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~クラスまるごと召喚されました~勇者で魔王なので旅に出ます!?  作者: ねむ鯛
第二章 王都 ダンジョン編 
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第41話 決着

第41話 決着



「せあっ!」


ライムがスライムの物と同じ粘液化した腕を振り抜き、打撃を与える。

酸撃の力もあって、表面の金属も少しずつではあるが薄くなっている。

元々の、魔法で注意を引き付ける役からは完全に離れているのだが、それは良いのだ。

自分が引き受ければ良いのだから。

良いったら良いのだ。

自分も突撃して戦いたい(遊びたい)などとは思っていないから別に良いのだ。


「そろそろ決めるぞ!」


「「わかった!」」


準備が整った旨を伝えると、頼もしい答えが返ってくる。

恐竜もこちらの変化を感じ取ったのか、気配が荒々しい物へと変わった。

恐らく、抵抗が尚のこと激しくなるであろうと予測される。

ここからが正念場だな。


「〈蒼炎の槍(ブレイズランス)〉!」


猛る6つの炎の槍が恐竜に迫る。

並列思考を使った同時攻撃である。

勿論、恐竜もたたで受けるわけでは無い。

炎の槍を見た瞬間に大きく息を吸い込んだのだ。


野生の勘かはたまた考えがあっての事か。

キャパシティ最大まで魔法を使っているので、今は即座に魔法を放つ事が出来ないのだ。

よって岩石巨拳ロックフィストは使えない。


「ゴアアァァァァァァアアア!!」


「チィッ!」


瞬歩を使って横に避ける。

普段なら距離を取りすぎてしまうのだが、恐竜の砂のブレスは攻撃範囲が広い。

元々が巨大な恐竜の口から放たれるのだ。

その横幅も推して然るべき。


炎の槍は砂のブレスに掻き消されてしまった。

ともあれ何とかブレスの範囲から逃げ出す事ができた。

しかし自分のすぐ側を炎の槍を余裕で押しきり、尚且つ地面を抉りとる程強力なブレスが通るのだ。

もし当たっていたらと思うと背中を冷たい汗が伝う。


しかし目的は達成出来た。

例によって炎で視界を奪い、行動を制限しようとしたのだが、ブレスの硬直で動くことの出来ない状況だ。

金属柱で防がれるよりも良かったと言える。


「足元がお留守だよ!」


一気に近付いたライムが全力の足払いを掛ける。

無論ただの足払いでは恐竜の重量に聞くはずもない。

恐竜もそう思ったのか、硬直の中侮るようにライム見ていた。

だが、その考えはすぐに覆る事となる。


「ガアッ!?」


ライムの足払いが成功したからだ。

理由は単純明快。

ライムが足払いを掛ける瞬間に、炎の槍を放ったときから用意していた魔力で足元を凍らせる。

そして、片手を地面に付き、少し離れた場所から粘液化させた足でもって、遠心力をしっかり乗せた蹴りを見舞ったからだ。

足元の氷は直前の一瞬で作った物なので成功したようだ。


「良いぞ!ライム!」


決めるために俺も一気に恐竜に迫る。

恐竜も転けることに慣れたものなのか、自分の下の土を盛り上げることで立ち上がろうとしている。

そこへ……


「逃がすか!〈電撃獲網サンダーネット〉!!」


天井に立つフィラムが両手を合わせ、それを広げながら恐竜に向かって突き出す。

すると雷を纏った蜘蛛の巣が飛び出し、恐竜を絡めとる。

この糸は鞭状の物とは違い、粘着性が非常に高い。

ただでさえ切れにくく、抜け出しにくい蜘蛛の糸だ。

それが雷を纏うことで筋肉を動かしにくくして、更に抜け出すことを困難にしている。

痺れて魔法も上手く扱えないようだ。

最も雷の効果はそれだけではないが。


俺も大量の魔力を両手に集める。

飛び上がって、横に回転しながら魔法を具現化させる。


「食らいやがれ!!〈永久氷結の戦槌(コキュートスハンマー)〉!!!」


バキバキバキと小気味の良い音を立てながら、両手の間から氷の棒が伸び、先端で左右に別れた平たい面を作り上げる。

そしてそれを、回転の遠心力、重力、自分の力を加算して、叩きつける。


「ガアアアアァァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!」


叩き付けた力によって地面にクレーターができ、土が舞い上がる。

そしてもたらした結果はそれだけではない。

恐竜の表面の金属がひび割れ、砕け散ったのだ。


これは俺だけの力ではない。

これまでの炎での執拗な攻撃。

電撃での熱発生に、酸の効果により金属が薄くなったこと(これは予定に無い)。

熱による膨張と急激な冷却による凝縮に金属が耐えきれなかった為に起こった現象だ。

3人の力が合わさった結果とも言える。

俺の永久氷結の戦槌(コキュートスハンマー)だけでは砕くことは出来なかった。


そして俺の考えた作戦とは

①熱による膨張(途中で冷やしてはいけない)

②俺の水魔法による氷の攻撃での金属の破壊。

そして③


「いけぇ!フィラム!!」


自分の糸で再び鞭を作り出していたフィラム。

その鞭を限界までバネのように渦巻かせる。

そこから天井を蹴って


「はああああああああぁぁぁぁああああッ!!!」


腕を突きだし、糸の鞭を一気に伸ばす。

その白の光芒は恐竜の体を容易く貫いた。

渦巻いていた糸の鞭を、硬化によって一気に伸ばしたその速度は圧巻であった。


「ガアアアアァァァ……」


やがて恐竜の目から永遠に光が失われた。

脳内に場違いなファンファーレが響き渡る。

情緒もへったくれもない。

この音どうにか出来ないものか。


「勝った…………のか…………?」


まだこの現状が信じられないのだろうか。

口にするとこの状況が消えてしまうのではないか。

夢が覚めてしまうのではないか。

そんな恐れを含んだ声がフィラムから聞こえてきた。


「そうだ。勝ったんだ。お前自身の力でな」


フィラムに告げる。

安心しろ。お前はやりとげたんだぞと、気持ちを込めて。


「勝った…………勝ったんだ…………ありがとう、2人ともありがとう。」


「どういたしまして。家族だから、当たり前だよ」


ライムの言葉に遂に


「うぅぅ……うっく…………うぅぅ、見るなぁ」


こぼしそうになった雫を見られたくなかったのだろうか。

抱きついてきたフィラムの頭を紫苑は優しく撫でる。

そこに言葉は要らなかった。


「うわあぁぁ~~うう…………うあぁあああぁ~~…………」


ただそこには群れの頭としてではなく、1人、甘える少女がいるだけだった。





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