表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/108

第57話 暴れたら問題が解決しました

第57話 暴れたら問題が解決しました



「で、お前が調査の為に出したパーティーを叩きのめしてくれたのか?」


こちらをジロリと睨みつけながら心底面倒くさそうに言うガザル。

そんなに睨まなくても良いだろ!

あれはれっきとした正当防衛だぞ。

手を出したのはあっちからだし、やらなきゃ捕まってたんだからな。

俺に非はないはずだ。


「まあ、結果的にはそうなるな。なかなか良い連携だったぜ?」


「やかましい。そんな事聞いてないわ!」


はぁ、と再びため息をつき、そして考え出すガザル。

そして、まあ、と口を開き


「結果的には良かったかもしれないな」


と言って頷いた。


「何?どういう事だ?」


1人で自己完結してないでこちらにも教えて欲くれ。

そういう事情にはまだ疎いからな。


「つまりだ、お前が暴れたおかげで、お前の話の信憑性が高まったって事だ」


「はい?」


いや、普通暴れたら人の信憑性は下がるはず。

どういうことだ?


「お前が魔族と間違われたまま戦った事で、ダンジョンを荒らしたの犯人が魔族だと信じてくれやすくなったって事だ」


それはあれか、マッチポンプってやつか。

え?本当にそれで良いの?


「まあ簡単に言えば、魔族がダンジョンに転移の罠をばら撒いという情報がどこからか入り、犯人と思しき魔族と調査隊と戦った。それでそいつは強く、風と雷など『嵐域』に似通った魔法を使っていたそうだぜ?」


ニヤリと悪い笑みを浮かべながら楽しそうに言う。

うん。

まあ、強さだけじゃマスターは出来ないって事かね。


「そういう事だから今日はもう帰れ。明日は訓練の最終段階として依頼を受けてもらう。それを無事にクリア出来たら晴れて合格だ」


鬱陶しそうな物を扱うように俺たちはしっしっと部屋から追い出された。

雑だな。

これからさっきの情報マッチポンプを発表する準備とかしないといけないのはわかるけど……。

わかるけどそういう問題じゃないよね。


「それでどうしますか?」


しばらく部屋の前で固まっていた俺たちだったがようやく動き出し、これからの事について話し始めた。


「そうだなぁ、俺達ももう帰るとするよ。夕方だしな」


窓から見える外の景色は燃えるような夕焼け色。

案外、話していると時間が経つのは早いもんだ。


「そうだね。じゃあここで解散しようか」


デニス達も賛成なようで今日はここで解散となった。

明日に備えてしっかりと休まないとな。


「じゃあね、ライム、フィラム、あとシオン」


「それでは失礼します、ライム、フィラム、あとシオン」


おい待てお前ら、俺はついでか。

ちょっと俺の扱いが雑になってない?

泣いちゃうよ?

俺泣いちゃうよ?


そんな俺の反応は無残にも無視され、俺達は城に帰ることとなった。



王城に帰ると1日帰ってこなかった事を王女サマに色々聞かれたが、訓練の一環として伝えたら渋々ながらも引き下がってくれた。

かなり心配してくれたようで「こういう事は事前に伝えるように!」とのお小言を貰ってしまった。


ライムとフィラムの事をパーティーを組んだ仲間として紹介したら王女サマは少し驚いた顔を見せた後


「わかりました。ご安心ください」


と微笑みながら言われた。

何だか嫌な予感がしたと思ったら、案の定問題が発生した。

2人と同室になったのだ。

城から出て行く身分で、部屋を2つにしてくれなんて、畏れ多くて言えないから、結局そのまま同じ部屋になってしまった。

別に同じ部屋で寝るのは良いな、とか思ったわけじゃない。

断じてない。


俺に割り当てられていた部屋かなり広いかったので、3人が入るのは問題ない。

と言うかそういう問題ではない。

ベットが無いのだ、1つしか。

そのベットはとても大きく、3人で横になっても場所は余るくらいだ。

でもやっぱりそういう問題じゃない。


「わあ!大きなベットだね。ご主人も早く寝ようよ」


「ふむ、ふかふかだな………。どうした主、寝ないのか?」


ベットの前で硬直している俺に2人が声をかける。

なぜだ。

なぜそんなにも平然としていられるんだ。

俺にはわからない。


「良いのか?俺と同じ部屋ってか、同じベットだぞ?」


「それがどうした。別に問題は無いだろう」


「ダンジョンでも同んなじ部屋だったじゃん。問題ないよ?」


2人は心底不思議という風に首を傾げている。

信用されているという事なのだろうか。

これ、男としてはどうなんだ?


「いや、そうなんだけどさ……なんかこう、違くない?」


ダンジョンは危険だったから同じ部屋だったからで、改めて外の同じ部屋に寝るのはなんか違うと思う。

そんな事を考えているとぐいっと腕を引っ張られた。


「ほら、早く。一緒に寝よ?」


上目遣いでこちらを見つめてくるライム。

だあ!かわいいじゃねぇか、チクショウ!


「主よ、まさか私達と寝るのが嫌なのか?」


悲しそうにこちらを見つめられる。

そんな目でこっちを見るんじゃないよバカヤロウ!

わかったから!一緒に寝るからそんな目で見ないで!


「うッ!わかったよ。一緒に寝よう……」


そう言うと悲しげだった2人の表情がパアッと華やぐ。

それを見ると悲しい思いをさせなくて良かったと思う。

だが、それと冷静に眠る事が出来るかは話が別だ。


現在俺の両脇には女の子が2人いる。

まさに両手に花の状態。


クッ!これは俺が我慢すれば良いだけの話!

心頭滅却すれば火もまた涼し。


俺が煩悩を叩き出していると不意に右腕に何かが当たる感触が。

顔を向けると至近距離にライムの顔があった。


「ふふ、ご主人、お休みなさい」


「あ、ああ、お休み」


今ライムは俺の腕に抱きつくようにしている。

そうなると何が当たっているかは………。

いや、考えてはいけない。

いけないんだ!


すると今度は左腕に感触が。

そっとそちらに顔を向けるとやはり至近距離にフィラムの顔があった。

近い……。


「その、お休み、主」


「ああ、お休み」


クソ!声が裏返るのを防ぐので精一杯だ。

こんな経験ないからどうしたら良いのかわからない!

それに、フィラムもまた、ライムと同じような態勢なので………。


グッ!!煩悩退散、煩悩退散!


あ、2人とも良い匂いがする。

やっぱ女の子なんだな……ってちがーう!

無理だ!

人には煩悩を捨てるなんて無理なんだよ!


これは絶対に眠る事が出来ないと思っていたが、案外疲れていたのか俺はすぐに意識を手放した。

部屋の中には静かな寝息だけが微かに聞こえていた。



ーーーーーーーーーーー



気がつくと俺は白い空間にいた。

またか、またここか。

今回俺を呼び出したのは誰だ?

シェリーか?ジーバか?


すると俺の眼の前に黒い煙が集まりだした。

これは……シェリーと会った時にも出てきたやつだ。

危険察知は発動していないが危ないかもしれない。

俺は少しずつ距離を取ろうとするが……


モヤモヤとした黒い煙の球体から、右手と思わしきものが飛び出し、左手、右足、左足と出現した。

そして中央の煙が吹き飛ぶと……


「ヤッホー!初めまして!魔神のセフィーナで〜す!よろしく!」


「あ、そですか。早速だけどおかえりください。と言うか帰らせろ」


「即答!?早すぎない!?もっとお話したいな!?」


中から自身を魔神と名乗るものが飛び出してきた。

面倒なので取り敢えずお引き取り願おう。

………くそッ!面倒事の匂いがする。

どうしたら回避できるんだ……!!


ちなみにダンジョン内での睡眠はフィラムが来てから改善されました。

なぜなら糸特製のハンモックで寝てたから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ