↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/108

第55話 誰しも苦手な物はあるよね

久々の連続投稿です。

第55話 誰しも苦手な物はあるよね



さてこの状況をどうしようか。

現在サリーがフィラムから距離を取って離れている。

正確には肩に乗せた俺からだ。


それなのにスライム状態のライムを抱きかかえている。

うん、抜け目がないな。

本人も嫌がっていないし別に良いか。


フィラムの蜘蛛状態が嫌われるのは予想外だったが、彼女の新しい一面を知ることが出来たということでプラスと言うことにしておこう。

人化すれば問題は無いだろうし。


それにほら、斧を振り回す系女子だぜ?

虫が苦手だとは思わないだろ。

バッタバッタと虫を叩き切っている姿しか想像できない。


「シオン…………何を考えてるんですか?」


「ハハハ、ナンデモナイデスヨ?」


にっこりと笑いかけられる。

ダンジョンの中でも感じたことの無い程の寒気を感じた。

俺は一瞬死を覚悟したね。


まあ、さっきは虫が苦手だと想像できないといったが、わからなくもない。

サリーは10人が10人可愛いと言うだろう美少女だ。

だから、虫が苦手だと言うのもわかる。


いや、別に美少女が皆、虫が苦手だと思っている訳じゃないぞ?

中には家の中に虫専用の部屋がある猛者もいるからな。


何故知っているかは…………察してくれ。


「シオン。その状態のフィラムさんをサリーに近づけるのは絶対に止めてくれ。危ないから」


危ないからというのが引っ掛かるが絶対と言われるとしたくなるのが人間なんだよな…………。

〈押すなよ!?絶対押すなよ!?〉の原理だ。

仕方がない。

人間の運命さだめだから


「よし!」


「シオン?その〈よし〉は一体なんの〈よし〉なのかな?」


「いや、別に何でもないぞ?気にするな」


「不安だよ。激しく不安だ」


デニスがこめかみを押さえて唸っている。

どうした?悩みでもあるなら相談にのるぜ?

そう言ったら睨まれた。

解せぬ。


ドンドンという少し激しいノックの音と共に、興奮気味な声が部屋に飛び込んでくる。


「マスター!緊急事態です!探索隊が!」


「なに!?分かった、すぐに行く!」


探索隊?

何か引っ掛かるが…………。

まあいいか。

思い出せないと言うことはその程度の事だと言うことだ。


「俺は行ってくるからくつろいでてくれ。…………シオン、問題……起こすなよ?」


心配で心配で堪らないという表情で念を押された。

そんなに信用無いですか?そうですか。


ガザルが出ていったマスタールームに沈黙が降りる。

サリーがライムを抱いたまま、俺がフィラムを抱えたままで距離を保ったにらみ合い?の膠着状態が続く。

俺がフィラムを右にちょこっと動かせばサリーがピクッと反応する。

俺がフィラムを左にちょこっと動かせばサリーがピクッと反応する。

…………楽しい。

めっさ嗜虐心が刺激される。

これははまる。


『何をしているのだ?主よ』


『何でもない。心配するな』


『むう』


フィラムが俺の行動を問うてきたが、言いくるめて抑える。


俺がジリッと前に進めばサリーもジリッと後ろに下がる。

数回続けると部屋の隅に追い詰められ逃げられなくなる。

はっとした表情をするがもう遅い。

少しずつ近づくとプルプルしだした。


なんだかエキサイトして暑いな。

ん?それにしても部屋が暑すぎるような…………。


「シオン!それ以上は命の危機だ!止めてくれ!」


「おぉう?分かった」


あまりにも切羽詰まった声でデニスが言うので前進を中止した。

さすがにやり過ぎかと思ったしね。

しかし人間の生まれもった性質は得てして変えられないものだ。

俺が止めたことにほっとした表情で気を緩めたサリー。

絶好のチャンス。

そう思ってしまった。

反射的にフィラムを持ったまま右手を振りかぶる。


『ちょ、何しているのだ、主!』


そしてそのままサリーに向かって投げ―――


「おいシオン!お前ダン―――何してんだ?」


――る前に荒々しくドアを開けてガザルが入って来た。

結果、こうして手を前に出した投球フォームの状態でガザルと見つめ合うという間抜けな絵面が完成した。


「コホン。いや、何でもない。ノープロブレムだ」


咳払いをして態勢を元に戻し、気まずさを誤魔化す。

残念ながら問題はまだある。


『主よ、さっき私を投げようとしただろう?』


あ、ヤバイ。

フィラムさんがちょっとキレてる。

ゴゴゴゴゴという効果音が聞こえて来そうなほどの威圧感だが、俺が両手で抱えたまま宙ぶらりんという非常にシュールな状態が出来上がった。

どうしよう。

吹き出しそうなの我慢するのキツイ。


『主よ、〈絆〉とやらの力で感情の表層が感じ取れるのは知っているよな?』


あ、はい。

めっちゃ怒ってるのわかってるので許してつかぁさい。

お願い。


フィラムからの返事は非情な物だった。

雷を使って俺の手を弾いた後、顔に張り付いてきた。

雷付きで。


「〈雷の抱擁(サンダーエンブレイス)〉!」


「あばばばばばばば!!」


このときサリーは雷撃を受けているシオンを見て、胸のすくような感情を覚えながら、蜘蛛に抱きつかれる場面を想像して青ざめるという非常に器用な真似をしていた。


一方デニスは爆発(物理)を免れた事を心の底から喜んでいた。



王城テラスにて

Sideリリー


「まあ、綺麗ですね。お祭りでもあってるのでしょうか?」


紅茶の入ったカップをソーサーに戻しながら城下町の不思議な光に思いを馳せていた。







最後にリリーを入れたのはなんとなくです。

あと二章の最後に人物紹介とまとめを突っ込んでみました。

よかったら見てください。

それでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。