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第52話 行き止まり

第51話 行き止まり



「誰だ!」


誰でもないですよ~。

なんのことだかわからないですよ~。


そんなことを心の中で考えながら声がする方とは逆へ逆へと進む。

すると


『ご主人、この通路行き止まりだよ』


『え゛、まじで?』


行き止まり?他に道が無いんですけど。

ここはライムナビに頼むしか。


『ライム、どっちに行けば出られる?』


『あっちだよ!』


ほうほう。

あっちですか。

いや、その方角は冒険者がいる方です。


『他に道は無いんだよ』


逃げ道の方から俺に視線を戻すと申し訳なさそうに言った。

つまり、袋小路に追い詰められたと。

仕方ない。正面突破するしかないか。


仕方なく通路を戻ると、大きな部屋に差し掛かったところで足音が一段と大きくなる。

反対側の通路から冒険者の集団が出きた。

どうやら4人の様だ。

飛び出してくるのではなく、注意深く、こちらを警戒しながら。


「いたぞ!あいつだ」


「姿が………わからない!?」


「なんだあいつは!魔族か!?」


いや、魔族じゃ無い。

何故か魔王候補ですけど。

勿論なるつもりはない。

相手から俺の姿は分からない筈だ。

人の姿に見えてはいるが細部はぼやけ、全体像ももやがかかっていて俺だとばれることはない。

スキルのお陰だ。


「君は何者かな?なぜここに要るんだい?」


こちらを刺激しないためか、恐らくリーダーだろう男がゆったりした口調でと語りかけてくる。

だが、残念ながらその疑問に俺が答えるような必要は無い。


「ふむ、だんまりか。仕方ないな。ここは現在封鎖されていてね。ここにいる君は限りなく怪しい。悪いけど拘束させてもらうよ」


リーダーの男が槍を構え、戦闘態勢をとる。

揃って他のメンバーも油断なくこちらに向き直る。

時間を掛けるのは不味いか。

まともにやったら危ないかもしれない。

さっさと決めよう。


「大人しく捕まれば悪いようにゃしねぇよ!」


「まあ、情報は吐かせてもらうがな」


大剣を肩に担いだ男と、剣と盾を油断なく構えた男が言う。

そして杖を構えた少女が無言でこちらを睨み付ける。


悪いが捕まる気は毛頭無い。

俺が剣を抜き放って構えるとリーダーの男が正面に、大剣の男が左、剣と盾の男が右に移動し、こちらを包囲する。

慣れてるな。


「はっ!」


リーダーの男が距離を詰め、突きを繰り出してくる。

1度、2度、3度と迫る穂先を剣で捌きながら攻撃に移ろうとすると、リーダーの男が後ろに飛ぶことで距離をとる。


俺は攻撃しようとした瞬間に離れられた苛立ちのままに、リーダーの男の方へ駆け出すが、ここで左右の男が動いた。

左から巨大な大剣が俺を切り裂かんと高速で迫る。

それを俺は自らの剣をもって防ぐも大剣の重量に押され、右に弾かれる。


「ちぃっ!」


すると待ってましたとばかりに、剣と盾を持った男が体勢を立て直す前から攻めてくる。

とっさに対応するも全ての攻撃を捌くことは出来ずに攻撃が掠り、ちくちくとダメージをを受けてしまう。


「調子に………乗るなぁッ!!」


男が横に凪いだ剣を体勢を低くすることで避け、瞬歩を使って一気に肉薄し、その勢いのまま、剣を握ったままの右手で殴り付ける。


「ぐぅぇ……!?」


男はカエルが潰れたような声を出して吹き飛んでいった。

………現実にあんな声出るんだな。

お陰で少し冷静になった。

そんなことを考えているとリーダーの男が迫ってきた。

リーダーの男は横に回転することで遠心力を乗せた薙ぎ払いを仕掛けてくる。

気配察知で事前に感知していた俺は余裕を持ってこれを防ぐ、が。

バキッと鈍い音を立てて折れた。

俺の剣が。


「ぬっ」


「なっ!」


折れた剣先が飛んでいき、背後の地面に突き刺さる。

俺が驚いたのと同じくらいリーダーの男も驚いているようだ。

普通はここで剣が折れたることを予想はしていない。


俺はこれまでの戦いで剣を酷使してきた。

普通なら耐えられないような戦闘に魔装で無理矢理に。

恐らく無茶が祟ったのだろう。

逆に今までもっていたのが奇跡と言える。

今回、魔装で剣をカバーしていないことも大きかったのかもしれない。


『ご主人!』


『主!』


「行きます!〈大火炎ラージフレイム〉!」


そこにだめ押し。

弾き飛ばされ、他のパーティーメンバーと距離が出来た俺に魔法が迫る。

魔法使いの少女が発動した、火球を巨大化させたような魔法が迫り、炸裂した。


「やったか!?」


………それ、フラグって言うんだぜ?


「………〈氷匣アイスボックス〉」


間に合った。

さっきのは本当に危なかった。

小型の〈氷匣アイスボックス〉を発動することにギリギリで成功した。

2人の忠告がなかったら食らっていたかもしれない。

ありがとうな。


さて、こいつらの認識を少し改めなくてはならないか。

こいつらは強い。

このまま続けるのは危険かな。


「あれを受けておいて無事とは驚いたよ。なかなか強いみたいだね」


はっ!なかなかとは嘗めてるな。

さくっとぶっとばして認識を改めさせてやるよ。


「〈氷剣アイスブレード〉」


バキバキと折れた剣の断面から氷が発生し、剣の形をとる。

一時しのぎだがこれで大丈夫だろう。

準備は整った。

自然と口角も上がり、感情もヒートアップしていく。


いくぞッ!!!


今度は自分から距離を詰める。

槍はリーチが長い分、懐に入られると弱い。

とはいえ、まず入るのが難しそうだが。


ここからは俺のターンだ。


リーダーの男に氷剣を叩きつけるが防がれる。

勿論これは想定内。

こいつはこの中でも能力が突出している。

そのまま俺たちが剣劇を繰り広げているとそれは聞こえた。


「俺達を忘れてもらっちゃあ」


「困るな」


大剣の男と、さっき吹き飛ばした男も復活して攻撃を仕掛けてくる。

勿論忘れてないさ。


『ライム!フィラム』


『オッケー!〈水衝弾ウォータースプラッシュ〉』


『わかった!〈雷球サンダーボール〉』


左の大剣の男にライムの水衝弾が、左の男には盾無視の雷球が襲いかかる。

大剣の男は水が当たった瞬間爆発した衝撃で吹き飛び、盾の男は感電し膝を着く。


「なに!?」


そこで動揺したリーダーさんに隙が生じる。

勿論それを逃すほど俺はお人好しじゃない。


「〈上昇気流アッパーウィンド〉」


「うわっ!?」


下から上に向けて突風を発生させる。

リーダーの男も下からの突風は予想外だったのか易々と体勢を崩す。

一瞬瞬歩を発動し、威力の乗った前蹴りを叩きつけてやる。


「がはっ!?」


空中移動の旅でも楽しんでな。

そして俺は魔法使いの少女に目を向ける。


「ひっ!?」


………うん、なんかこう、傷つくな。

いや、敵対してる俺が悪いんだけど、俺が悪いんだけど!!

残念ながらRPGでも後方支援を先に潰すのが鉄則だ。

だから……


「こ、来ないで!」


涙を浮かべた少女に突撃する。

どうやら恐怖で逃げることも出来ないようだ。


「やめろぉぉ!」


「待て!!」


「チクショウ!!」


3人が少女を守ろうと飛び出してくる。

この通り、この世界でも後方支援を守ろうとするだろう。

俺を魔族だと思っている筈だから殺されると思い、焦って助けに駆けつける。

だからそれを逆手にとる。

全員が少女を守ろうとなりふり構わずにこちらへ駆ける。

焦りで冷静な判断が出来ていない。

そこに


「〈爆音球ロア〉」


頭上に半透明の球体が発生する。

そして球体が弾け、中に込めていた爆音が炸裂する。

攻撃力は何一つ持っていない。

振動操作のみを使った、ただ単に大きな音がするだけの技だ。

まあ、魔力を込めれば違ってくるが。


爆音球を受けた冒険者達は顔を歪めていたがそれでも耳を押さえたりすることはなかった。

………女の子は別だ。

涙を浮かべて腰を抜かしている。

その足元からは湯気が…………。

なんか……ゴメン。


爆音の影響を顔をしかめるだけに止めた男3人。

しかし、さすがに体の動きは鈍る。

それだけで十分だ。


「〈暗闇ブラインド〉」


俺が使ったのは周囲の光を遮断し、闇をもたらす魔法だ。

範囲に入っていた俺を含め、槍の男のパーティーメンバー全員が闇に包まれる。

勿論俺は影響を受けない。

こいつらが何をしているかはバッチリわかる。


「見えねぇ!?」


「なんだこれは!」


「皆、落ち着くんだ!」


「ふえぇぇん」


困惑の声の中に1つだけ泣き声が。

…………ほんと、なんかゴメン。

とはいえ、逃げるためには仕方ないことと割りきる。


「〈ビット〉」


「「うわっ!?」」


暗闇の中、足元からの攻撃は予想外だったようだ。

全員が余すことなく穴に落ちる。

そして俺は穴を埋めた。

鬼畜と言われようとも埋める。

生き埋めだ。


「ふう、なんとかなったな」


さっさとここを離れよう。

さしたる感慨も抱くことなくその場を後にした。

すると、後ろから声が聞こえてきた。


「皆無事か!?」


「首だけ地面から出てるってのが無事っつーなら」


「絶好調だな」


「しくしく……」


そう、俺は彼らを埋めたが、首から上は出してある。

リーダーに至っては両手が地面から出ているはずだ。

秘技、生首晒しってな。

それに、彼らが悪くないのにここで殺すのは忍びない。

加えて暗闇ももうすぐ切れるようにしてある。

仮にも冒険者だ。あとは自力で何とかしてくれ。


………限界突破は使う必要無かったな。


そんなことを思いながら俺達はここを離れた。


その後、大きな問題も起こることなく、ライムの案内のお陰でダンジョンの入り口兼出口に到着した。

出入口を潜ると強い光が目に入る。

そこで、遂に出てこれたな……という思いが胸中を駆け巡る。

これまで長かった。

1ヶ月以上もダンジョンに籠っていたのだ。

遂にという思いも自然、強くなる。


「先ずはギルドに行って見るか」


こうして俺達はダンジョンから無事、脱出することができた。

ダンジョンを後にし、ギルドへと足を向けた。


主人公はかなりのしゃべっているけど声は漏れていません。

消音のお陰です。

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