だから、目をそらさなかった。故にそれを見る事が出来た。
周囲に霜が走り、肌寒さを覚えた途端。
オーガの黒い体に線が走ったかと思うと真っ二つに割れ、そのオーガの後ろから黒く透き通った剣を持った男が現れる。
自分のピンチに駆けつけ颯爽と助け出す。
それは幼い頃に話に出た英雄のようで。
「あ……、えっと……、うう……」
上手く言葉を出すことができなかった。
見かねたように差し出された手を取る。
夢見心地のように感じたのは、きっと手の暖かさのせいだけではないはずだ。
前の話と多少違う部分はありますが問題ないです。
間違えているわけじゃないですよ?




